【一眼レフユーザーの皆さんへ】知ったら使ってみたくなる!?レンジファインダーの真の魅力

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アンリ・カルティエ=ブレッソン

「カメラ」と言えば、まず真っ先に一眼レフが思い浮かぶと思います。

しかし世の中には「レンジファインダー」という素晴らしいカメラも存在するのです。

あの有名なアンリ・カルティエ=ブレッソンや、ロバート・キャパも愛用したカメラです。彼らの写真の魅力が、そのままレンジファインダーの魅力と言ってもいいでしょう。

なぜなら彼らの写真の内容は、カメラの特徴と切っても切れない縁があるからです。

知らない人には謎に満ちたレンジファインダーカメラですが、今回は一眼レフとの比較を中心に、レンジファインダーの特徴を解説し、その真の魅力にせまってみたいと思います。

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一眼レフとレンジファインダーの違い

一眼レフユーザーの皆さんは、一眼レフの特徴についてはすでにご存知かと思いますので、一眼レフと比較しながら、レンジファインダーの特徴を見ていきましょう。

  • ファインダーの違い
  • ピント合わせの方法の違い
  • ボディの違い
  • レンズの違い

の4点から比較してみます。

ファインダーの違い

まず一番大きな違いは、ファインダーの見え方でしょう。

一眼レフのファインダー

一眼レフは、撮影レンズを通して見える像を、ミラーとプリズムをつかって、カメラのファインダーに送り込んでいます。

すなわちファインダーから見えている絵と、実際に写真になる絵は同じものです。

レンジファインダーのファインダー

対してレンジファインダーのファインダーは、撮影レンズとは全く関係なく、カメラ本体についている素通しのガラス窓をのぞきます。「写ルンです」をご存知でしょうか?あんな感覚です。

ツァイス イコン シルバーボディ

コシナ社製 ツァイス イコン

上の写真で言うと、右上の隅に付いているガラス窓の部分がファインダーです。

一眼レフはレンズを交換すれば、それに応じてファインダー内に見える像も変化しますが、レンジファインダーは全く変化しません。

その代わりにレンズ交換をすると、レンズに応じてファインダー内に「四角い枠」が出ます。それによって、そのレンズで写る範囲をお知らせしているのです。

ツァイス イコンのファインダー

コシナ社製 ツァイス イコンのファインダー

また、撮影レンズと別な位置にファインダーが付いているので、当然ながらファインダーで見ている絵と実際に写る絵にはズレが生じます。

なので、レンジファインダーのファインダーではハッキリ言って正確なフレーミングは期待出来ません。写る範囲のだいたいの目安を知る程度です。

レンジファインダーのメリット

そんなの一眼レフのほうが良いに決まってる!と思われるでしょう。

しかし物事には一長一短があるのです

ではレンジファインダーの「長」とは何か。

  • 写真に写らない範囲もファインダー内で確認できる。
  • 一眼レフのように※ブラックアウトしないので、シャッターが下りる瞬間もファインダー内の像を見ていることができます。

※一眼レフでは、シャッターを切る瞬間、ミラーを跳ね上げて、レンズを通過した光をフィルム面(撮像素子)に届けなくてはならないので、その間ファインダー像は真っ暗になる。

