【モデル撮影のコツ】カメラマンはモデルを、モデルはカメラマンを理解しよう

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モデル撮影

最近はモデル撮影会も盛況で、休日の公園やスタジオではモデルさんを囲んで盛り上がっていますね。

また、ツイッターやインスタグラム経由で、いわゆる「被写体モデル」をやったりカメラマンをやったりという活動も盛んです。

高性能デジカメとSNSの普及で、「撮りたい人」と「撮られたい人」が簡単に結びつく時代になりました。

今回はそんな時代における「モデル撮影」のコツを、カメラマンとモデルの両方の立場から検討してみたいと思います。

モデル撮影は「人対人」であり、ブツや風景とはまた違った面白さと難しさがあります。

ブツや風景はカメラマンからの一方通行ですが、モデル撮影は「双方向」です。

そこではお互いのやり取り、コミュニケーションが大事な役割を果たします。

モデル撮影は撮影以前に一種の「人間関係」です。

そんなモデル撮影はよく音楽における「ジャムセッション」に例えられますが、コツもやっぱりあれと一緒です。

各プレイヤーが即興で音を合わせる際に重要なのは、「まわりに合わせること」と「自分なりの主張」のバランスです。

つまり「呼吸(を合わせること)」です。

撮影においては、モデルはカメラマンの撮影意図をくみ取ることが重要ですし、カメラマンはモデルの表現意図をくみ取ることが重要です。

モデル撮影においては、この「呼吸」が、ある意味カメラ的なテクニックよりも重要と言えるでしょう。

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モデル撮影とは

モデル撮影とは、要は「」が被写体となる撮影です。

単純に撮影とか関係なくても、人と人が相対するとき、そこに何らかの「空気」が存在することは、どなたも否定できないと思います。

「なんかこの人とは気が合わないな」

「なんかこの人とは気が合いそう」

何の言葉も交わさないうちから、人には「印象」「空気感」というものがあり、お互いにそれを敏感に感じ取っています。

そして、その「印象」「空気感」は永久不変のものではなく、コミュニケーションを通して変化します。

はじめは「なんかイイ感じ」と思っていた印象も、コミュニケーションを重ねるうちに「なんかイヤな感じ」になることはありますし、「なんかイヤな感じ」が「なんかイイ感じ」になることもあります。

そしてモデル撮影においては、ぜひとも「なんかイイ感じ」で進めたいものです。

なぜなら、どんなにハイスペックなカメラで、どんなに高度な撮影テクニックを駆使したとしても、結局撮るのは「人」であり、結局写るのはその人の「空気感」だからです。

「空気まで写る」とはカールツァイスのレンズの売り文句ですが、同社製のプラナーというレンズがポートレート向きと言われるのは、そんな「空気まで写る」描写力と無縁ではないわけです。

優れた機材によって空気まで写るのは大変結構です。

でもその前に肝心の空気を作らなくてはいけません

コミュニケーションによってその空気感をいい方向に持っていけるのであれば、それはぜひともそうすべきです。

「モデル撮影」独特の要素

そういった「コミュニケーション」や「空気」は、相手が「」だからこその要素です。

相手が「人」だからこそ、身なりに気をつかったり、言葉遣いに気をつかったりして、「空気感」の醸成に気を使います。

そうです、モデル撮影において「空気感」作りは、もはや「作品」作りです。

この「一見撮影には全然関係ない部分が重要な役割を演じる」という部分が、数ある撮影ジャンルの中でも「モデル撮影」を独特なものにしています。

モデル撮影を成功させるコツ【撮影前】

モデルとカメラマンの相互理解のためには、お互いがお互いのことを知る必要があります。

それぞれの立場を確認してみましょう。

モデルの側からみたモデル撮影

まずはモデルの側からみたモデル撮影について。

最近は職業モデルではない素人のモデルも、ギャラとか関係なくネットでカメラマンとつながって撮影してもらうことも多いですね。

何のためにそんなことをするのかというと、「自分を良く撮ってもらいたいから」が最も大きな理由でしょう。

自分をヘンに撮ってもらうためにわざわざ志願するような人はいません。

自分では撮れないような素敵な写真が欲しいわけです。

この「自分を良く撮ってもらいたい」というのは、プロモデルであろうと素人モデルであろうと、かなり大きな要素としてあります。

その際見ているのは「自分が」どう写っているかです。

で、ありますから、撮った写真を見て出てくる感想が、カメラマンの側からすると思いもよらないものだったりします。

「うわー顔が丸い!」

「腕ふとっ!」

カメラマンからしたら「見たまんまその通りですけど??」というようなことも、モデルからするとカメラマンなんだから何かスゴいテクニックで魔法のようにキレイに写してくれる、と思っているかのようです。

確かに撮る角度やライティング、あるいはレタッチで、ほっそりと、あるいは表情さえも変更可能ですが、カメラマンの側としては、そんなことをしたいがために撮っているわけではない(場合が多い)わけです。

