写真が趣味、写真が好き、写真ファンという人は、相当数いるハズです。
特に日本人は写真好き、カメラ好きと言われています。
外国人が描くステレオタイプの日本人像は、必ず首からカメラを下げていますし、ライカの最大の市場は日本だとも言われています。
いったい写真の何がそんなに面白いのか。
今回は、写真に興味を持ち始めたみなさんに、写真の面白さについてお伝えします。
そして、写真を楽しむためのカメラ選びの重要性についても解説します。
「写真」と「カメラ」の関係は、特に初期の段階においてかなり深いものがあります。
写真というものを理解し、さらにその上でカメラなどの機材を理解しておけば、スムーズに趣味の写真を始めることができるでしょう。
もちろん、いま現在写真にどっぷり浸かっている方も、あらためてその面白さを再認識してみましょう。
目次
趣味における「写真」というものの特徴
まず、そもそも趣味における「写真」ってどんなものでしょうか。
ここでは4つの特徴について説明します。
- 単純で奥が深い
- 撮る内容・場所・時間を選ばない
- 機材の力
- それなりのコストがかかる
単純で奥が深い
写真についてまず真っ先に言えることは、「撮るのが非常にカンタン」ということです。
今のカメラは、ほとんどシャッターボタンを押すだけで撮れます。
誰にでもカンタンに撮れます。
ピアノやゴルフは「楽しめる」という段階に至るまでに相当な努力が必要ですが、写真の場合はカメラを買ったその日から楽しめます。
とにかく参入の敷居が低いことが、まず第一に挙げられます。
そしてこれは全ての「ハマる」要素に通じますが、それだけ単純でありながら実に「奥が深い」ということです。
テトリスがあれだけ世界的なヒットを記録したのも、「単純で奥が深い」からですね。
写真は、「シャッターを押せば写る」というこの上ない単純さでありながら、それがもたらす結果は、無限のバリエーションです。
同じカメラ・同じシチュエーションで撮ったとしても、人が違えばちっとも同じ写真になりません。
この「簡単、単純、しかし奥が深い」という要素が、写真を趣味にふさわしい「ハマるもの」にしています。
撮る内容・場所・時間を選ばない
そして写真は、いつでも撮れます。どこでも撮れます。そして何でも撮れます。
写真に撮る対象は、風景から人物、街並みから食べ物まで、ありとあらゆるものが対象になります。
そして、家の中でも屋外でも、海でも山でも街中でも、日本でも外国でも、どこでも撮れます。
もちろん、朝でも昼でも晩でも。散歩中でも旅行中でも。
「なんでも撮れる」「どこでも撮れる」「いつでも撮れる」
この自由度の高さが、そのままユーザーの受け皿の広さにつながっています。
機材の力
そして、いい機材はそれで撮るだけで誰でもキレイな絵が撮れてしまうのも魅力です。
明るく解像度の高いレンズ、高画素で高い画像処理能力のあるカメラは、ただそれで撮るだけで素晴らしくキレイな絵をもたらしてくれます。
絵画の場合は、素晴らしい絵筆や絵の具を手に入れたからといって、それだけで素晴らしい絵が描けるわけではありません。
ゴルフクラブも、素晴らしい道具を手に入れたからといって、それだけで飛距離が伸びるわけではありません
趣味において「道具」とそれを「使いこなす」ことはまた別の問題であることが多いです。
しかし写真の場合は、「いい機材」はシャッターを押すだけで、(とりあえず)即結果を出してくれます。
いい機材を手に入れて「ただ撮る」だけでとりあえず「プロっぽい」写真になるのは、写真ならではの特徴です。
この「即効性」。
最初の一歩の段階から、ある程度イイ感じに撮れる(そのためにはある程度の機材は必要ですが)ことがまた、写真という趣味を入りやすいものにしています。
そしてもちろん、使いこなせば使いこなしただけ、さらにいい絵が撮れるようになりますので、写真は即効性に加えて奥深さも備えています。
機材のコレクション性
ちなみに写真については、それを撮るためのカメラやレンズといった機材それ自体の魅力も挙げられます。
写真はほとんど撮らないけれども、カメラやレンズをコレクションしている人もいるくらいです。
というか、買った新品を一回も箱から出さないで、「コレクションのためだけ」に機材を買う人もいるくらいです。
この「機材自体の魅力」も、私たちを楽しませてくれる要素です。
コストについて