写真に写らない範囲もファインダー内で確認できるので、フレームに入ってきそうな人をファインダー内で確認することもできます。

また、ブラックアウトしないので、目つぶりの確認も容易です。

そして、フラッシュを焚く瞬間もファインダー内で確認できるのは、一眼レフに慣れた人ならちょっとした感動ではないでしょうか。もちろん不発もすぐにわかります。

ファインダーの違いによる撮影感覚の違い

一眼レフだと、ファインダーいっぱいに映し出される、レンズが描き出す世界に没入して、絵を「作りこむ」という感覚です。

一方レンジファインダーのファインダーは、ほとんど肉眼で見ているのに近い感覚です。

レンジファインダーカメラで撮影するという行為は、今見ている世界から四角く切り取る範囲を「選択する」、そんな感覚です。

ピント合わせの方法の違い

ピント合わせの方法も、大きな違いのひとつです。

一眼レフのピント合わせ

これはほとんどオートフォーカスでしょう。

素早く狙った位置にピントがくるので、かなり便利な装置です。

また、動く被写体に追従したり、ファインダー内でピントを合わせたい場所を選択できたりと、現在ではかなり多機能に進化しています。

レンジファインダーのピント合わせ

そもそも「レンジファインダー」という言葉の意味は、「距離計」です。

なので、レンジファインダーカメラの意味は「距離計の組み込まれたカメラ」、ということになります。

ピント合わせは、ファインダー内に組み込まれた測距装置で行います。

その仕組みは、異なる2点からの見え方の差から距離を測るというものです。(人間の目が左右に2コついているおかげで立体感が把握できるのと同じような仕組みです)

ファインダーをのぞくと、中央に画像のズレている小さな四角い部分があるのですが、これはファインダーとは別にある、測距用の小窓の画像をファインダー内に映し出しているのです。

そしてそのズレをファインダーの画像とピッタリ一致させることによってピントを合わせます。

ツァイス イコンのファインダー

中央の小さい四角が、測距用の小窓の画像

その操作は、レンズに付いているピントリングを手動で回転させることによって行います。つまりオートフォーカスではありません

これはレンジファインダーの大きな特徴のひとつです。

レンジファインダーのメリット

ピント合わせに関しては、完全にAFのほうが有利と思われるでしょう。しかも一眼レフは必要であればマニュアルフォーカスに切り替えることもできるので、何も言うことがありません。

しかしここは逆転の発想で、ピント合わせがやりにくいならいっそ捨ててしまえ、となるのです。

どういうことかというと、絞り込んでパンフォーカス(画面全体にピントが合うように)や、数メートル先に固定しておいてあとは微調整、という使い方が多いのです。

実際アンリ・カルティエ=ブレッソンは、晴れの日はF8、シャッター1/125、ピントは約5mで固定だったといいます。

つまり一度設定したら、その後は露出やピントのことは考えないのです。

しかも彼の場合は途中でレンズ交換もしないので、本当にフレーミングだけに集中できる状況を作り上げていました。

一眼レフのようにあれもこれも何でもできてしまうと、逆にそれがわずらわしさになってきますが、レンジファインダーの場合は潔く切り捨てることによって、むしろ撮影に集中できるのです。

不思議な逆説ですが、特に反射神経が要求されるスナップでは、非常に有効な方法です。

ピント合わせの方法の違いによる撮影感覚の違い

一眼レフは、ファインダー内のAFポイントで、狙った位置にしっかりピントを合わせるので、「しっかりとした作品撮り」という印象。

対してレンジファインダーは「ピント固定の素早いスナップ」という印象です。

ここでもやはり、一眼レフは「じっくり作りこむ」という撮り方になりますが、レンジファインダーは空間を見たまま「素早く切り取る」というような撮影に、必然的になってきますね。

ボディの違い

ボディの違いは、カメラとしての構造の違いが大きく作用します。

一眼レフのボディ

一眼レフのボディは、シャッターの前にミラーと、その上にペンタプリズムを組み込まなければいけないので、必然的に厚みが増し、また、プリズム部分が上に飛び出したような形になります。

キヤノン EOS 70D

キヤノン社製 EOS 70D

「Canon」のロゴの部分がぼっこり飛び出しているのは、そこにペンタプリズムが収められているからです。

また、シャッターに関しては、ミラーを跳ね上げたりしなくてはいけないので、総じてショックが大きく、音も大きいです。

レンジファインダーのボディ

レンジファインダーのボディは、一眼レフのようにミラーやプリズムを組み込む必要がないので、厚みも薄く、飛び出し部分もないので、総じてコンパクトでツルンと四角い印象です。

