一眼レフを手に入れたばかりの初心者の皆さん、こんにちは。ご購入おめでとうございます。一眼レフの撮影、楽しんでいますか?
さて、一眼レフを手に入れたばかりの初心者の人から最もよく聞く声は、これです。
「よくわからない」
まあこれは、一眼レフに限らずですね。
ミラーレスや、ちょっといいコンパクトデジカメなんかでも、「いや~よくわからないですね~、あはは!」なんて声は、本当によく聞きます。
「よーし、一眼レフを買っていい写真をとるぞー!」と勢い込んで買ったはいいけど、いざ現物を手にして途方に暮れている、といったところでしょうか。
参考:初心者に贈る「一眼レフ=いい写真が撮れる」わけではない話
今回は、一眼レフを買った初心者が、とりあえず一眼レフというものを把握するまでの3ステップをご紹介します。
カメラ機材は、購入前と購入後のギャップの激しい商品のひとつでしょう。なにしろ使ってみないとわかりません。
一眼レフを買ったばかりで、何をどうしていいやらサッパリわからない初心者の方は、まずはこの手順をたどってみてください。
目次
ステップ1:一眼レフ=「ただのカメラ」から始めよう
さて、一眼レフカメラの現物を目の前にして途方に暮れてしまう原因。
それは、カメラが複雑すぎるからです。
一眼レフは、いろいろあるカメラの種類のなかで、もっとも万能にいろんな撮影に対応できるカメラで、その機能は年々増加の一途をたどっています。
より多機能に、より便利にと。
その結果、カメラボディはボタンやダイヤルであふれ、液晶画面の中はあふれんばかりの情報で埋め尽くされています。
そりゃ初心者が途方に暮れるわけです。
そして実際、「わからない」のは初心者だけではありません。
写真を生業にするプロカメラマンですら、新しい機種の新しい機能については「わからない」場合が多いのです。
ですから初心者のみなさん、安心してください。
「わからない」のはあなたたちだけではありません。みんな「わからない」のです。
ただ、プロは、自分にとって必要な機能を把握しているので、わからないからといって途方に暮れることはありません。
わからないことはわからないままですが、だからと言って別に困ることもありません。
そしてはっきり言って一眼レフの全ての機能をフルに活用して撮影している人なんて、ほとんどいないはず。
自分に合った使い方ができればよく、ハッキリ言ってそれ以外のことは知っていなくても何の問題もないのです。
どんな人にも使いやすいようにいろんな機能がついているだけで、全ての機能を使わなければ写真が撮れないわけではないのです。
そこで、一眼レフを買ったばかりで右も左もわからない初心者の方が、まず最初にやるべきステップを申し上げましょう。
それは、一眼レフは、結局はただの「カメラ」であることを思い出すことです。
細かいことはまず忘れましょう。
あなたが手にしているソレは、ただ単に「シャッター」を押せば「写真」が写るとかいう、例のアレです。
複雑怪奇なブラックボックスに見えるそれは、元をただせば、単純にシャッターを押して写真を撮るための機械です。
やってみよう1:一眼レフで写真を撮ろう!
ですから、一眼レフを買ったばかりの初心者の方は、電池を入れ、カードを差し込んだなら、まず次のことを試してみてください。
- 露出を合わせる(オートでも可)
- ファインダーをのぞいて撮りたいものにカメラを向ける
- ピントを合わせる(もちろんオートフォーカスでOK)
- シャッターを押して写真を撮る
※露出やピントの操作については各カメラのマニュアルをご参照ください。
どうですか?撮れましたか?撮れたとしたら大成功です!!
これで、一眼レフの約85%はクリアです。あとは細かいハナシです。
ステップ2:一眼レフの基本的なことを押さえよう
さて、一眼レフは「写真を撮るためのカメラ」でありますから、一眼レフで写真が撮れればまずはOKです。
そういうわけで、第一段階の「写真を撮る」ということができれば、まずは一眼レフを使えている、と言えます。やったね!
