ネガの頃に比べて、デジカメやスマホはコストがかからずに何枚も撮れてしまうので、ついついたくさん撮りすぎてしまいますね。
そして撮った後の写真の整理に頭を悩ませている方も多いでしょう。まあ、撮りっぱなしで整理しないという方も多いと思いますが。
今回は「写真整理」という発想そのものを変えてみませんか?というお話。
そしてデジタル全盛の今だからこそ見直したい、「モノ」としての写真の楽しみ方について。
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写真プリントは「銀塩プリント」と「印刷」の2種類で考えるとわかりやすい
目次
アルバムという結論
写真を見る手段
みなさんはどんな手段で写真を見ていますか?
おそらく最近だと最も多いのが「スマホに入れて持ち歩く」、ということではないでしょうか。
手軽に大量の写真を持ち歩けるので、重宝しますね。
あとはパソコンの画面。
これもプリントをする手間も無く、データから直接手軽に画像を確認できますね。
大量の画像を鮮明な画質でサクサク閲覧できる。全く世の中便利になったものです。
それではスマホやPCの無かった昔は、どのように写真を見ていたのでしょうか。
「家族アルバム」ご存知?
昔は写真を撮るとなると、ネガで撮影→現像→プリントと、今よりもずっと手間もコストもかかりました。
そして写真を見る手段は「L版プリント」が最も一般的でした。
そして、一家に何冊か「家族アルバム」なるものがありました。
30cm角くらいのでっかいアルバムに、時系列にぺたぺたと写真が貼られています。所々で日付やコメントの入ったメモも挟まれていたりします。
写真を見る=アルバムを開く
少なくとも私の子どもの頃(30年ほど前!?)はそういう図式がありました。
写真を楽しむってどういうこと?
私は今ではもちろんデジカメで写真も撮りますし、PCもスマホもバリバリ活用しています。
しかし、「楽しむ」という観点で見た場合、昔ながらのアルバムのほうがなんか好きなのです。
なぜでしょうか?
「子どもの頃のノスタルジーを引きずっている」それも当然あると思います。
だけど、アルバムの重み、ページをめくるという行為、手書きのコメントのなぜか笑える内容といった、「体験」という要素が大きいように、私には思えます。
ちょっとそのあたりのことを考察してみます。
モノかデータか
今と昔の閲覧方法の大きな違いは、それが「モノ」であるか「データ」であるかの違いだと思います。
モノ=
- 場所をとる
- 朽ちる
- 質感がある
データ=
- 場所をとらない
- 朽ちない
- 質感はない
要するに真逆の性質ですね。
これを「レストラン」に例えてみたいと思います(ちょっと強引!?)
レストランでお食事をする。それはすなわち、「肉のかたまりにフォークを刺し、肉汁をしたたらせながらナイフをいれ、アツアツの感触と共にジューシーなうまみを味わう」ことであって、「どこ県産の肉をどのように調理したか」ではないはずです。
また、何年産の何たらワインがブドウの出来が最高の年で、スパイシーさとほのかな酸味が絶妙でうんたらかんたらというよりも、目の前にある紫色の液体を素直に流し込み、舌と喉で直接感じるほうがずっと素敵な体験ではありませんか?
要するにそういうことだと思うのです。
「モノ」=体験、「データ」=知識
モノというのは、実体があり、触ったり見たり味わったりできるものですね、それは要するに「体験できる」ということ。
データは実体のないもので、触れることができないもの。それは「知識」と置き換えることができます。
我々が写真を見るときに、どうしても感覚的にアルバムのほうに魅かれてしまうのは、上記レストランの原理が働いているからだと思います。
アルバムの重さや、ページをめくる行為、プリントの光沢や手書き文字のクセなど。それから、ちょっと色あせた感じや、カビっぽいにおい、落書きしてしまったページなども何かしら作用しているかもしれません。
そこには写真を「体験する」という行為があります。五感でフルに感じる体験です。
データをモニターで見る、というのは、どうしても、その写真を見て「知る」にとどまってしまう印象があります。
「ふむふむなるほど、こういう写真ね」以上です。
(ただし、純粋に写真の内容を味わうには良いと思います)
写真という体験の質の違い。
デジタル全盛の今だからこそ、アルバムの「モノ」としての魅力が、より一層際立ってくると感じています。
アルバム作りのコツ
それでは食材の知識よりも実際に食べることが好きなあなたに、アルバム作りのコツをお伝えしていきます。
最大のコツは「Don’t think. FEEL!」(byドラゴン)です。
整理目的でアルバムを作るのはやめましょう
整理すること自体が好きならいいですが、「整理しなきゃ」という発想でやるのはやめましょう。
どうも写真整理というと、「やりたくないけどやらなきゃきけないこと」というイメージがあります。
だから「なるべくカンタンに」とか、「どうしたら続けられるか」という発想になるのですが、まずは整理という発想を捨ててください。整理は勝手についてきます。
そもそも「アルバムを作る」ということは、今までに撮った写真を全部入れるわけではなく、枚数を絞って入れるはずです。
必然的に「整理」なんてこと考えなくても勝手に整理されますよね?