ツァイス イコン シルバーボディ

コシナ社製 ツァイス イコン

シャッターはミラーの駆動がないぶん音も小さく、静かです。

レンジファインダーのメリット

レンジファインダーは一眼レフに比べて、圧倒的にコンパクトです。そして静かです。

カメラはそもそも持ち出さなければ撮れないわけですが、コンパクトであれば、持ち出すのも苦にならないですね。

そして静かであるということは、特に人が多いところでも撮影が目立たずに、自然な情景が撮れるということにつながります。

ボディの違いによる撮影感覚の違い

やはり大きく重く、多機能な一眼レフは「ガッツリと作品を撮るぞ!」と気合十分に撮るタイプのカメラですね。

それに対してレンジファインダーは、お散歩にも気軽に持っていけるような「軽さ」、そしてコンパクトで街中でも目立たないので、「スナップショット」という撮り方に必然的になろうかと思います。

レンズの違い

レンズにもかなり特徴的な差があります。

一眼レフのレンズ

一眼レフのレンズはレンジファインダーに比べて、圧倒的に種類が豊富です

超広角から超望遠まで、また、ズーム、マクロ、ソフトフォーカス、シフトレンズなど、さまざまな焦点距離・バリエーションが豊富に揃っています。

そして、オートフォーカスから手ブレ補正まで、機能も充実しています。

まさに一眼レフが万能カメラたる所以です。

レンジファインダーのレンズ

レンジファインダーのレンズは、まず近接撮影が圧倒的に弱いです。最短で70cm程度です。

(まあこれはボディ側の問題でもありますが…)

また、ズームレンズも無く、すべて単焦点のマニュアルフォーカスです。

また、カメラの機構上望遠レンズが使いづらく、実用上ラインナップされているのは135mmまでです。

レンジファインダーのメリット

なんださんざんじゃないかと思われるでしょうが、レンジファインダーのレンズには優秀な点もあって、まずレンズ性能が一眼レフに比べて数段良いです。

レンジファインダーは一眼レフのようにシャッター前にミラーなどの邪魔なものがないため、レンズ鏡筒の後ろの部分をシャッター目前まで延ばせます。

そのため設計の自由度が高く、制限のある一眼レフに比べると、特に広角レンズの性能に差がつきます。

一眼レフしか知らない人が初めて使ってみると、そのレンズ描写の端正さに軽くショックを覚えるのではないでしょうか。私自身がそうでした。

また、一眼レフのレンズに比べて、圧倒的にコンパクトです。初めて見たら、そのコンパクトさにびっくりすると思います。

一眼レフのレンズがおにぎりだとしたら、レンジファインダーのレンズはおだんごくらいです。

「こんなのでちゃんと写るの!?」と一瞬思うかもしれませんが、その描写力をみて2度ビックリすることでしょう。

レンズの違いによる撮影感覚の違い

一眼レフはその圧倒的なレンズバリエーションと高機能性で、レンズの個性を生かした「作品作り」という使い方がメインになってくると思います。

そしてレンジファインダーの方は、そのコンパクトさと広角レンズの優秀さで、スナップ撮影がメインになってくると思います。

レンジファインダーの魅力

それではここで、レンジファインダーの特徴をまとめてみましょう。

  • ファインダーの見え方が肉眼に近い
  • ピント合わせに時間がかかる(必然的にピント固定で使われやすい)
  • コンパクトで静か
  • 広角側のレンズ性能が優秀

これらの特徴を総合すると、レンジファインダーはスナップ向きのカメラと言えます。

実際、ブレッソンもキャパも木村伊兵衛も、レンジファインダーカメラ(ライカ)使いはスナップ撮影の名手でもあります。

一眼レフは何でも撮れる万能カメラであり、スナップ撮影に関してもその多機能さでレンジファインダーをしのぐ場面がむしろ多いかもしれません。

それでもレンジファインダーを選択するということは、一眼レフでは叶えられない部分、「ファインダーの見え方」「コンパクトさ」「静かさ」そして「撮影の簡潔さ」を選択するということでもあり、そこがイコールレンジファインダーの魅力とも言えます。

では次に、そんなレンジファインダーの特徴が、撮影時どんな魅力となってくるのかを見ていきましょう。

ファインダーの見え方

一眼レフとは明らかに違います。

一眼レフは「レンズを通した世界」、レンジファインダーは「肉眼そのままの世界」です。

つまり、レンズに主導権があるのではなく、人間の目に主導権があります。

それは、「機材を駆使して撮る」というよりも、「身体の延長線上で撮る」という感覚です。

コンパクトさ

スナップ撮影においてコンパクトさが有利なのは、言うまでもないでしょう。

  • 撮影時に目立たない
  • 機材の持ち運びが楽

実際、ブレッソンの撮影は、同行者に「いつ撮ってるかわからない」と言わしめるほど。

スナップで一眼レフしか使ったことがない人は、それだけでも一度使ってみたくなりませんか?