さて、上記の特徴は、わりと誰でも始められるという「手軽さ」についての話でしたが、次は写真の「ハードル」となる点です。
それは機材の「コスト」という側面です。
カメラやレンズといった写真用の機材は、誰にでもプロっぽい写真をもたらしてくれると同時に、それなりのコストがかかります。
写真の参入障壁はココに尽きると言っていいでしょう。
「写真はやってみたいけれどもどうしよっかなー」と迷う原因は、「機材」に対するコストの高さがかなり大きいです。
それは「ちょっと試しにやってみようかな」と気軽に試すには少々高すぎる投資なのです。
もちろん、スマホやコンデジでも写真は撮れますが、「趣味の写真」と言えるレベルの写真を撮るためには、やはりそれなりの機材が必要です。
安くて10万20万のレベルで、高ければ100万を超えます。
まあここもクルマが趣味であれば100万200万は普通にかかることなので、考え方次第なのかもしれませんが、この「コスト高」は写真を始めるにあたっての、かなり大きなハードルと言っていいでしょう。
「趣味の写真」と「機材」の深い関係
ではここで、趣味としての「写真」の特徴をまとめておきましょう。
- 撮るのが簡単(しかし奥が深い)
- いつでも、どこでも、何でも撮れる
- 機材の力が大きい(いい機材であれば初心者でもすぐに結果を出せる)
趣味の写真は、この「カンタンさ」「手軽さ」「即効性」によって、誰にでも始めやすいのが特徴です。
そしてもう一つの特徴が、
- それなりのコストが必要
です。
趣味の写真を始めること=それなりの機材をチョイスすること
つまり写真という趣味を「始める・始めない」は結局、機材のための費用が出せるのかどうか、という点に尽きます。
そこさえクリアすれば、あとは「カンタン」「手軽」「即効」なので、やること自体は難しくありません。(続く、続かないは別として)
それはつまり、趣味の写真を始めるにおいては「どういうカメラ(撮影機材)を使うのか」が最も重要な部分になる、ということです。
「いやいや、カメラは関係ないよ、写真はセンスだよ」
「スマホでもコンデジでも趣味の写真は始められるよ」
そう言いたくなる人もいるでしょう。
でも、そう言いたくなるのはたいていキャリアの長いセミプロ級の人たちです。
そういう言葉は、長いキャリアの中でつかんだ、一種の「悟り」としての言葉であって、今から始める初心者にとっては、あまり意味のない言葉です。
スマホやコンデジならすでにやっとるがな。
そこから先に行きたいがための「趣味の写真」です。
初心者にとってはそのラインが、「それなりの機材」です。
初心者にとってはラインを越えて確かめたいことがあるのです。
「その先」を見てみたいから「それなりの機材」を購入しようか迷っているわけです。
それは長年ラインのこっち側にいる人間にとっては、とうの昔に忘れてしまった感情です。
写真とカメラの関係
「プロはスマホだろうがコンデジだろうがどんな機材であってもいい写真を撮る」
と言われます。
しかし同時に、
「いい機材で撮れば初心者だってプロっぽい写真が撮れる」
とも言われます。
つまり写真では、「機材」と「カメラマンの腕」のウェイトは「半々」です。
これに対して絵画の場合は、
「プロはどんな道具であってもいい絵を描く」
とは言われますが、
「いい道具で描けば初心者だってプロっぽい絵が描ける」
とは絶対に言われません。
このことが、写真における「道具」(=撮影機材)のウェイトの大きさを如実に示しています。
写真の難しさ=自分に見合った機材を見極めること
そして、その大きなウェイトとなる撮影機材には、その効果に見合ったコストがかかります。
安すぎると、期待した効果が手に入らない。
また、高いからといって必ず気に入るというわけでもないし、必ずしもその効果が自分にとって必要というわけでもない。
つまり、写真という趣味の難しさのひとつは、自分に見合った機材を見極めること、です。
はじめから奮発して高価な機材を揃えても、重すぎてとても使う気になれない、となるかもしれませんし、ひとまず安いもので試しに、と買ってみても、すぐに不満が出て買い替えることになるかもしれません。
写真においては機材が大きなウェイトを占めることになる。
そして、機材の良否は実際に使ってみないとわからない。
これが「趣味の写真」の実情です。
それは自分の身体でラインを越えてみないとわからない世界です。
写真のメリット?
