【一眼レフのレンズ選び】小口径単焦点レンズのススメ

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単焦点レンズ

全国の「小口径」単焦点レンズファンの皆様、こんにちは。

今日も元気に「小口径」してますか?

さて、「小口径」なる言葉があるのかどうかは知りませんが、もちろん「大口径」に対する「小口径」という意味です。

いわゆる「大口径」単焦点レンズと、ズームレンズの間にあって影の薄い存在である小口径単焦点レンズはしかし、実に愛すべき存在です。

その素敵な点は、

  • 安い
  • コンパクト
  • 軽い(気持ちが)

といったことが挙げられます。

今回は「小口径単焦点レンズのススメ」と題しまして、その魅力的な世界をご紹介します。

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小口径単焦点レンズとは

世にある「単焦点レンズ」を分類すると、明るさをを追求した、いわゆる「大口径単焦点レンズ」と、明るさはそこそこに抑えて、コンパクトさと価格の安さをウリにした「小口径単焦点レンズ」(大口径に対する意味で)に分かれると思います。

F値で言うと、その焦点距離で最も明るいもの(&そこからマイナス半段くらいのもの)が「大口径」、最も明るいものからマイナス1段以降くらいがいわゆる「小口径」になります。

50mmで言うと、F1.0~F1.2あたりが「大口径」、F1.4より下が小口径、となりますね。
(F1.4でも十分大口径ですが、「比較」の問題ですね)

85mmで言うと、F1.2~1.4が大口径、F1.8以降が小口径といった感じです。

もちろん定義なんてありませんし、そもそも「小口径」なんて言葉があるのかどうかも知りませんが、この記事では便宜上、そういうことでいきます。(いかせてください)

粋でいなせな「小口径単焦点レンズ」

さて、「小口径単焦点レンズ」。

実に地味です。

目を引く素晴らしいスペックがあるわけでもなく、ズームのような便利さがあるわけでもなく、パッと見目立たない存在です。

しかし、必要十分な明るさとヌケの良い画質、そしてコンパクトさ。

その魅力を一言で言うと、です。

リキみの無いその感覚は、松尾芭蕉が晩年に辿り着いた境地、「かるみ」に通じるものがあります。

音楽で言うとベートーヴェンというよりもモーツァルトです。

がんばりすぎない、かといって手を抜いてない。そしてあくまで控え目なたたずまい。

これを「粋」と言わずして何と言いましょう

それは、大口径に次ぐ選択肢として「仕方なく」選ぶものではなく、むしろ「積極的に」選ばれるべきものです。

筆者が一眼レフの単焦点をほとんど「小口径」で揃えている理由は、決して「経済的理由」ではございやせんよ、ええもちろん。

さてそんな魅力いっぱいの「小口径単焦点レンズ」。

まずはその「画質」からチェックしていきましょう。

小口径単焦点レンズの画質

腐っても鯛、小口径といえども「単焦点」です。その画質はあくまで「単焦点」に準じます。

参考:【一眼レフのレンズ選び】単焦点レンズのメリットと使い方
参考:単焦点とズームの、あまり知られていない大きな違い

画質で気になるのは「大口径」な単焦点に比べてどうなのか?というところでしょう。

大口径レンズの価値

まず、レンズの収差はレンズの口径が大きくなるほど増大するということがあります。(「球面収差」などは口径の3乗に比例します)

大口径レンズの価値は、そのような非常~に困難な大口径域において、「実用程度の性能を達成した」ということが大きくて、決して「大口径=高画質」という単純な話ではありません

大口径レンズはそのコストのほとんどを、「開放でも実用できる画質」に費やしているわけです。

ですから、同じ85mmの「F1.2」と「F1.8」を絞り開放で撮り比べた時は、F1.2のほうが描写が「甘い」と感じられると思います。

EF85mm F1.2L II USM MTF

キヤノン EF85mm F1.2L II USM(大口径)

EF85mm F1.8 USM MTF

キヤノン EF85mm F1.8 USM(小口径)

MTFチャートノート

キヤノンHPより

上記はキヤノンの一眼レフ用交換レンズ、「EF85mm F1.2L II USM」(大口径)と「EF85mm F1.8 USM」(小口径)のMTFの比較です。

(MTF特性図の見方についてはこちらをご参照ください)

「F1.8」は周辺での落ち方が急激ではありますが、開放においておおむね「F1.2」を上回っています。

ちなみに価格は「EF85mm F1.2L II USM」が235,000円、「EF85mm F1.8 USM」が61,500円

「なに!?F1.2はF1.8の4倍近く値段は高いのに性能は劣るのか!?」と思われるかもしれませんが、それは違います

逆にF1.2でこれだけの性能を達成しているのはすごいことなのです。

何しろ口径に対して収差は「何乗」単位で効いてきます。

F1.2という大口径の世界を、実用できる画質で体験させてくれるこのレンズは、それにしか無い、独自の価値があります。

“大口径レンズはそのコストのほとんどを、「開放でも実用できる画質」に費やしている”というのはそういうことです。

つまり、大口径レンズは「画質で選ぶ」というよりも「それにしか達成できない大口径域が使える」という意味で選ばれるべき存在なのです。

またそもそも、「大は小を兼ねる」じゃないですが、F1.2でF1.8をカバーすることはできますが、F1.8でF1.2をカバーすることは不可能ですね。

大口径レンズを「絞った場合」と小口径の開放は?

