デジカメ世代のためのフィルム撮影ガイド

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フィルム写真

高画素、高機能化のスピードがぐんぐん増すデジカメの世界。ついて行くのにも一苦労です。

そもそも写真は好きだけど機械は好きではない方、せっかく買ったのに2、3年で時代遅れになってしまうスピードにうんざりな方も多いでしょう。

ネガフィルムところで、「フィルム」ってご存知ですか?

デジカメがない頃は、写真撮影は全てフィルムで行っていました。若い人では見たことがない人も多いと聞きます。

初めての人には何だか敷居が高いと感じられるかもしれない「フィルム撮影」ですが、実はむしろカンタンなのです

複雑化、そしてスピードアップするデジカメの世界に疲れてしまったら、シンプルでスローなフィルム撮影の世界を体験してみてください。

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フィルム撮影の概要

まず、フィルムの種類ですが、主に3種類あります。

  • カラーネガ
  • モノクロネガ
  • リバーサル

ここでは最もカンタンな「カラーネガ」を取り扱っていきます。

モノクロネガおよびリバーサルは、どちらかといえばディープな世界です。のちのち興味がでてくれば試してみるのもよいでしょう。

さて、それではフィルムで撮影する際の大まかな概要を見てみます。

  1. 撮影
  2. 現像・プリント・データ化(撮影したフィルムを実際に見れる状態にする)
  3. 閲覧

デジカメだと撮ってすぐに画像を見ることができますが、フィルムだと「現像」という工程が1コ挟まります。つまり、撮ってすぐには見られない、ということです。

フィルム撮影の特徴

撮影に集中できる

撮った画像をすぐに見られないとなると、「えーそんなの困る。撮ってすぐに確認しないと不安だ!」そんな声が聞こえてきそうですね。

デジカメでしか撮影をしたことがない人は、「撮る→見る」は、ほとんどワンセットの動作になっています。

その場でどういうふうに撮れているのかわからないと、そもそも撮影なんてできない!と思われるかもしれません。

しかし見ないで済むということは、それだけ撮影に集中できるということです。

  • デジカメ=撮る→見る→撮る→見る…
  • フィルム=撮る撮る撮る撮る

このように、常に被写体に集中していられるので、シャッターチャンスを逃すことがありません。

ただ問題は、ちゃんと撮れているかどうかの不安を、どう払拭するかですね。

心配ご無用です。

ネガフィルムというものは、とても露出の許容範囲が広いのです。(ピントについてはちゃんと合わせてくださいね)

写ルンです写ルンです」をご存じですか?

フィルムに、レンズやシャッターユニット、ストロボ等が付属した、いわゆる「使い捨てカメラ」です。

そのスペックは、

  • ISO400
  • 絞りF10
  • シャッタースピード1/140

固定です

絞りもシャッタースピードも固定のままで、晴天の屋外から暗い室内まで、どんな状況でも撮影してしまうのです。オドロキのアバウトさフトコロの深さです。

すなわち、フィルム撮影というものは、細かい露出のことは気にしなくてよいです

「露出はオレにまかせろ、君は撮影に集中してくれ」そうネガフィルム君は言っているのです。

実際撮影してみると、失敗したかな?というようなカットでも、意外とちゃんと写っています

ネガ自体の許容範囲が広い上に、プリント時(データ変換時)の補正が可能な点も大きいです。

何度か撮影して、ちゃんと写ることが確認できると、ネガに対する信頼感も生まれてくるでしょう。

ちなみに露光のコツとしては、ネガはアンダーよりもオーバーに強いので、1段くらい多めに露光をかけておくとベターです。(絞りF8ならF5.6に、シャッタースピード1/250なら1/125に)

このようにネガ撮影は、シンプルに撮影に集中できる点が、まず大きな特徴です。

1カットが貴重

フィルム撮影には

  • フィルム代
  • 現像代
  • プリント代またはデータ変換代

といった追加コストがかかります。

最近はフィルム代も高騰しているので、そのあたりでちょっと手が出せないという方もいるでしょう。

しかし、コストがかかるとはどういうことでしょうか。

それは1カットの重要性が大きくなるということです。

デジカメだと何枚撮っても0円なので、逆に集中力を保つことが困難かもしれませんが、1カット30円だよと言われたら、いやがうえにも集中力が増します。いやむしろ、普段は出ないような集中力が出てくるかもしれません(笑)。