次に、デジタル一眼レフの基本を押さえておきましょう。
デジタル一眼レフの押さえておくべき基本は次の4点です。
- 記録画質
- ホワイトバランス
- 露出モード
- AFモード
記録画質
まず最初に、記録するデータの画質やサイズを設定する必要があります。
「記録画質」は通常、まず「RAW」と「JPEG」に分かれます。
RAWデータ
「RAW」は、そのままでは利用できないデータで、撮影後に「現像」という作業が必要です。
なぜそんなことになっているのかというと、現像作業によって、明るさ、色味などを、画質を劣化させることなく調整可能だからです。
「RAW」とは英語で「生」という意味ですが、データを生のまま保管しておいて、現像作業時にいろんな要素を確定させる、ということですね。
- メリット=撮影後に細かい調整が可能
- デメリット=撮った画像はそのままでは利用できない、撮影後に作業が必要、データが重い
ちなみにRAWデータは、現像ソフトやRAWをサポートしているブラウザによって「プレビュー」することはできますが、そのままではプリント出力したりSNSにアップしたりといった「利用」ができません。
画像を利用するためには、下の「JPEG」という形式に変換(現像)する必要があります。
JPEGデータ
JPEGは最も一般的な、写真用デジタルデータの形式ですね。
メリットは、撮ってすぐに利用できるし、RAWに比べてデータも軽いです。
しかし、JPEGは、撮影時に明るさ、色味などを全て確定してしまうので、後から編集すると画像が劣化します。
- メリット=撮ってすぐ利用可能、データが軽い
- デメリット=撮影後の編集には画像劣化が伴う
記録サイズと画質
また、RAW、JPEGは、それぞれ記録する「サイズ」を選ぶことができ、JPEGの場合はさらに「画質」が選べます。
記録サイズ
- L(大)
- M(中)
- S(小)
など。
画質(JPEG)
- ファイン(高画質)
- ノーマル(普通画質)
など。
「サイズ」は画像の大きさ(何万画素というやつ)で、「画質」はJPEGの圧縮率=データ容量(何メガバイトというやつ)です。
記録画質の選択
一眼レフカメラの設定で、「記録画質の選択」とは、これら「RAW」や「JPEG」の選択、またそれに加えてそれぞれの「サイズ」や「画質」を選ぶ、ということです。
これらを選択するためには、「後から編集するのか」とか、「画質と撮影枚数どっちが優先か」、あるいは「使用目的や手持ちカードの容量」などを知っていなければいけませんが、初心者にそんなことわかりますか?
もちろん「知らねーよ!」であります。
一眼レフを手に入れたばかりの初心者の声をもう一度思い出してみましょう。
「よくわからない」
ですね。
この、「記録画質を選ぶ」という一番最初の段階だけでもこれだけの選択肢が用意されていて、「さあどれにしますか?さあさあ!」と迫られるわけですから、それは初心者も途方に暮れるわけです。
ですから、初心者にとって大事なのは、全ての要素を逐一検討することではなくて、全ての要素を一回全部捨てることです。
全ての要素をまずは全部捨てて、「シャッターを押せば写る、ただのカメラ」から始めることです。
そこから、「わかること」を、1コずつ足していくのです。
で、ありますから、最初から難しく、複雑に考えるのではなく、まずは簡単に、シンプルに考えていきましょう。
というわけで、改めて記録画質の選択です。
単純にいきましょう。
ここでは「RAW+JPEG(L)ファイン」を選択します。
これはつまり、最大最高を選ぶ、ということです。
単純に「大は小を兼ねる」ということです。後からどう使うかわからないなら、全部入れとけ、という発想です。
まずは「最大限全部入れ」で始めて、使っているうちにどう考えても必要ないなと分かってくれば、その時点で省いていけばいいのです。カンタンです。
「画質よりもたくさん撮れるほうが大事だ」とわかってくれば、サイズや画質を落とせばいいし、「気に入った画像をRAWから丁寧に現像」しかやらないなら、JPEGを省いてしまってもOKです。
ホワイトバランス
次に「ホワイトバランス」です。
ホワイトバランスとは、光源によって違いのあるの色温度を差を埋めるためにうんたらかんたら…
という説明はここでは抜きにしましょう。
細かいことは現時点では考えなくていいのです。
最初っから細かいことを考えるから「わかんねー」となるわけです。
はい。
ホワイトバランスについては「オート」一択です。
要するに、写真の色味のバランスは、とりあえずは機械に任せとけ、ということです。
ホワイトバランスについては「なんだか色が変だな」とか「もうちょっと色味を変えてみたい」とか、そういう欲求が出てきたら、改めてその機能を探ってみればいいでしょう。
もちろんそういう欲求が出てこなければ、オートのままで何の問題もありません。
露出モード
突然ですが、「写真を撮る」って、具体的にはどういうことだかわかりますか?
