構図をパターンで撮るのをやめたら写真が楽しくなった話

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写真の構図

写真の構図にはいろいろなパターンがありますね。「三分割構図」「対角構図」「日の丸構図」など。パターンにあてはめれば、誰が撮ってもそれなりに見れる写真になる便利なものです。

便利ではありますが、「そんな撮り方では本当に自分の写真とは言えないのでは?」と、うすうす気付き始めている、初心者卒業間近な人も少なくないのではないでしょうか。

マニュアルに頼りたくなる初心者を卒業したら、次なるステージは「脱パターン化」です。今回は構図について。

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目次

そもそも構図とは?

「構図」っていうのは、写真に写る要素を画面内にどのように配置するのかという工夫ですね、いってしまえば。その配置ぐあいによって、良く見えたり、見えなかったりするという。

そもそも同じ場面を前にして、同じカメラで撮っても人によって違う絵になるのはなぜか?

それは写真が四角いからです。

どういうことでしょうか?

一般的に人間の視野は水平約200度,垂直約125度とも言われていますが、まあけっこう広いですね。

そして縁はぼんやりと視野外に溶け込み、はっきりしません。そして、目玉が2コあるおかげで奥行きも感じることができます。

そんな漠然と広く、奥行きもある視界の中から、ある場所を二次元に四角く区切るわけです。

当然四角の中の、ある被写体の上辺からの距離や右辺からの距離は撮る人によって個性の差がでます。

また、被写体の女の子(仮)の後ろに見えている電柱と、その女の子との距離、大きさ、角度、また、そもそもどのくらいの範囲を切り取るのか等々、数え上げればキリがないくらいの差が発生します。

それらは全て、「四角く区切る」から発生するのです。

四角く区切るがゆえにその中に位置関係が発生し、無限のバリエーションが発生するのです。

要するに写真を撮るとは、「目の前の光景をどう四角く切り取るんですか?」という問いに対する、あなたからの回答なのです。

そして、どういう考え方でそう切り取ったのかというビジョンが、すなわち「構図」なのです。

構図はパターンではなく「撮影者のビジョン

「構図」=「その写真に対する撮影者のビジョン」。

ちょっとむずかしい話ですか?

たとえばあなたのお部屋はきれいに整理整頓されていますか?それとも散らかっていますか?

あなたのお部屋の状態は、あなたのビジョンの反映に他なりません

キレイなお部屋は、「キレイなお部屋で暮らしたい」というビジョンの、散らかっているお部屋は「散らかっていてもかまわない」というビジョンの。

「ホントはきれいにしたいんだけど、なかなか時間がなくてね」

お部屋であればそんな言い訳も通用するでしょうが、写真の構図に関しては、ほんのちょっとカメラの角度を振るとか、ちょっと右に移動するとか、少しかがむとか、寄るとか引くとかで事足りるので、そんな言い訳は通用しません。

乱雑な画面構成は「雑に撮っていますよ」、という何よりの証拠です。

逆に言うと、ちょっとカメラの角度を振るとか、ちょっと右に移動するとか、少しかがむとか、寄るとか引くとかそんな簡単なことで、写真はグッと良くなるのです。

お部屋を片付けるよりずっと簡単ですね。

写真の四角の中は、あなたのビジョンを反映した、あなただけの世界です。

キレイな世界にしたければ、ほんのちょっとカメラのフレームを調整して、画面内を整理整頓すればよいだけですし、そういうビジョンがあれば、自然とそう動くものなのです。

ビジョンを具体化する実際の撮影方法

理屈がわかったところで、具体的な撮影方法に移りましょう。

  1. まず肉眼でよく観察する。
  2. 肉眼での観察の結果から、カメラ位置とレンズを選択する。
  3. ファインダー内で画面を調整し、最適なタイミングでシャッターを切る。