この点がまずミスマッチですね。

カメラマンの側からみたモデル撮影

では、カメラマンの側からみたモデル撮影はどうでしょうか。

カメラマンはそもそもなぜ、モデル撮影をやりたいのかというと、自分の表現や作品作りのためでしょう。

「人(モデル)」を使った表現がやりたいわけです。

それは表現のために「モデルを使う」、という発想です。

で、ありますから、そこに写されるモデルは、いわゆる一般的な「キレイ」や「カワイイ」とは、微妙に違います。

その「表現」とは、何か「雰囲気」のようなものかもしれないし、それこそ「空気感」とか、あるいはシチュエーションを含めた「絵」としての完成度とか、そんな話だったりします。

それは先ほどのモデルがモデル撮影に期待するものとは微妙に、あるいは全然違います。

モデルとカメラマンの間のギャップを埋めよう

モデルとカメラマンの間のギャップ。

上記から言えるのは、お互いに期待しているものが違う、ということです。

相互理解の第一歩として、まずはそこを埋める必要があります。

つまり、「何を目指すのか」。

まずは撮影前に、その了承が2者間で成立していることが、モデル撮影の「前提」と言えます。

この了承が成立していないと、モデルの側としては「なんでこんな撮り方なのかな?」と不安になり、カメラマンの側としては「なんでそんなポーズなのかな?」と不審に思う、ちぐはぐな撮影になります。

それは突き詰めれば、お互い何のために今回のこの撮影をやっているのかの再確認、ということです。

ノリだけで撮影だシューティングだとやっていたら、「なんか違う」となったときに誰にも文句を言えません。

はじめにモデルはどんな写真が欲しいのかをハッキリ伝え、カメラマンはどんな写真が撮りたいのかをハッキリ伝え、それぞれ了承を得ておく必要があります。

もちろん「流れまかせで」「撮れたなりで」ということもあるでしょうが、その場合でも希望するサンプル写真を見せ合うなどして、事前に方向性を確認しておくことは大事です。

言葉とそこから想像する絵は、人によってビックリするほど違うこともありますので、やはりサンプル写真などの「ビジュアル」で確認することは有効です。

もちろん、特に希望はない、ただ練習のためだけに撮りたい、すべて相手に合わせる、というならそれでも結構です。

何であれ今回の撮影内容について、相手も自分も満足する(であろう)ことが確認できて、はじめてその撮影をスタートできるわけです。

あやふやなままスタートさせたなら、あやふやな結果になったとしても誰にも文句を言えません。

撮影の成否は、この「スタート前の段階」からすでに始まっています。

モデル撮影を成功させるコツ【撮影中】

では次に、撮影中におけるコツです。

これもやはり基本的には撮影前と同じです。

つまり「お互いの立場を理解する」ということです。

カメラマンの側からみたモデル撮影【撮影中】

カメラマンの場合は撮影に夢中になるあまり、モデルに無理なポーズを長時間強いたり、寒空の下長時間薄着を通させたり、衆目の中でモデルが恥ずかしい思いをしているのに気づかなかったりします。

それはもちろん、作品をより良いものにするために頑張っているからそうなるわけですが、カメラマンがぜひとも身につけておいたほうがいいのは、まわりを見渡す「余裕」です。

それによって細かいことにも気づけるし、それによって作品の質とまわりの状況とのバランスをとることもできます。

それは作品の質を妥協するということではなく、今ある状況、今ある材料の中で、なにがベストかを見極めるということです。

延々撮り続ければいい写真になるわけでもないし、まわりの状況に流されてるだけでもいい写真にはなりません。

その時、その場でできるベストな振舞い、というものがあるわけですが、「それが何か」という視点がなければ、それに到達することはできません。

それに到達するためのベースが「余裕」です。

モデルの変化、状況の変化に敏感に気づくことがその前提です。

もちろん、そういった状況を把握しながら、あえてそれを無視するという一種の「鈍感さ」も作品のためには必要になる場合もあります。

しかしそれも、「いい作品になる」という見込みがあってすることであり、リアルに「鈍感」なのは、最も避けねばならないことです。

そういう意味でもモデル撮影は、やはり「ジャムセッション」です。

「まわりに合わせること」と「自分なりの主張」のバランス。

まわりを理解しながらも、それでもぶつからずに自分なりの主張を貫ける柔軟性。

それを生むベースとなるのが「余裕」です。

どこかのピアニストが言っていましたが、ピアノを弾くのコツは「脱力」だそうです。

力を入れるのではなく、逆に力を抜くことによって、スムーズにピアノを弾くことができると。

モデル撮影も一緒です。

肩をいからせて一個のことに集中してしまうのではなく、肩の力を抜いて楽しんだほうが会話も弾み、まわりを見渡す余裕もでき、よりスムーズに事が運びます。

モデルの側からみたモデル撮影【撮影中】

モデルの場合はカメラマンの場合のまるっきり裏返しで、上記のような「無理強い」みたいなことは、「作品をよりよいものにするために頑張っている」、ということを知っておく必要があるでしょう。