普段はルーズに撮ってしまうような状況でも、目を皿にしてフレーミングを何度も確認してしまうかもしれませんし、バシャバシャ連射してしまうような状況でも、本当にピークである一瞬を息を殺して凝視するようになるかもしれません。

実際そこまで気合を入れる必要はないかもしれませんが、何にせよ1枚を大事にする気持ちはしっかりと培われると思います。

1枚1枚を大事にしながらシャッターを切る。たくさん撮れないからこそ、1枚に込める思いも強くなる。だからこそ1枚1枚の価値も高まる…。

Less is more

という言葉があります。

近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエの言葉ですが、直訳すれば、「より少ないことは、より豊かなこと」です。

まさしくフィルム撮影の魅力をストレートに言い表した言葉です。

大量の画像に埋もれて(しかも9割方ムダなカットだったり)閲覧するのも一苦労、あげくの果てにはため込むだけで見なくなる…。

そんな状態と、数は少ないけど、全てのカットに愛着があって、何度でも見たくなる。

どちらが真に豊かでしょうか?

やわらかい画質

ネガフィルムの特徴はいろいろありますが、ハッキリ言ってこの画質が最も大きな特徴です。

まず、ネガフィルムが好きで使っている人の、理由のほとんどはその「画質」にあると言っても過言ではありません。

一般的には、デジタルのほうが解像度が高く鮮明で色もきれい、ですよね?

しかし、「解像度が高く鮮明で色もきれい=素敵な写真」とはなりません

人間の感覚とは不思議なもので、「高性能=好き」とはならないのです。

車に例えると、スピードも馬力もあって運転がラクな現代の車よりも、手がかかるけどミニのような車をスキになる人もいる、ということです。

ミニクーパー

ネガが好きな人は、数値で計れるスペックよりも、そのテイストを愛しているのです。

では実際に比べてみましょう。

デジタル画像

こちらはデジタルカメラの画像です。

シャープで色もハッキリ出ています。まさに「高性能」という印象です。

ただしデジタルはハイライト(光があたっている最も明るい部分)の描写が苦手で、輝度差が大きい状況で、中間の明るさに露出を合わせるとハイライトの部分は白トビしてしまいます。(画像でいうと手の甲やほっぺの部分)

次にネガフィルムの画像

フィルム画像

デジタルのようなシャープさは無く、コントラストもユルく、全体的にやわらかい印象です。

これは、ある程度大きな輝度差であっても全て取り込める、ネガのフトコロの深さからくる特徴です。

この独特のやわらかさが、好まれる大きな理由のひとつです。

デジタルとは対極的、と言っていいでしょう。デジタルがプリウスなら、ネガはミニです。「どっちがお好み?」という話です。

また、デジタルが「無機的」なら、ネガは「有機的」とも言えるでしょう。

これはデジタルが電気信号と演算によって画像を形成しているのに対して、フィルムは「銀粒子」という「物体」を化学反応させて作る、という違いがあるからです。

特に撮る対象が人物や花などの「有機的」な感じなら、このテイストがより一層マッチしますね。

撮影後の作業が不要

「デジタルなんだから、やわらかくしたかったら撮影後の処理でそうすればいい」、という声も聞こえてきそうですね。

このデジタルの「撮影後にどうにでもなる」という考えも、複雑化の要因のひとつです。

自由度が高いからこそキリがなくいじれてしまうので、なかなか終われない。そして延々と作業に時間を費やしてしまう。

がっつりとデジタル撮影に取り組んだ方ならご経験がおありでしょう。

それが好きなら問題ないのですが、疲れませんか?

フィルム撮影の特徴には、撮影後の作業が不要な点もあります。

写真屋さんに丸投げして、あとは仕上がりを待つだけです。ラクチンです。

「好みの問題もあるから、仕上がりに不満を持つこともあるのでは?」

デジタルで自分好みに細かく調整することに慣れているとそう思うかもしれませんが、人が仕上げたものに関しては、実はそんなに気にならないです。

自分で作業するからこそ、他人にとってはどうでもいいような細かい点が気になるのであって、自分が人の作業を他人の目で眺める番になれば、わりと細かい点などどうでもよくなるのです。

ちなみにポパイカメラさんのように、仕上がりについて細かく相談に乗ってくれるお店もあります。

オススメのカメラ&フィルム

さて、「それでは実際に撮影してみるか」となった場合に、どんなカメラやフィルムを使えばいいのか?

