「一眼レフカメラ」といえばキヤノンです。
「おいおい、ニコンだよ」「いやいや、ペンタックスだよ」と、いろいろなご意見もあるでしょうが、15年連続で世界シェアNo.1を取っているのが、キヤノンです。
なんでキヤノンのカメラはそんなに売れるのか?
今回はこれから一眼レフを購入しようというみなさんに、
- キヤノンのカメラはどういう特徴があるのか
- キヤノンのカメラを選ぶ理由は何なのか
をご紹介します。
筆者は一眼レフカメラは、デジタル化を機にキヤノンにスイッチしたクチですが、なぜキヤノンにしたのか等踏まえながら、解説してみたいと思います。
目次
一眼レフカメラを選ぶ際の注意点
一眼レフなどのレンズ交換式カメラには、レンズとカメラボディのマッチングがあります。
キヤノン製のカメラボディに、ニコン製のレンズはくっつかないし、ニコン製のカメラボディに、ペンタックス製のレンズはくっつきません。
一眼レフではレンズやカメラボディを含めたシステム一式を、同じメーカーで揃える必要があるのです。
ですから、最初にどのメーカーを選ぶかは非常に重要です。
途中でメーカーを変える場合は、レンズやアクセサリー含め、総取っ替えする必要があるからです。
キヤノン製一眼レフを選ぶ理由とは
では、そんな重大なカメラメーカー選びにおいて、キヤノンを選ぶ理由は何でしょうか?
それは冒頭でもお伝えした通り、世界シェアNo.1という「安心感」です。
筆者はフィルム時代は主にミノルタ製品を使っていましたが、デジタル化を機にキヤノンにスイッチしました。
その理由がやはり、世界No.1の安心感です。
世界で最も使われているカメラ、世界で最も選ばれているカメラ。
この実績が何よりの保証となります。
特にメーカーにこだわりがないなら、選んでおけば間違いのないメーカーと言えるでしょう。
キヤノンとニコンの違い
キヤノンは一眼レフカメラの黎明期には、そんなにパッとしないメーカーでした。
ニコンやミノルタの方が、ずっとメジャーだったのではないでしょうか。
転機は、一眼レフカメラがマニュアルフォーカスからオートフォーカスに移行する際に訪れます。
キヤノンはこの時、大胆にレンズマウントの径を変えて、20年後を見据えた変更を行いました。
マウントの径を変えるということは、それまでのレンズがつかなくなるということなので、それまでのユーザーを置いて行くということです。
かなり大胆な決断です。
これと対照的なのがニコンです。
ニコンは伝統の「Fマウント」を守り続け、マウントの電子接点化に際しても、径を変えずに対応しました。
それまでのユーザーを大事にする姿勢をとったのです。
結果的に20年後に差が出た、ということです。
キヤノン製一眼レフの特徴
さてそんなキヤノン製一眼レフカメラの特徴とは、どんなものでしょうか。
主なものは、
- EFマウント
- 技術力の高さと、そこからくるシステムとしての完成度の高さ
- 「売れる」カメラを作る姿勢
です。
順に見ていきましょう。
EFマウント
キヤノンは、レンズマウントの電子化に伴う変更の際、かなり大胆な変更を行いました。
一眼レフカメラのオートフォーカス化においては最後発となったぶん、じっくりと今後のシステム全体を見据えた変更が可能となったのでしょう。
「多彩なレンズが使える」ということが一番のメリットである一眼レフカメラシステムにおいて、レンズとボディをつなぐ「レンズマウント」は最も重要な部分です。
レンズだけでも、ボディだけでも「カメラ」にはなりません。
レンズの充実、ボディの充実。
その間をつなぐのがレンズマウントです。
キヤノンのレンズマウント(EFマウント)は、当時としては画期的な
- 35mm一眼レフカメラ用としては最大のマウント径
- 完全電子マウント
という特徴がありました。
マウント径が大きいほど、より明るいレンズを作ることが可能となり、レンズ設計の自由度が増します。(この径は50mm F1.0を実現することを目安に決定したと言われています)
また、完全電子マウントという電気信号のみのやり取りは、接点のシンプル化と高耐久化をもたらし、また必然的にレンズの高機能化を推進することになり、一眼レフというシステムの完成度を高めます。