しかし、ものは考えようです。
何をやるにしても「壁」は立ちはだかるものであり、それがお金(機材)で解決できるのであれば、写真とはある意味ラッキーなのかもしれません。
ピアノやゴルフであれば、写真で言うところの「シャッターを切る」程度のレベルにいくのに、相当の努力を要します。
ピアノであれば表現云々の前に、とりあえず「弾ける」というレベルにいくのに相当な努力が必要ですが、写真であればカメラさえ買えばいきなり「表現云々」から入れます。
写真の「面白さ」とは
では次に、写真という趣味の「面白さ」の部分について見ていきましょう。
写真に限らず全ての趣味は「面白い」からこそ始めるものです。
ここでは写真の面白さとして、
- ものづくりの面白さ
- 自己表現の面白さ
- コレクションの面白さ
の3点について説明します。
ものづくりとしての写真
カルチャー教室では、絵画や陶芸や生け花などが盛況ですが、人間はそもそも、「工夫をこらすこと」や「作ること」が好きな生き物です。
だから人類はここまで発展してきたのでしょう。
ものづくりを面白いと思うのは、そもそも人間が「作ることを面白いと思う」という基本的性質を持っているからです。
料理が好きな人もいるでしょうし、プログラミングが好きな人もいるでしょうし、プラモデルを作るのが好きな人もいるでしょう。
写真も「1枚の絵を作る」という意味では、ものづくりの一種です。
撮影においては露出や構図やライティングに工夫をこらし、撮影後はまた現像やレタッチでさまざまな工夫をこらします。
そうして作った絵を、さらに複数枚レイアウトしてアルバムや写真集を作ったりもします。
そうした「ものづくり」の面白さが、そのまま写真の面白さでもあります。
自己表現としての写真
それから人間には、「自己表現」への欲求があります。
人間は抑圧されるのではなく、自由に自分らしく振る舞いたいものです。
社会生活の中ではなかなかそれは実現できませんが、「作品づくり」の中ではそれが実現できます。
多くの人間が「趣味」というものを持つのは、そこにおいて自分自身を解放して、のびのびと自由にしたいからでしょう。
そういう意味で、趣味の作品づくりは「自己表現の場」とも言えます。
好きなカメラで、好きな被写体を、好きに撮って、好きに仕上げる。
まさに「趣味全開」で自分らしく振舞える場としても、「写真」は活用できます。
コレクションの対象としての写真
これは機材を集めるのではなく、写真を集めるほうの話です。
キレイだなーと思った瞬間、スゴいと思った場面、残しておきたいシーンを、写真なら残しておけます。
しかも写真は、いい機材とある程度のテクニックがあれば、ほとんど現実よりもいい感じに写ったりします。
この「好きな絵」「欲しい絵」「気に入った絵」をコレクションしていけるコレクション性も、写真の魅力のひとつです。
趣味の写真におけるカメラ選びガイド
では写真の面白さを確認したところで、それぞれの面白さを楽しむためのカメラ選びについて見ていきましょう。
趣味の写真において「カメラ(撮影機材)」がとても大きなウェイトを占めるのは、最初に見た通りです。
最適なカメラを選ぶことによって、趣味の写真はより楽しめるものになるでしょう。
「作る」を楽しむためのカメラ
「作る」を楽しむ場合は、カメラだけでなく、画像処理のためのパソコンやソフトウェアも重要になってきます。
うっかり「カメラ」だけに投資しないように注意しましょう。
ライトルームやフォトショップといった画像処理ソフトは必須でしょうし、それを動かすためのそれなりのスペックを持ったパソコンも必要になります。
この場合の撮影機材は、一点豪華主義よりも、まんべんなくいろんな機材を揃えたほうが、撮影のバリエーションが増えて面白いでしょう。
カメラであれば一眼レフやミラーレスなどいろんなタイプのカメラを試してみたいでしょうし、レンズであればズームから単焦点、明るいレンズから寄れるレンズまで、さまざま試してみたいはずです。
そして、カメラやレンズの撮影機材については、中古市場が豊富です。
売って買ってを繰り返すことによって、いろんな機材を試せる点も、カメラのいいところです。
「作る」を楽しむ場合は、ひとつの機材にこだわらず、いろんな機材を試してみることによって、いろんな可能性に出会えます。
また、そのためのフォロー体制として、カメラ機材は中古市場が充実しているのも、メリットのひとつです。
積極的に活用するといいでしょう。
「自己表現」を楽しむためのカメラ
これはもうスペック云々ではなく、自分の「好きな」カメラですね。
最近はクラシックなフィルムカメラが人気だったりしますが、これなんかもスペック云々ではなく、自分の「好きな」カメラが選ばれている結果でしょう。
カメラには「便利な」「ハイスペックな」という観点だけでなく、「わくわくする」「なんかわかんないけど好き」という観点も存在します。
