ライカM3のファインダーは本当に最高?!

ライカM3のファインダーの1番大事な特徴

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ライカM3

ライカはM3のファインダーが至高で、これのためにM3を選ぶという話をよく聞きます。

しかし事実は、M3のファインダーが他のM型に比べて優れているということはありません。

それは他とは「違う」ということです。

M3のファインダーのみ、その他の機種とは作りが違います。

その違いによって、他とは違った特徴がある、ということです。

それが優れていると感じるかどうかは、個人の好みや使い方によります。

一概にM3が一番とは言えません。

ネット上の情報では、M3至高説がまことしやかに流れています。

それを鵜呑みにしてM3を買ってみたけど、実際使ってみたら合わなかった、ということはあり得る話です。

今回は、M3とその他のM型のファインダーの違いについて説明します。

ぜひ、選択の際の参考にしてください。

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目次

ライカM3の立ち位置

M3は最初のM型カメラとして、何かと神格化されがちです。

しかし初号機ということは逆に言うと、まだブラッシュアップされる前ともいえます。

カメラとしての機能は、基本的に次に出る機種の方が進化しています。

個人的にも最も使いやすいカメラは、最終形態であるM6であると実感しています。

ライカは何かと神格化されるカメラではありますが、「実際に使ってどうか」というところは、実際に使ってみないとわかりません。

ファインダーに関していうと、M3だけが、その他の機種とは作りが違います。

一般的にその理由は、M3のファインダーはコストがかかりすぎたので、それ以降の機種で簡略化したから、と言われています。

ここで、コストがかかる=優れている、という発想になりがちですが、それは必ずしもそうではありません。

それは実際に使ってみるとわかります。

そのどう違うのかという点を、これから説明していきます。

ライカM3とその他のM型のファインダーの違い

まず、M3のファインダーと他との主な違いは、以下の通りです。

  • 倍率の違い
  • 色味の違い
  • 明るさの違い
  • 二重像の違い

ひとつずつ確認していきましょう。

倍率の違い

まず最も大きな点はこれですね。

M3の倍率は0.91倍で、その他は一般的に0.72倍です。

ファインダーで見える像の大きさが違います。

M3は倍率が高いので像が大きく見え、その他はM3に比べると小さく見えます。

そして、M3の0.91倍という数字は、ほぼ等倍(1.0倍)に近いので、両目を開けて実像とファインダー像を同時に見ても、ほとんど違和感がありません。

そしてこの点は、メリットでありデメリットでもあります。

像が大きいということは、広い範囲が写る広角レンズでは、その写る範囲の全てを表示できないということです。

つまり、広角レンズのフレームが表示できないということです。

実際、M3のファインダーに表示されるフレームは、最低が50mmです。

50mm以下のレンズは、写る範囲が表示できません。

これが、0.72倍のライカM6になると、28mmまでのフレームが表示されます。

この違いは、まず大きいです。

M3で50mm以下のレンズを使おうと思ったら、カメラ直付けのファインダーでは対応できないということです。

なので、M3を50mm専用機にしている人は多いし、実際私もそうしています。

色味の違い

M3のファインダーについて、倍率の違いはいろいろなところで言われているので、知っている人も多いでしょう。

ここからは、あまり言われていない話です。

まずファインダーの色味ですが、M3のファインダーはブルーがかります。

その他の機種のファインダーは、わりとニュートラルですが、M3に関しては、ブルーです。

そして、二重像部分については、黄色っぽいです。

つまり、色味にコントラストをつけて、ファインダー像と二重像を分離させ、見やすくしているわけです。

これはM型以前のバルナック型でみられた工夫と一緒ですね。

バルナックからの変更の最初のモデルであるM3にも、この発想が受け継がれたということでしょう。

この特徴はM3のみで、M型のその他の機種にはみられません。

この点が、M3がクラシックな印象を与えている部分でもあります。

その他の機種のクリアなファインダーは、それに比べると現代的な感じです。

明るさの違い

これもあまり言及されることがないですが、M3のファインダーは他に比べて暗いです。

これは経年劣化からくるのか、もともとの仕様からくるのかわかりませんが、専門店にメンテナンスに出して最大限キレイにしてもらった後でも、暗いです。

もちろん、撮影に支障が出るほど暗いというわけではありませんが、ほかの機種と比べると、その違いがわかります。

これはファインダーの倍率が関係しているのかもしれません。

倍率0.5倍のバルナック型のファインダーが、驚くほど明るくてビックリしますが、光学的に倍率が小さくなるほど光を多く集めるということがあるのかもしれません。

マクロレンズでも、大きく写せば写すほど、露出倍数がかかって暗くなりますよね?