(逆にそういう意図や熱意が伝わらない「無理強い」はウソですね)

共同作業は片方だけが頑張ってもうまくいきません。

両方が同じ程度頑張る必要があります。

二人三脚で片方だけが頑張っても逆に遅いのと一緒です。

そして両方が同じ程度頑張るためには、意思の疎通が不可欠です。

カメラマンは撮影意図を都度伝えて、モデルにその意図を理解してもらうといいでしょう。

そのために効果的なのが、今撮っている絵をたびたびモデルに見せてあげることです。

百聞は一見にしかず。

「あーなるほど!こういうふうに撮れてるんだ!」

これがわかると、モデルも自分が頑張る意味がわかるし、どう頑張ったらいいのかもわかります。

撮れた絵をベースに、カメラマンなら「今こここうなってるけど、こうしたほうがいいよね」と指示もしやすいし、モデルなら「もうちょっと角度をつけたほうがキレイに写るな」と自身のポージングの修正にも使えます。

そしてプレビューによって、カメラマンが見落としていた服のシワや髪の乱れに目ざとく気付いてくれるのもモデルです。

自分をチェックする能力にかけては天下一品のその審美眼で、撮った写真が「残念な結果」におちいるのを救ってくれます。

このフィードバックがその場ですぐ得られるのがデジカメのメリットなので、これは積極的に利用したいところです。

モデル撮影の「キモ」

モデル撮影で大事なのは、モデルが「安心」して振舞えることです。

カメラマンの想像以上に、モデルは「不安」であることも多いものです。

訓練を積んだプロのモデルですら、カメラの前では不安になることもありますから、特に相手が素人の場合は、十分気をつかう必要があります。

OKならばOKであるとハッキリ伝えてあげるだけでも、十分効果があります。

ダメであっても絶対に不快感を顔に出してはいけません。

モデルが不安になったり不快になったら、最悪撮影は続行不可能です。以上、終了!です。

モデル撮影の場合、「空気感」作りがすなわち「作品」作りでした。

自分のためにも、そして作品のためにも、一歩引いた視点から全体を眺める余裕が大切です。

そしてそのことを理解するために、逆に自分が「撮られてみる」のもオススメです。

自分が実際にモデル役をやってみれば、モデルの気持ちも「実感として」わかるでしょう。

ポーズを決めて待ってるのに、設定がうんちゃらと言ってガチャガチャとカメラをいじっているのがどれだけ最悪かもよくわかります。(笑)

撮影にギャラが発生する場合

さて、以上はカメラマンとモデルの立場がイーブンの場合の話でしたが、どちらかがギャラを支払って、撮らせてもらう、あるいは撮ってもらうというケースもありますね。

その場合、支払ったほうは相手に合わせる必要は全くないのかと言えば、そういうわけでもありません。

そこはやはり「人対人」、その場の空気感が写真にとって大事な役割を演じることには変わりありません。

「お互いに気持ちよく」ということは、相手のためというよりも、むしろ自分のためなのです。

ギャラを支払ったほうは「自分のためにも」、やはり空気感の醸成には気を使ったほうがいいでしょう。

まとめ

それでは今回の要点をまとめましょう。

  • モデル撮影は人と人との共同作業。いい作品のためにはお互いが同じ程度頑張る必要がある。
  • モデル撮影において、作品作りとはすなわち「空気感作り」。
  • 撮影前にお互いの要望をすり合わせておくことが大事。
  • 撮影中はまわりを見渡す「余裕」が、物事がスムーズに運ぶ秘訣。
  • 撮影中は意思の疎通のために、デジカメの画面をたびたびプレビューするのが有効。
  • カメラマンは自分がモデルをやってみることによって、モデルの気持ちを理解するのは有効。

モデル撮影というものは、本当にジャムセッションと同じで、うまくいったりいかなかったりです。

同じメンバーで同じように撮影に臨んでも、その時その場の状況によって、うまくいく時もあれば、いかない時もあります。

そしてうまくいかない時こそ、「余裕」を思い出しましょう。

余裕がなくなっているときでも、余裕を「思い出し」さえすれば、ある程度余裕を取り戻すことができます。

モデル撮影に限らずですが、「余裕」をもって「楽しむ」ことができれば、まあその撮影は成功と言っていいのではないでしょうか。

なにしろそもそも趣味の目的は「楽しむ」ことなので。

というわけで、Have a nice shooting!

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記事を書いている人
上原京平
本業はカメラマンの記事職人です。
「撮る」「見る」につづく第三の写真の楽しみ方、「考える写真」を当ブログにて展開中。
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