次はそのあたりをみていきましょう。

フィルムカメラ

フィルムカメラはデジカメと違って、画質はフィルムの選択によって決めることなので、カメラ自体の重要性はデジカメほど大きくありません。(むかしは「暗箱」なんて呼ばれてましたね。要するにただの「箱」です)

それよりも重視すべきは、レンズの性能です。

フィルム撮影で実際に画質のクオリティを決定づける要因となるのは、レンズとフィルムの選択だけです。いたってシンプルです。

一眼レフをお持ちであれば、現在お手持ちのレンズ資産を生かせばよいでしょう。

また、コンパクトカメラであれば、リコーのGRシリーズや、コンタックスTシリーズあたりがレンズ性能に定評があります。

基本フィルムカメラの入手は中古品になりますが、中古市場はかなり豊富です。

使ってみることが目的で何でもいいよ、ということであれば、かなり激安で手に入ります。気軽に試してみるとよいでしょう。

ネガフィルム

まず感度ですが、ISO400がオールラウンドに使いやすいです

ISO100だと、室内とか暗い状況で使いづらいし、ISO800以上だと昼間の屋外とか明るい状況で使いづらいです。

また、露出を取る時に、ISOを固定しておけば(例えばISO400なら400をずっと使い続けると)後は絞りとシャッタースピードだけを気にしていれば良いという利点があります。

ISO100とかISO800とか、都度入れ替えていたらそのたびに混乱してしまいますので。

また、基本的に低感度ほど粒子が細かく、なめらかな画像になりますが、ISO400以下であれば特に気にする必要はないでしょう。

むしろ少しザラついた粒子感もフィルム独特の魅力なので、そこも楽しんでいただきたいですね。

メーカーに関しては、ほぼフジかコダックの2択になると思いますが、色味に関して、総じてフジはニュートラル、コダックは若干黄味がかる傾向にあります。

これは、コダックがアメリカのメーカーであり、青い目に対してニュートラルを取っているため補色である黄色がかぶっている、という話を聞いたことがあります。(なるほどと納得してしまいましたが、実際のところどうでしょう?)

ただ、はっきり言って色味に関してはプリントやデータ変換時にいかようにも補正できるので、そんなに気にしなくていいと思います。

それから、両社とも、一般向けとプロ向けの2ラインありますが、ここは一般向けのほうをオススメします。

フジ コダック
プロ向け PRO400H ポートラシリーズ
一般向け X-TRA400 等 SuperGold400 等

なぜなら、プロ向けは高性能すぎてデジカメの画像に近くなってくるからです

一般向けのほうが「ネガらしさ」が楽しめると思います。(そもそも安いですし)

それから、たとえば同じフジの一般向けのISO400でも、「SUPERIA PREMIUM 400」と「X-TRA400」では、発色が全然異なります。

SUPERIAは濃く、みっしりとした発色、X-TRAそれに比べるとあっさりしています。

また、アグファやロモグラフィーといったマイナーな海外メーカー製も、独特の発色で根強い人気があります。

フィルムは実際に使ってみないと好みかどうかわからないので、ぜひいろんな銘柄を自分の目で確かめてみてください。

ちなみに個人的には、X-TRA400のいたってフツーな感じが気に入っています。

現像・プリント・データ化

さて、撮影したフィルムは現像処理に出さないと画像が見られません。

最近ではネットで安く現像できるお店も増えたので、昔に比べてむしろオトクになっています。ヤフオク等に出品している業者もありますね。

オススメは、現像+データ化です。

ネットショップだと、送料はかかりますが、1本350円~程度でできるので、非常にオトクです。

昔は同時プリントが一般的でしたが、これだと全部のカットに対してプリントが付いてきてしまいます。

それよりはデータにして、必要なカットのみプリントする方が経済的で場所も取りません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。一通りフィルム撮影の特徴とその魅力がご理解いただけたかと思います。

ここでフィルム撮影のキーワードをまとめてみましょう。

  • 「撮影自体」に集中できる
  • デジカメに比べて1カットの価値が高い
  • オーガニックでやわらかい画質
  • 撮影後の作業が不要

デジカメの複雑さに疲れてしまったら、シンプルな撮影とやさしい画質のフィルム撮影をぜひ体験してみてください。

現在では、フィルムカメラも中古で安く手に入りますし、ネットであれば現像・プリントも激安です。(フィルムだけが若干高いですが…)