順に説明しましょう。

肉眼でよく観察する

いきなりファインダーをのぞきこんで撮影を始めてしまう人もいますが、まず肉眼で全体を良く観察することが肝要です。

なぜかと言うと、いきなりファインダーという限られた世界に入ってしまうと、それ以外の可能性を一気に捨てることになるからです。

よく見ていたならば、もっといいビジョンが見えたかもしれない可能性をみすみす捨てるのは惜しいです。

まずは肉眼で全体を良く観察して、どこからどう撮るのかをよく吟味してから次の行動に移りましょう。

カメラ位置とレンズの選択

1.の観察の結果から、まず、自分がカメラポジションに移動し、さらに肉眼で観察します。

そして撮るべき絵のビジョンを頭の中にハッキリと思い浮かべます。

そして選択したレンズを装着し、撮影態勢に入ります。

ここで大事なのは撮る前に頭の中で絵を完成させる、ということです。

なぜならそれがすなわちビジョンであり、これから先、シャッターを切るまでの全行動の指針になるからです。

ビジョンがあやふやな絵は、そのままストレートにあやふやな絵になりますし、そもそも指針がないことにはどう撮っていいかわからないはずです。

また、レンズの選択のためには、そのレンズで撮ったらどういう絵になるかを事前に知っている必要があります。

そのためにはやはり、ある程度の経験が必要です。

構図について脱パターン化を目指すような段階にある人であれば、手持ちのレンズの特徴もだいたい把握していることと思いますが、まだの人は、まずはレンズの特徴を把握できるくらいには場数をこなしておきましょう。

ファインダー内で画面を調整し、最適なタイミングでシャッターを切る

あとはビジョンに近づけるべく、ファインダー内で画面を調整し、最適なタイミングでシャッターを切るだけです。

特にスナップ写真などは、状況が常に動いているので、画面内が一番良い配置になった時にシャッターを切る「タイミング」という要素も重要になってきますね。

「ビジョン」で撮ろう!

さて、そんなこんなでくどくどと説明してきましたが、いかにビジョンというものが大切か、おわかりいただけたかと思います。

そしてそのビジョンはご自身の美意識から生み出されるものであり、けしてパターン化されるようなものではありません。

そもそも「パターンにあてはめる」という行為は「作業」に近く、クリエイティブな行為とは言い難いので、正直つまらなく感じる方も多いのではないでしょうか

パターンにあてはめるという発想をせずに、本来のあなた自身が気持ちいいと思うビジョンにしたがって撮っていればもっといい絵になっていたかもしれない絵が、パターンにあてはめてしまったばっかりにツマらない絵になるという可能性は、往々にしてあるのです。

自分の純粋な気持ちが理論を超える瞬間がきっとあるのです。

それは例えば、本当は好きな人がいるにも関わらず、周囲の勧めに従って高スペックではあるけれど全然好きではない人と結婚してしまって不幸に陥る、というドラマでよくある話に近いものがあります。

また、自分のビジョンに従った結果、たまたま三分割の位置に被写体がちょうど入ってきて、あたかも三分割構図を利用した写真に見えてしまったとしても、それは「単純にパターンをあてはめて撮った写真」とは根本的に違うということは、賢明な読者諸氏にはもうお分かりのことと思います。

自分らしく撮るには

さて、しかしながら「そんな自分オリジナルなビジョンをどうやって見つけたらいいかわからないよ!」と、お嘆きの方もいるかもしれません。

しかしここからが本当に写真が面白くなるところなので、ゆっくり考えてみましょう。

ふだん、自分が自由自在に自分らしく振る舞えるジャンルは何ですか?服選びですか?それともお部屋のコーディネートですか?

それならば、服を選ぶつもりでカメラアングルを選んでみてください。そしてお部屋のコーディネートをするように、画面内をコーディネートしてみてください。

簡単ですね。(笑)

自分が得意なことと結び付けると、意外とやりやすいです。

要は考え方ですね。

難しいものと考えると難しくなるし、簡単に考えると簡単になる。

自分が簡単に考えられるジャンルと同じように考えれば簡単になるという理屈ですが、ものごとはそう簡単にはいきませんね。(笑)

なにはともあれ、写真は楽しく撮らないと意味がありません。

「構図」は写真のもっとも自由でもっとも楽しめる部分のひとつです。

そんな「構図」をあえて難しく考えたり、単純にパターンに当てはめてしまうのは、実にもったいないことなのです。

【関連記事】写真の構図で押さえるべきたった1つのポイント

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