アレと同じ原理だと思うんですよ、たぶん。(誰か詳しい人教えてください笑)

だとしたら倍率0.91倍のM3のファインダーが、ほかの機種の0.72倍のファインダーに比べて暗いということも頷けます。

いずれにせよこのファインダーの明るさの違いは、見え方に影響する違いのひとつです。

なぜあまり言及されないのかが謎ですが。

二重像の違い

最も言いたかったのは、これです。(笑)

M3の二重像は色味の違いもありますが、もっと大事な違いがあります。

それは像が薄い、ということです。

つまり、ほかの機種に比べてピント合わせがしにくいということです。

これは、薄暗い状況になるほど、顕著です。

ほとんどピント合わせできないほど、薄いです。

これも仕様の違いなのか、経年劣化によるものかは、わかりません。

M3くらい製造から年数が経っているモデルは、その個体差も大きいでしょう。

見え方も様々だと思います。

私はM3は2台持っていますが、両方薄いです。

そして、この二重像の薄さに関しては、ネット上でもちらほら情報を見かけます。

この薄さに関して思うのは、M3は他の機種に比べてプリズムなどの部品点数が多いので、減光する要素が多いのではないかということです。

単焦点とズームの違いについては、良く議論されるテーマであります。しかし、ここでご紹介する観点については、あまり触れられることがありません。今回は、見過ごされがちだけれども非常に大きな意味がある、単焦点とズームの「ある違い」についてご紹介します。

↑こちらでも書いていますが、ガラスには光を反射・吸収する性質があります。

ガラス部品の点数が多いほど、光量ロスも多いはずです。

コストをかけて、部品点数を増やせばいいというわけでもないのです。

M3のファインダーはコストがかかっているからすごい、プリズムいっぱい使ってるからすごい、なんてよく言われますが、それは一概には言えません。

余談ですが、M3のファインダーには初期型、後期型とあり、ファインダーに使用しているプリズムの数もそれぞれ11個、9個と違うようです。

私のは両方初期型なので、この点も見え方に影響があるのかもしれません。

実使用の際に感じる、M3と他のファインダーの違い

さて、以上見てきた違いが、実際の使用においてどのような違いとなって表れるのかを確認していきましょう。

ファインダー倍率

まず、ファインダー倍率。

これは、50mm以上のレンズを使うなら、確実に大きいほうが見やすいです。

私はずっとM6を使ってきて、初めてM3に触れた時、そのファインダー像の大きさにまずおののきました。(笑)

「デカっ!」

このためにM3を買ってもいいと思うくらい、それは確実にデカいです。

そして、等倍に近いがゆえに両目を開けて見ても違和感がないという点。

これも確実にメリットでしょう。

ただ、50mm以下のフレームがないので、そこをどう考えるかです。

50mm以上でしか使わないなら、M3は大いにアリな選択肢ですね。

色味と明るさ

次にファインダーの色味と明るさに関してですが、これは単体で使用する分には特に問題はないと思います。

他との比較をすれば浮き彫りになる部分ではありますが、とりあえず見えているわけですから大きな支障はありません。

あとは好みの問題ですね。

二重像の薄さ

一番の問題はここです。

二重像が薄いと、ピント合わせに苦労します、ホント。

日中の明るい状況のもと、コントラストのハッキリとした被写体であれば問題ありません。

しかし、薄暗くなるとほとんど見えないといっても過言ではありません。

M3を使っていて一番ストレスに感じるのは、ここです。

M6であれば、肉眼で見えているのであれば、ほぼ同じように見えます。

薄暗くても肉眼で見えていれば、ピント合わせは可能です。

M3とその他のファインダーの違いを最も大きく感じるのは、この部分です。

倍率や色味は、好みや使い方で選べばいいでしょう。

しかしピント合わせは絶対にやりやすいほうがいいに決まっています。

M3は確かに、質感は高いし、感触も滑らかで、シャッター音も静か。

実に素晴らしいカメラです。ピント合わせ以外は。

と、注釈がついてしまうほど、他のM型に比べるとピント合わせしづらいです。

自分の使っている個体がたまたまそうなのかもしれません。そんなことはないとおっしゃる方もいるでしょう。

しかし、確実に言えるのは、初めてM3を手に入れるのであれば、まず真っ先に二重像の見え方をチェックしたほうがいい、ということです。

レンジファインダーカメラとは距離計カメラのことですが、その距離計が使えないなら一体それは何カメラだ、となるほど根幹にかかわる部分です。

まとめ

というわけで今回は、M3のファインダーについての紹介でした。

M3はファインダーが至高!素晴らしい!とよく言われますが、本当にそうだろうか?と思ったのが今回の記事を書くきっかけです。

私の印象だと、M3のファインダーは「素晴らしい」というよりも、「それ固有の特徴を持っている」という感じです。

決してM3が一番で、それ以外は劣っているという印象はありません。

M3のファインダーはコスト度外視で作っているとは有名な話ですが、だから使いやすいだろうと思うのは短絡的です。

とにかく「印象」だけで買わないほうがいいです。

実際に手に取って、自分の目で確かめたほうがいいです。

感じ方は人それぞれなんて言いますから、今回の記事をぜひ、ひとつのチェックポイントにして、自らの手と目で感じ取ってみてください。

一言でいうとM3のファインダーは、「倍率はすごい。でもピント合わせはしづらい」です。

この点を考慮に入れて、素晴らしいM3ライフを送っていただけたらと思います。(買う前提か笑)

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