静かさ

特にフィルムの頃のライカのシャッターは横走り布幕というシャッターで、現代のメタルフォーカルプレーンに比べて、ものすごく静かです。

よく言われているのが、一眼レフが「バシャッ」だとしたら、ライカは「コトッ」。

これは実際に聞いてみると分かりますが、あながち誇張ではありません。

街中で撮影していても、全く目立ちません。

撮影の簡潔さ

多機能な一眼レフに対して、レンジファインダーの撮影は極めてシンプルです。

露出を決めて、ピントを決めたら、後は撮るだけです。

便利な機能が少ない分、撮影は必然的に「シンプル」に行き着きます。

ブレッソンの撮影は、露出もピントも固定してしまい、実際にやることは「ただ撮ること」だけでした。

これ以上シンプルな撮影がありますでしょうか?

レンジファインダーで写真を撮る、ということ

自動化がそれほど進んでいないレンジファインダーカメラは、一眼レフに慣れきったユーザーからすると、はっきり言って不便なカメラです

「ラクにどんな絵でも撮れる万能カメラ」そもそもそういう発想のカメラではありません。

そこが一眼レフユーザーの理解を超える部分になろうかと思います。

「いったい何がいいの!?」

一眼レフユーザーのそんな声が聞こえてきそうですが、今まで見てきた魅力を総合したレンジファインダーの真の魅力、それは「人馬一体」です。

身体とカメラが一体となって写真を撮る、そんな感覚です。

それはシンプルな「操る楽しさ」です。

クルマとの比較

人馬一体というと、マツダの「ロードスター」という車が思い起こされますが、ロードスターが発売された当初、だれも現在のヒットを予想だにしていませんでした。

4代目 マツダ・ロードスター

4代目 マツダ・ロードスター

しかし、本当のクルマ好き、本当の運転好きにとって、人馬一体のライトウェイトスポーツこそが、実は待ち焦がれたクルマでした。

実際、ロードスターは世界中でひとつのムーブメントを巻き起こし、全世界の自動車メーカーが、再びライトウェイトスポーツに注目するきっかけを作りました。

そして、ベンツ、BMWといった名だたるメーカーもこぞって参入し、再び「ライトウェイトスポーツ」というジャンルが世界中で一般化したのです。

そうです。クルマは「安易に移動できればいい」というだけの道具ではありません。

シンプルに「運転する喜び」を感じたいという人が、潜在的に、これだけたくさんいたのです。

それは、各メーカーに1ジャンルを形成させてしまうほどのパワーでした。

そしてカメラもただ、「簡単にキレイな写真が撮れればいい」というだけではなく、シンプルに「撮る喜び」を感じたいという人も少なくないはずです。

そんな場合、クルマでは「ライトウェイトスポーツ」が選ばれるように、カメラにおいては「レンジファインダーカメラ」が選ばれるのです。

ファインダーは肉眼の視界に近く、露出もピントも、人間が考えてからカメラに設定します。

まさにマニュアル車の操作と一緒です。

また、コンパクトなのでしっくりと手に馴染み、長時間持ち歩いても苦になりません。

まさに「ライトウェイト」です。

レンジファインダーは、身体と一体化するカメラ。そしてそれは反射神経が要求されるスナップで特に威力を発揮する。

まさに「スポーツ」という感覚です。

機械を操作することに汲々とするよりも、身体で撮ることに魅力を感じたならば、ぜひ一度、レンジファインダーを「体験」してみてはいかがでしょうか。