不便極まりない、撮りにくいカメラであっても、使うこと自体が「わくわくする」「楽しい」というカメラも存在するわけです。
そのカメラを使うこと自体が、一種の自己表現であり、喜びでもあるのです。
「好きな人が、できました」は「耳をすませば」というジブリ映画のキャッチコピーですが、「好きなカメラが、できました」で、趣味の写真に入ったっていいわけです。
「自己表現」は、もはやカメラ選びの段階から始まっています。
自己表現のための写真なら、遠慮なく好きなカメラを選びましょう。
コレクションを楽しむためのカメラ
写真を「コレクション」するために最適なカメラは、やはりいつでも持ち運びできて、撮りたい時にいつでも撮れるカメラです。
なおかつ画質もそれなりであって欲しいものです。
その点スマホのカメラはいい線いっていますね。
いつも持ち歩いていますし、画質もまあ悪くないでしょう。
「記録」という意味なら、スマホは申し分ないと言えるかも知れません。
しかし、写真の「雰囲気」というものを重視する場合、スマホでは役不足になります。
雰囲気のある写真のためには、「ボケ」が重要な役割を果たしますが、スマホの写真はほとんどボケません。
ある程度ボケて、なおかつ持ち運びがしやすいカメラということでは、いわゆる「高級コンパクト」というジャンルのカメラが候補にあがります。
その際、「ボケ」重視で選ぶなら、レンズの明るさとセンサーの大きさに着目すると良いでしょう。
レンズは「明るいほど」、センサーは「大きいほど」よくボケます。
そして、最近ではこの「コレクション系」の趣味人の間でも、やはりフィルムカメラが流行だったりします。
インスタグラムでは「#フィルム」「#フィルム写真」「#フィルムカメラ」「#写ルンです」が盛り上がりをみせています。
いわゆる35mmのフィルムカメラは、そもそも全て「フルサイズ」であり、明るいレンズと組み合わせればボケも申し分ありません。
デジタルだとかなり高価になる「フルサイズ機」が、フィルムだとかなり安価に手に入るわけです。
さらにこだわる人には、より大きいフォーマットである中判カメラという選択肢もあります。
中判でデジタルとなれば、それこそ100万200万の世界ですが、フィルムであれば数万円から手に入ります。
そしてフィルム独特の「質感」が、またいい味出しています。
「ボケ」や、フィルムならではの「質感」が、コレクションするにふさわしい画質を備えているわけです。
コレクションを楽しむためのカメラとしては、撮りやすく画質もいい「高級コンパクト」。
あるいは、さらにこだわって「フィルムカメラ」という選択肢もいいでしょう。
これからの「写真」
さて今回は「趣味として始める写真の手引き」でした。いかがでしたでしょうか。
趣味としての写真は、最初の「機材のための投資」さえクリアすれば、あとはカンタンです。
しかし、その投資が「適か不適か」が不透明なところが、写真という趣味をむずかしくしています。
そもそも続けて写真を楽しめるかどうかも、ちゃんと機材を揃えて実際にやってみないとわからないことです。
買ったはいいけど使わなくなった、はよくある話でしょう。
そのあたりの解決方法はこちらに詳しく書いてありますので、ご参照ください。↓
さてこれからの時代、写真はますますその重要性を増してくるのは間違いないでしょう。
昨今、スマホやデジカメ、PCなどのビジュアルデバイスとネット環境の普及によって、「写真でつながる」という環境が整いつつあります。
その中でインスタグラムをはじめとする写真SNSが加速度的に隆盛を極め、「言葉」ではなく「写真」によってコミュニケーションがとられる時代です。
まさに「百聞は一見にしかず」。
言葉よりもビジュアルの時代です。
その裏にあるのが、「見ることの快感」という、人類共通の感覚です。
見ることは、気持ちいい。
人は気持ちのいい画面にひきつけられます。そこに言葉は関係ありません。
どんな国境も越えて伝わるもの。それが写真です。
これからのグローバルな時代、
「ビジュアルをコントロールする能力」=「コミュニケーション能力」
です。
インスタグラムの人気者は、ビジュアルをコントロールする能力によって、絶大な影響力を獲得しています。
つい最近も、ふとテレビを見たら知り合いのインスタグラマーが出ていました。もちろんごく普通の一般人です。
「写真」と「インスタグラム」がなかったら、どこかでひっそりと一生を終えていたかもしれない名も知れない一般人が、ビジュアルをコントロールする能力によってテレビ出演まで果たす時代です。
写真はもはや「趣味」の領域ではありません。
読み書きそろばんと同じ、一般教養の時代なのです。
さあ、あなたも写真を始めたくなりましたね。
ようこそ写真の世界へ。(笑)