筆者はプライベートで「写真を撮る」という場合は、ほとんどがスナップ撮影です。
そんな場合に使用するカメラバッグは、どんなものがいいのかを、改めて考えてみました。
というか、もう買いました。(笑)
ので、今回はその商品を選ぶに至った過程を説明しながら、スナップ撮影でのカメラバッグ選びについて解説したいと思います。
スナップ撮影におけるカメラバッグは、ただ単に機材を運搬するだけでなく、常にカメラマンと一体となって撮影に参加する「ベースステーション」の役割も果たします。
ただ運搬だけに徹するほかのジャンルとはまた違った角度からの検討が必要です。
その場合に着目すべき点は何か?
今回は具体例を見ながら、検討していきます。
カメラバッグはカメラ機材の中では比較的リーズナブルなアイテムなので、買いやすいと言えば買いやすいわけですが、やはり買うときはしっかりと根拠を持って、ぴったり用途に合った商品を選びたいものですね。
目次
カメラバッグと重さの関係
まずは、買い換える前に使用していたカメラバッグのご紹介から入ります。
それを買うに至った経緯と理由です。
機材の重さ
筆者が現在スナップで使っているカメラは、ライカM6という、レンジファインダー式のカメラです。
昔は一眼レフを使っていましたが、重いので止めました。
スナップ撮影において、重いのは地獄です。
「いい写真が撮れるなら、重さなんて気にしない」
そういう人も、もちろんいるでしょう。
しかし、筆者の場合は全くそうはなりませんでした。
一眼レフのカメラバッグ
まず、一眼レフのカメラバッグは、もうバッグ自体が重いのです。
筆者の場合、単焦点レンズで撮るのが絶対なので、レンズ5~6本入る大きさが必要です。
すると、バッグだけで1~2kgになります。
そして、スナップの場合は、いつでもカメラやレンズを取り出せるように、ショルダーバッグが基本です。
ほとんど、地面にめり込むんじゃないかというくらいの負荷が、片方の肩にかかっています。
もはやそれは「お仕事」です。
「お出かけ」は、もはやレジャーでも何でもなく、仕事です。
一眼レフからレンジファインダーへ
そんな苦役であったお出かけを、本来のレジャーへと取り戻すべく、一眼レフからレンジファインダーにカメラをスイッチしたのは、かれこれ4年くらい前でしょうか。
画質を犠牲にすることなくコンパクトさを追求すると、必然的にカメラはレンジファインダーになります。(あ、ちなみに筆者はフィルムユーザーです)
そしてカメラバッグも当然、重かった一眼レフの反動で、とにかく軽量!そしてコンパクト!というその一点で選びました。
ほとんどトラウマです。(笑)
過去には、カメラバッグはデザインより軽さにこだわるべき!という記事も書いていますが、それは完全にそのトラウマによるものです。(笑)
そして、最初のレンジファインダー用カメラバッグとして選んだのが、エツミの「シュープリームS」です。
重量は450g。大きさはほとんど「大きめのポーチ」とでも言えるくらいのコンパクトさです。
ライカとこのバッグによって、お出かけは無事にレジャーの座を取り戻すことができました。
カメラバッグとスナップ撮影の関係
さて、スナップ撮影においてカメラバッグの果たす役割は、運搬だけではありません。
実際に撮りながら、レンズ交換をしたり、フィルムチェンジをしたり、露出計を出したり入れたり、頻繁にモノの出し入れが発生します。
一種の母艦です。ベースステーションです。
だから、スナップ撮影で使うカメラバッグは、軽量・コンパクトなのも大事ですが、モノの出し入れのしやすさも大事なのです。
筆者がレンジファインダー用に最初に買ったエツミのシュープリームSは、軽量・コンパクトという点では申し分ありませんが、機材の出し入れのしやすさに難がありました。
交換レンズ2コまでなら、まあ大丈夫です。
しかし、レンズ3~4コ、それにストロボ、スマホや財布も入れるとなると、もうパンパンです。
(過去にはパンパンであるがゆえの事故も引き起こしています)
そしてパンパンの問題点は、中の仕切りを複雑に組み合わせてムリヤリに詰め込むので、機材の出し入れが非常にしづらいという点です。
カバンの中で上下二段になってる仕切りの下側にあるレンズを取るときなんて、ほとんど身をよじるようにして「ほじくり出す」という感覚です。
一眼レフの「重さ」の反動で、徹底的に軽量コンパクトにこだわった結果、「使い勝手」の部分が犠牲になっていたのです。
これはいかん。
もっと使い勝手も考慮しよう。
というわけで、次のカメラバッグを検討した次第です。
スナップ撮影で使用する理想のカメラバッグの条件
ここまでの内容をまとめると、スナップ撮影に最適なカメラバッグの条件は、重要度の順にだいたい以下の3点になります。
- ショルダー式
- 軽量・コンパクト
- 内部にアクセスしやすい
1つずつチェックしてみましょう。
ショルダー式
まずは、何はともあれショルダー式であること。
つまり、肩に斜めがけする方式であること。
これはほとんど 前提 です。
カメラバッグを身に付けて、そこから機材を出し入れしながら撮るのがスナップ撮影です。
その使い方に最も適しているのが、ショルダー式です。
リュックや、ころころ引っ張るキャリー式などは、運搬しながらの出し入れには適していません。
ウエストバッグは?