マニュアルフォーカス時代にスピゴットマウントという特殊な形態を採用し、レンズマウントに苦労したキヤノンだからこそ、マウントの重要性をより深く認識していたのでしょう。
「一眼レフのシステムにおいては、レンズとボディをつなぐマウントこそが雌雄を決する」とばかりに、先見の明に満ちたEFマウントを開発・採用したことが、その後の一眼レフ市場におけるキヤノンのポジションを決定しました。
キヤノンの一眼レフの強さは、このEFマウントに端を発し、そのメリットを最大限活用してきたことにあります。
技術力の高さとシステムとしての完成度の高さ
完全電子マウントを実現するためには、それに見合った技術力・開発力・資本力が必要になります。
キヤノンはスチールカメラのみならず、ムービー機器なども作る総合映像企業であり、コピー機や医療機器などの幅広い事業も展開しています。
また、上場以来、年間での赤字は一度もないという安定した経営。
キヤノンはそれらの総合力で、トータルのシステムとしてのカメラの完成度を高めました。
レンズ内モーターにUSM(超音波モーター)を世界で初めて採用し、静粛性とAFスピードとフルタイムマニュアルフォーカスを実現しました。
また、DOレンズや光学手ブレ補正などの新機軸を打ち出し、デジタルカメラにおいては自前でCMOSセンサーを開発しています。
現在自前でセンサーを開発できる技術力を持った企業は、キヤノンの他は同じく巨大企業であるソニーくらいです。
(ちなみに一眼レフではなくミラーレスならソニーがオススメ)
この安定した技術力・資本力こそが、まさに「安心感」の源です。
「売れる」カメラを作る姿勢
そしてキヤノンは、カメラを作る基本的な姿勢として、「売れる」ということを非常に重視しています。
「企業としてそれは当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、モノ作りにおいては意外とそうでもなく、開発者の思いとか、経営陣の意見とか、様々な要素が入り込むのが常です。
しかしキヤノンでは、マーケティング部門を別会社にする徹底ぶりで、その点他社とは一線を画しています。
ユーザーの「そうあってほしい」というニーズをうまく取り入れた製品を開発している印象があります。
一眼レフにおいても、それまでプロまたはハイアマチュアのものと思われていたポジションを、「EOS Kiss」によって主婦や若い女性の層にまで広げたその視点はまさに、「売れる」カメラ作りの真骨頂でしょう。
そして実際に「売れている」のは、15年連続世界シェアNo.1や、無赤字経営という実績が表しています。
そのような姿勢によって出来上がるカメラは、面白みや愛着には乏しいかもしれませんが、「しっかりしたカメラ」「使いやすいカメラ」「優等生的カメラ」になります。
つまりはやはり、「安心感」のあるカメラです。
まとめ
正直キヤノンは、出来はいいけどつまらないカメラだと言えるかもしれません。
ニコンのような「伝説」もないし、他メーカーのような「特色」で売るメーカーでもないからです。
「これだ!」というメーカーのビジョンを打ち出すというよりも、ユーザーの声に耳を傾け、ユーザーに受け入れてもらえるカメラを作るという、ごく当たり前のことをやっているだけです。
それは、テレビのチャンネルで言えば「NHK」のような王道感であり、民放のようなバラエティ感はありません。
だからこそ、キヤノンのカメラが向くのは、「カメラをやりたい人」というよりも「写真をやりたい人」です。
カメラ自体はそんなに面白くないかもしれません。
しかし使いやすいカメラであり、安心して使えるカメラです。
すなわち「写真」に集中できるカメラです。
確かな技術力、そしてカメラを作る姿勢。
そこから導き出される「安心感」こそが、キヤノンのカメラの特徴と言っていいでしょう。
正直筆者も、キヤノンのカメラに「愛着」はありません。
愛着ならライカが最強です。
キヤノンの場合は、愛着というよりも「相棒」です。
頼れるパートナーです。
NHKは面白くないかもしれないけど、安心して見れます。
でも実はよく見ると面白かったりします。
パッと見の画面が派手ではないので、わかりづらいだけです。
つまり番組の「内容」勝負なのです。
カメラで勝負ではなく「写真の内容」で勝負する方にとっては、キヤノンのカメラはきっと相性がいいことでしょう。(笑)