そういう意味で、整理目的で事務用品のプラスチックのバインダーみたいな写真入れにまとめることも、好きでないならやる必要ありません。
撮った写真の中から、面白い写真、素敵な写真、感動的な写真をチョイスして自分ならではのアルバムを作っていくことって、本来ワクワクする楽しい作業ではないですか?
「整理」という強迫観念によって、本来楽しい作業をダメにしてしまう必要は全くないのです。
趣味全開でいきましょう
アルバム作りは個人の趣味全開で好きなように作っていいのです。アルバムオリンピックで金メダルを目指すわけではないですし。
(実際にはこんなコンテストがあります→アルバム整理術コンテスト)
きっちりと整理されてなくてもいいですし、ひと月に見開き1ページ分だけ!とか縛りを作る必要もありません。
お気に入りのアルバムを選んで、お気に入りのカットをプリントして、基本時系列で気に入ったように貼っていく。ただそれだけです。なんにも難しいことありません。
ただ1点を除いては。
写真の選別はしっかりやりましょう
アルバム作成で大事な点を1点挙げるならば、「写真の選別をしっかりとやる」これに尽きると思います。
もちろん気に入った写真をチョイスしていけばいいのですが、なかなかどれも捨てがたく、同じようなカットを何枚も選んでしまったりして、めちゃめちゃ大量になってしまう場合が非常~に多いのです。
そうなってしまうと、アルバムが何冊あっても足りないので、写真は厳選して、しっかりと枚数を減らさなくてはいけません。
最初のほうでも言いましたが、「整理」=「選別」といってもいいくらいなのでここは踏ん張りどころです。
ただ、年や月によって枚数にバラツキがあるのは全然構わないです。ベストショットに偏りがあるのは当然でしょうし、そもそもイベントの多い月や少ない月など、撮る枚数にもバラツキがあるでしょうし。
アルバム作りの具体的な流れ
写真をチェックする間隔
どのくらいの間隔で、撮った写真をチェックしていくのか。
オススメは季節ごと(年4回)くらいの間隔です。
長いと最初の頃のことを忘れてしまうし、短すぎると写真の枚数が少なすぎて選別しづらくなります。
「短すぎると選別しづらい」というのは、写真の選別は相対関係のなかで、他のカットと比べながら良い悪いを判断していくので、比較するカットが少ないと選別しづらいのです。
逆に言うと、同時に比較するカットが多いほど、より大局的な視点から選別ができます。
また、何かイベント事があったら、その写真をすぐ見たくなるのが人情ですので、(ですよね?)見たい時点で見て粗選りしておいて、ある程度の枚数が溜まったら本選別、というのもいいですね。
写真の選別
まず絶対王者を選出
これはすごい!コンテスト金賞もんじゃね!?みたいな「絶対王者」ともいうべき、どう見ても選別すべきカットというものが必ず数枚あります。(ないこともありますが)
まずはソレを選別します。
どっちを取るかの基準
次に「入賞」くらいのカットを選んでいきますが、枚数が多くなる場合は他との相対関係で似ないようにするのがコツです。
違える要素としては、
- 表情
- 距離感(遠景・中景・近景・アップ)
- 色味
などです。
「絶対王者が笑顔だったから、入賞カットからはシュールな表情を」
「さっきは遠景を選んだから、近景の中から1カット」
「なんか青っぽかったから、赤っぽいのも入れとこう」
というようなことです。
プリントに出す
プリントはネットプリントが断然安くてオススメです。送料含めたとしても全然安いです。
1枚5円~とかです。
また、枚数が多いと値段が安くなったり、送料無料になったりするので、ある程度ためてから出すのがオトクといえばオトクです。(私は数十円の節約より早く見たいのでガンガンたのみますが)
あと、注意点としては、色調補正をオフにできるかどうか。
色調補正をオンにしていると、画面で見ている色味と違って上がってくることがあります。良くなるならいいけど、そこは機械なので何とも言えません。そしてお店によってはこの色調補正をオフにできません。
自前で色調補正できるかたは、自前でやって、オフにして出されるのがベターかと。
アルバムを選ぶ
アルバムはいわゆる「フリー台紙」がオススメです。台紙の上のプラフィルムをぺろりんと剥がして貼っていくアレです。
自由にレイアウトでき、貼り替えもカンタンです。作った人は天才ですね。
また、ページを増やせるタイプもありますので、写真の枚数に応じて増減できるのは便利です。
写真を貼る
あとは時系列でひたすら写真を貼っていくだけです。途中に記念になるチケット類やら、メモ書き、切り抜きなど、自由に差し挟めます。また、プリントもL版に限らず、ここぞというところでは2Lや六切を差し挟むのもオツなもんです。自由に楽しみましょう!
一年に1冊とかキリ良く作りたい場合は、ページ数を増やせるタイプのアルバムで調整すると良いでしょう。
まとめ
以上、見てきましたとおり、アルバム作りとか写真の整理とかは、難しく考える必要は全くない、むしろ楽しい作業です。
そして10年、20年と経ったときにまた、モノとしての価値が増してきます。
そして「地震の時に真っ先に持っていくものNo.1」へと進化していくのです。
「アルバムのチカラ」
まさにそういうことだと思います。