それは
- 露出を決める
- フレーミングを決める
- ピントを決める
この3つです。
現在ではなんだかすごく難しく、複雑なことになっている「写真を撮る」という行為ですが、突き詰めればたったこの3つです。
逆に、コンデジやスマホなんかでは、露出とピントは機械が決めてくれるので、我々がやることは「フレーミングを決めること」だけですね。
デジタル化と共に、写真は「複雑化」と「単純化」の二極化をたどっています。
複雑である代わりに自由度が高く、あらゆる表現が可能な世界と、何もやらなくても機械が勝手にキレイな写真にしてくれるラクチンな世界です。
そして、一眼レフを選ぶということは、その二極化の「複雑なほう」を選ぶ、ということです。
いままで「単純」なほうの住人だった初心者が、「複雑」なほうの一眼レフの世界に入り、戸惑うのは、もちろん当たり前の成り行きです。
ですから、「複雑な方」の入り口に立った初心者にとって、まずは今までと同じように「単純に考える」ことは有効な手立てです。
今までと同じく、最もカンタンに撮り、最も単純に使っているうちに不満に思う点、こうしたいと思う点がでてきます。
その一つひとつに手を加えていくことによって、徐々に一眼レフの世界に浸透していけばいいのです。
一眼レフにはそんな細かい不満点、改善希望点を受け止めてくれる、深いフトコロが用意されています。
回りくどくなりましたが、露出モードの話です。
そういうわけでこの「露出モード」についても、まずは今までと同じく機械に決めてもらいましょう。
つまりは「P」モードです。(プログラムオート)
そして、ISO感度オートがあれば、これもオートにしておくといいでしょう。
そして後々、「絞りをもっと開けたい」とか、「シャッター速度を遅くしてブラしたい」等の欲求が出てくれば、そのときに改めて「絞り優先モード」にしたり「シャッター速度優先モード」にしたり「マニュアル」にしたりすればいいでしょう。
AFモード
AFモードについても、最も簡単にしておきましょう。
つまり、モードは「ワンショット」で、フォーカスポイントは「中央1点」です。
オット!最も簡単なのは「全面フォーカスポイント」(エリアAF)ではないのか?
そのとおりです。
しかし、ここでフォーカスポイントを「全面」ではなく、「中央1点」にするのには、ワケがあります。
今までのコンデジやスマホでは、機械が勝手にピントを合わせてくれていて、特に問題を感じなかったかもしれませんが、一眼レフだとそうはいきません。
コンデジやスマホは、レンズの焦点距離が短く、F値も暗いので、被写界深度が深い、つまり手前から奥までピントが合いやすいのです。
参考:【一眼レフのレンズ選び】単焦点レンズのメリットと使い方
ですから、多少ピントがずれていたとしても、大して問題は無かったのです。
しかし、一眼レフは、小さいカメラに比べてボケが大きいので、少しのピントのズレがよく目立ちます。
フォーカスポイントを「全面」にして、目的とする被写体からピントが外れてしまった場合のボケっぷりが、コンデジやスマホの比ではないのです。
そして実際、一眼レフで「全面フォーカス」にしていると、機械の判断で「なんでそこ!?」っていう全然関係の無いところにピントが合ってしまうことがよくあります。
また、もう一つ、一眼レフで写真を撮ることの最終的な意義は、「撮影をコントロールすること」です。
そのために一眼レフは、あらゆる撮影に対応できるように、細かい設定が可能になっています。
初心者が「撮影をコントロールすること」の第一歩として、ピント位置を自分で選択することは、うってつけの要素です。
なぜなら最も簡単だからです。
ファインダー内の真ん中の赤い四角にピントを合わせたい部分を持ってきて、シャッターを半押しするだけでピントが合います。
この、「ピント位置を自分で選択」ということは、コンデジ・スマホからの大きな前進であり、一眼レフワールドの住人への第一歩です。
この最も簡単な部分から、一眼レフの世界に入るのはとても有効、というわけです。
ちなみになぜ真ん中かというと、真ん中の測距点が最も精度が高く、また、ピント合わせの後にカメラを振ってフレーミングをする際に、真ん中であればどっちの方向に振っても最小の移動距離で済むからです。
やってみよう2:基本を押さえた上で写真を撮ろう!