ちなみに、少ない機材なら腰巾着みたいなウエストバッグもいけるのかと思って試したことがありますが、腰に重いものがまとわりつくのは、想像を上回る鬱陶しさです。
腰は身体の中心であり、そこをアンバランスな状態にしておくのは、身体スポーツであるスナップ撮影において、好ましくありません。
もう着けて歩くだけで、すでにストレスなのです。
身軽に動けて、それなりの重さを保持する場合は、ショルダー式がベストでしょう。
軽量・コンパクト
これはもうさんざん言ってることですね。
トラウマになるくらい重要なポイントです。(笑)
特にショルダーで、常に全機材を身につけて移動していると、機材の重さがじわじわとボディーブローのように効いてきます。
撮影に振り向けたいエネルギーが、運搬のために奪われていくのです。
スナップ撮影において、軽さは善 です。間違いなく。
そのためなら見た目とかデザインとかは、本当にどうでもよくなります。
オシャレをするなら写真の中で
「オシャレは我慢だ」と言われますが、オシャレをするなら写真の中で表現しましょう。
見た目の我慢にエネルギーを奪われていては、肝心の写真からオシャレが奪われます。
「でも撮影中にキレイなお姉さんやカッコイイお兄さんに声かけられたらどうするんだよ」
という声もあるかと思いますが、もちろん、言っているのは「オシャレをするな」ということではなく、「我慢をするな」ということです。
たしかにチョットしたカメラを持って歩いてると、キレイなお姉さんやカッコイイお兄さんに声をかけられるかもしれませんね。
そういう意味でオシャレをしておくのは重要です。
でも、あなたを本当に輝かせて見せるのは、オシャレな格好よりも、実は撮影に打ち込む姿勢だったりします。
撮影にエネルギーを注げるようにしておくことは、見た目のファッション以上に重要です。(笑)
内部にアクセスしやすい
これ。今回のポイントはココです。
スナップ撮影では、頻繁に機材の出し入れが発生します。
ここでモタモタとストレスをためているようでは、撮影に差し障りが出ます。
ストレスなくスムーズに機材を出し入れするためには、ショルダー式でありなおかつ、開口部が広く、荷室のスペースにもそれなりの余裕が必要です。
荷室が狭いと、ほじくらないと取れない場合が発生し、スムーズに機材を出し入れできないのです。
ショルダーバッグのフラップについて
ちなみにショルダー式の場合、普通のファッションバッグみたいにフラップがついているものも多く見かけますが、スナップ撮影でこれはかなり使いにくいと思います。
フラップが付いていると、機材へのアクセスはフラップ越しに行うことになり、普通にやりにくいでしょう。
また、フラップを、バッグと身体の間に折り込んで使う方法も考えられますが、そんなことするなら初めからなくていいじゃん、という話だし、開口部の向こう側が無防備になるのも危ないです。
撮影に夢中になっていると、がちゃがちゃといろんな動きをするので、カバン本体が90°以上傾くようなことも想定されます。というか実際にあります。
その際、向こう側に何かしら防護柵がないと、中身がざらっとこぼれてしまいます。
フィルムやブロアーがこぼれるのは全然問題ないですけど、レンズがこぼれたらアウトです。
フラップのような「フタ式」のバッグなら、身体から見て「向こう側に開く」ほうが安全であり、機材も取りやすいわけです。
つまり、ショルダーバッグの開口部については、フタが身体から見て向こう側に開くか、
ジッパーで上部が開く方式が良いでしょう。
また、アクセスのしやすさは、メイン荷室のみならず、サイドポケットもそうであるほうが、もちろん望ましいです。
財布やスマホ、露出計なんかはサイドのポケットの入れることが多いですが、やはりサッと出し入れできるほうが使いやすいです。
スナップ撮影にベストなカメラバッグ
最初に買った「シュープリームS」は、
- ショルダー式
- 軽量・コンパクト
まではカバーしていましたが、
- 内部にアクセスしやすい
をカバーしていなかったので、そこに着目し、全てをカバーする完璧なカメラバッグを選んでみようというのが、今回の趣旨です。
今回導き出された「完璧なスナップ用カメラバッグ」の条件をまとめると、以下の通りです。
- ショルダー式
- 軽量
- フタが奥側に開く、または上部が開く方式
- それなりの荷室のスペース
- アクセスしやすいポケット
そこから個人的な条件として、前回は上部が開くジッパー式だったので、今回はフタが奥に開くボックスフラップ式にしようと思いました。
なぜなら、上部が四角く全開になるので、より機材へアクセスしやすいと思ったことと、単純に違う方式を試して経験を増やそうと思ったからです。
シンクタンクフォトの2点
さて、ビックカメラで物色しました。
店内にある商品からは、この条件に当てはまるバッグは2つに絞られました。
シンクタンクフォトの
- サバーバン ディスガイズ20
- ミラーレスムーバー30i
この2点です。
「シンクタンクフォト」というメーカーは、一眼レフ用でも使っていましたが、結構使い勝手がよく考えられた、なかなかいいカメラバッグを作っています。