さて、基本的にレンズは「絞るほど画質が改善される」ということがあります。

では、「F1.2」をF1.8に絞った時の画質と、「F1.8」の絞り開放時の画質を比べるとどうなのか、ということがありますね。

まずこれについては、F1.2とF1.8が全く同じ設計であれば、両者は同じであるといえます。

感覚的には「F1.2をF1.8に絞ったほうが画質が良い」と思われるかもしれませんが、全く同じ設計であれば一緒です。

そもそも「F値」とは

そもそも「F値」というのは、「有効口径/焦点距離」(口径比)の逆数です。

この「有効口径」というのは、前玉の径ではなく、言ってみれば「絞りの径」です。どんなに前玉が大きくても、結局「絞り」の部分で光束は絞られるので、「有効口径」とは結局「絞りの径」になります。

「全く同じ設計」で「絞りの径」も一緒ってことは、すなわちそれは「同じレンズ」です。

つまり画質も「全く同じ」となります。

「絞ったほうが画質が良い」というのは、「同じレンズのより明るいF値に対して」ですね。

広角レンズのレンズ径

ちなみに広角レンズなどで、焦点距離に比べてレンズの径が馬鹿デカい、ってことがありますが、レンズの中を良く見ると、絞り環は小さいはずです。

単純に「レンズの径/焦点距離」という計算だと、それこそF0.1とかになってしまいますが、F値は「有効口径」、つまり「絞りの径」なので、スペック通りの数字になるわけです。

広角レンズで前玉がデカいのは、広い画角に対応する広範囲の光を集めるためですね。

「F1.2」と「F1.8」では、そもそも設計が違う

さて話がそれましたが、「F1.2をF1.8に絞った時」の画質と、「F1.8の絞り開放」の画質、これはそもそも設計が違うので、一概にどっちがいい、とは言えませんね。

開放F1.2とF1.8では、収差の補正の発想がそもそも違うのです。なにしろ「何乗」の差の世界ですから。

同じ「魚を捕る」でも、投網と一本釣りでは全然違いますね。(??笑)

そしてレンズ構成図からも明らかなように、F1.2とF1.8は言ってみれば「全く別のレンズ」です。

EF85mm F1.2L II USM

EF85mm F1.2L II USM レンズ構成

EF85mm F1.8 USM

EF85mm F1.8 USM レンズ構成

キヤノンHPより

つまり、「F1.2をF1.8に絞った場合」と「F1.8の開放」の比較は、お互いに勝るところもあれば劣るところもある、というのが実情ではないでしょうか。

逆に言うと、小口径単焦点レンズだからといって、画質が劣るということは全くない、と言えます。

小口径単焦点レンズの魅力

さて、小口径単焦点レンズの魅力を一言でまとめてしまいましょう。

それは「軽さ」です。

物理的にも、心理的にも、お財布的にもです。

そしてつまるところ、物理的、お財布的意味も全てひっくるめて、小口径単焦点レンズを使うことは「心が軽い」のです。

「オー・シャンゼリゼ」の唄そのままの世界です。

街を~歩く~心軽く~誰かに会える~この道で~
素敵な あなたに 声を かけて こんにちは僕と行きましょう~♪

小口径を携えて心軽く街を歩けば、あなたも素敵な誰かに出会えるかもしれません。(笑)

小粋なこの曲はそんな小口径の世界観にぴったりです。

多少ぶつけたりキズつけたりしても「まいっか♪」。(安いし)

素敵な誰かを撮る時も、相手を身構えさせるほどの圧迫感もなく、かといってチャチなわけでもない素敵なバランス。

そして、単純な重量の軽さはそのまま足取りの軽さです。

写りは申し分なく、多少暗くても手持ちで撮れる明るさ、そしてたとえ撮れなくても「まいっか♪」という朗らかさ。(それは違うか)

そんな「いつも何か素敵なことがあなたを待っている」のが、小口径単焦点の世界です。(♪笑)

まとめ

多言を弄するよりも、この曲がすべてを言い表していますね。

素敵な あなたに 声を かけて こんにちは僕と行きましょう~♪

いや違います。(笑)

  • 安い
  • 写りがキレイ
  • 軽い
  • コンパクト
  • 結構明るいよ(F値)
  • そして何より単焦点

パッと見目立たない地味な存在である「小口径単焦点」君はしかし、実はとってもイキな奴です。

単焦点レンズに興味がある読者諸氏にとって、「手軽さ」という意味でも「小口径」から単焦点の世界に入るのはオススメです。

そして、「大口径」の世界を一通りめぐって、また小口径に帰ってくるのが正しい単焦点使いの道順です。(嘘。笑)まあ自分はそうでしたが。

さて、ほんとはもっといっぱい書く予定でしたが、「オー・シャンゼリゼ」を聴いて「ああ、なんかこれでいいや」って思ってしまったから不思議です。これが小口径の魔力です。(嘘)

決して手を抜いているわけではございませんが、小口径の「かるみの魅力」を身をもって伝えるために、こんな感じの文章になった次第です。あしからず。(笑)

今週末は肩の力を抜いて、鼻歌でも歌いながら小粋に「小口径」でスナップ、と洒落込んでみてはいかがでしょうか。(♪)