それでは、上記の基本を押さえた上で写真を撮ってみましょう。
やっているうちにいろいろなことが分かってきますし、不満ややってみたいことも出てくるでしょう。
そうなったらいよいよ、自分だけの一眼レフの世界に入っていくタイミングです。
ステップ3:「不満」や「やってみたいこと」をもとに、自分だけの一眼レフの世界に入って行こう
さて、コンデジやスマホの延長的な撮り方で撮っていると、いろいろと不満点や、やりたいことも見えてくるでしょう。
たとえば、一眼レフならではの、もっとボケの効いた写真にしたいとか、フリッカーやインスタで見かけたすごく色鮮やかな色味をまねしてみたいとか。
そうすると、明るい単焦点レンズをゲットするなり、露出モードを「絞り優先」にして、絞りをできるだけ開けてみたり。
また、カメラ搭載のピクチャースタイルをカスタマイズしてみたり。
世の中に出回っている写真で、一眼レフで撮れないものはほとんどない、と言っていいでしょう。
あなたがすごくイイと思う、ぜひ自分でも撮ってみたいと思う写真も、だいたい一眼レフ(+画像処理ソフト)で再現可能なはずです。
ちなみにデジタル時代になって、「撮影後の編集」も写真制作の大きな部分を占めるようになりました。(ライトルームやフォトショップなど)
写真にのめりこむと、この「撮影後の編集」とも無関係ではいられないので、興味がでてきたらそっち方面も調べてみると良いでしょう。
そしてもともと、一眼レフを手に入れたからには、なにかやってみたいこと、撮ってみたい写真があったはずです。
ここから先は、あなただけの世界です。
基本的な撮り方で、「撮ること自体」に慣れたら、いよいよあなただけのオリジナルな世界に入って行きましょう。
やってみよう3:自分が気になる部分を追求してみよう!
ここからは、あなただけの世界です。
好み全開で、好きな写真、好きな撮り方を遠慮なく追っかけてみてください。
幸いネット上にも、あるいは書店にも、ありとあらゆる情報があふれています。
しかしここで大事なのは、それらの情報はとっかかりに過ぎない、という点です。
それらの役割は、「やってみる」という助走をつけるための滑走路であって、飛ぶのはあなた自身の翼です。
いつまでも助走を続けてばかりで、一向に飛ばない人もいますが、実際に飛ばなければ自由とやりがいを感じることはありません。
初心者の今の段階では、もちろんたくさんの情報にあたり、たくさん助走をつけるのは大事なことですが、タイミングがきたらぜひ、自分の翼で、写真という大空を満喫してください。
まとめ
さて、一眼レフの最初のステップ1・2・3。いかがでしたか?
結局のところ物事は、最初は誰にだってワカラナイものです。
皆さんにも経験があると思いますが、新しく入社した会社や学校、はじめは右も左もワカラナイ感ハンパないですが、そのうち慣れて、いつのまにやら我が家のように闊歩するようになります。
会社や学校は半ば強制的に行かされますから、通ううちにイヤでも慣れてきますが、趣味である写真に関しては、別段強制するものがありません。
イヤならいつでもやめてしまえる、そこが会社や学校との大きな違いです。
しかし、圧倒的な一眼レフワールドの前に呆然と立ち尽くしてしまい、そのまま足を踏み入れることなく引き返してしまうとしたら、実にもったいないことです。
今回はそんな一眼レフワールドの入り口に立ちすくんでいる皆さんのための、中に入るまでの手引きです。
もう一度手順をおさらいしておきましょう。
- 一眼レフは「ただのカメラ」から始めよう
- 一眼レフの基本を押さえよう
- 自分なりの撮り方を開始しよう
一眼レフワールドは、圧倒的であるからこそ入る意義があるのです。
今までと何の変わりもなければ、わざわざ一眼レフを購入する理由もありません。
初心者の方が敷居が高いと感じる気持ちもよくわかりますが、まずは今までと同じ撮り方で構わないので慣れることです。
そして、慣れる中で出てきた「こうしたい」「こう撮りたい」という欲求に素直に従うことが、スムーズな一眼レフワールドへの入り方になるのではないでしょうか。
初めから難しいことにチャレンジする必要はありませんし、すべてを把握する必要もありません。
「コンデジと同じように撮ってたら買った意味無いじゃん」と言われようとも、まずは慣れることに意義があります。使いこなすのはそれからでも遅くはありません。
最後に1点、「シンプルに考えること」と「自分の欲求に素直に従うこと」は、一眼レフワールドに深く入り込んだ後でも有効です。
一眼レフはいつだって「ただのカメラ」であることをお忘れなく。
一眼レフは「単なるスゴいカメラ」にすぎません。(笑)
「気軽に」楽しみましょう。