ただし難点はむちゃくちゃ重い、ということ。
作りがしっかりしている分、むちゃくちゃ重いのが、シンクタンクフォトの特徴です。
まあ、アメリカのメーカーなので、これくらい何とも思わないマッチョな客層を想定しているのかもしれませんが。
しかし、今回ピックアップしたこの2点に関しては非常に軽い。
「サバーバン ディスガイズ20」が600g、「ミラーレスムーバー30i」が500gです。
この2点以外だと、重かったりポケットの使い勝手が悪かったりで、条件に見合う商品がありませんでした。
ちなみに今回、全体的な商品を見渡して痛感したのは、ポケットの使い勝手の悪さです。
本当に実際の使用を想定しているのか? デザイン上のポイントくらいにしか考えてないんじゃないか? みたいな残念なポケットが多かったです。そもそもポケットがないのもあるし。
ポケット以外はよかった、という商品なら結構ありました。
ポケットについては、まだまだ改善の余地は大きいと感じました。
そして、この2つのうちで選んだのは「サバーバン ディスガイズ20」のほうです。
シンクタンクフォト「サバーバン ディスガイズ20」
以下、その理由です。
荷室が広い
まず、「サバーバン ディスガイズ20」のほうが荷室が若干広いです。
それによって、レンズを手前と奥の2列に置くことができます。
シュープリームSでは、カメラバッグ内で上下2段にレンズを置いていて、その下段を取る時の手間が大きな問題だったので、この点は非常に大きい決め手です。
余計な仕切りが無い
また、「ミラーレスムーバー30i」のほうは、荷室内にタブレットを入れるための仕切りがありました。
これのために荷室内がムダ狭くなり、ムダな引っかかりも発生していました。そもそもタブレットは使わないし。
荷室内は出し入れに引っかからないように、なるべくスムーズ&クリーンであるほうがいいです。
フタを閉じないように固定できる
それから、「サバーバン ディスガイズ20」のほうは、フラップをマジックテープで固定できるようになっていたのです。
これによってフラップと連動している荷室の上ブタが、パタパタと不用意に閉じないようにできるのです。
これはなかなかよさそう。
「コンパクトさ」と「機材の出し入れのしやすさ」はトレードオフ
というわけで、シンクタンクフォトの「サバーバン ディスガイズ20」のほうを選びました。
やはり空間が広いと、レンズを取り出すときも余裕です。
もう身をよじらせなくて済みます。(笑)
ただし、荷室が広い分、あまりコンパクトではありません。当然ですが。
「コンパクトさ」と「機材へのスムーズなアクセス」はトレードオフの関係であり、どのようにバランスを取るかは、今後の見極めが必要です。
まとめ
今回はスナップ撮影に最適なカメラバッグ選びということで、現行商品の中から筆者なりのベストをピックアップしてみました。
まあ、ビックカメラの売り場内から選んだので、完璧ではないかもしれません。
しかし、結構な品揃えの中から選んだので、かなりベストに近いと思います。
カメラバッグの重要性
さて、今回の記事の要点はつまり、カメラバッグの重要性です。
ただカメラを運ぶだけのものに、うんざりするほどの商品が用意されているのはなぜでしょう?
それはカメラバッグに対して、それだけ事細かなニーズがあり、メーカーはそれに対していちいち対応しているということです。
なぜいちいち対応するのかというと、ニーズにマッチした商品は、ちゃんとそれが売れるからですね。
現に、今回の筆者の事細かな要求に対しても、ちゃんとそれに応える商品が用意されていました。
やはりカメラバッグは撮影に大きな影響を与えるアイテムであると認識されていて、市場もそれだけにぎわっているのでしょう。
カメラバッグと撮影スタイルの関係
ちなみに今回、ウチにあるカメラバッグを数えてみると、6コありました。
捨てたものもありますから、要は結構な数買っているということですね。
なんでそんなに買ったのかなと考えてみると、撮影スタイルが変わると、カメラバッグを変えたくなるからです。
そのスタイルにマッチしたカメラバッグにする必要性を感じるのです。
つまり、カメラバッグの履歴は、撮影スタイルの履歴とも言えるのです。
幼虫が古い殻を脱ぎ捨てて成長していくように、カメラマンは古いバッグを脱ぎ捨てて成長していくわけですね。
さて、今のカメラバッグは、今のあなたに最適ですか?
そろそろ古い皮を脱ぎ捨てる時期に来ていませんか?
今回筆者が新しいカメラバッグを購入したのも、そろそろ古くなった皮を脱ぐタイミングに来ていたからです。
(実際は近々の旅行に対応するため、という具体的なキッカケがありますが。笑)
カメラバッグは、ベラボーに高いカメラ機材に比べると比較的リーズナブルでありながら、結構撮影に影響を与える重要なアイテムです。
カメラバッグを変えるだけで、一皮むけて新鮮な気持ちで撮影に臨むことができます。
そんなカメラバッグについて、この機会に再検討されてみてはいかがでしょうか。