特に初心者のみなさんにとって、カメラ選びは難しい作業ですね。
何か今までにカメラをいくつか使ったことがあるなら、それをとっかかりに、それを比較対象にして、まだわかりやすいものがあるでしょう。
しかし、全くの初めてとなると、ネット上の情報や、カタログスペック、知人からの評判という間接的なものをアテにするしかありません。
そして、物事の見方にはいろいろあり、どれが正解ということもありません。
Aが言ってることとBが言ってることは正反対だけど、どっちも納得できる、という場合もあり、ますます混乱します。
また、カメラを使う目的や用途がハッキリしていれば、まだ判断基準も成り立ちますが、実際のところあいまいという方も多いでしょう。
そういう意味で、特に初心者にとってカメラ選びは、くるくると狂う気まぐれなコンパスを片手に大海原で港にたどり着こうとしているようなものです。
今回はそんなカメラ選びに困難を感じている方へ、カメラ選びのコツ、というか「考え方」を提案したいと思います。
目次
そもそもカメラを買う理由は?
さて、カメラ選びに悩めるみなさん。あなたがカメラを買う理由はなんですか?
「いやー子どもが生まれましてねー」
「インスタの写真をグレードアップしたいんです」
「リタイア後の趣味のために」
いろいろな理由があると思いますが、集約すると結局、単純に「欲しいから」になりませんか?
そもそも人がモノを買う理由は、ほとんど2つに集約されます。
「必要だから」と「欲しいから」です。
そしてカメラの場合、「必要」なのはほとんど「仕事」で使う人であって、我々趣味で買う人は、ほぼ「欲しいから」です。
カメラが無かったら死にますか?生活に不都合をきたしますか?
仕事でカメラを使っている人ならリアルにその通りかもしれませんが、我々は無くったって別に死にはしませんし、なんら生活に不都合も起こりません。
そうです。我々趣味の人間にとって、カメラ選びはそんなハムレットみたいに深刻に悩む必要などないものです。だって楽しみのための道具ですから。
(仕事の場合だとリアルに「To be or not to be…」ですが…汗!)
カメラは我々にとって「趣味・嗜好品」でしたね。
参考:35mmフィルム一眼レフの最高峰、EOS-1vがお買い得すぎる話
好きだから買う、楽しむために買うものです。
まず最初に、そこを思い出しましょう。
なぜカメラ選びがそこまでリキまれるのか
ちなみに、なんで楽しみのためのカメラ選びがそんなにリキまれるのか?
カメラってのは、単純に買って終わりではありません。
買って使わなければいけません。
すなわち写真を撮らなければいけません。それも「いい写真」を。
なぜかこの日本においては、楽しむために買ったカメラが、「いい写真」を撮らなければいけないという「プレッシャー」になっているようなところがあります。
それはSNSというサークルの中で評判を勝ち取らなきゃいけないからかもしれませんし、周りに「さすがいいカメラ使ってるだけのことはある!」と思われなければいけないからかもしれません。
ですから、「いい写真」のために、カメラ選びにも自然と力が入り、少しでも「いい写真」が撮れるようにと、「楽しみを忘れて」ほとんど義務のようにクソ真面目に吟味している自分がいたりします。
なにか、「いいカメラを買う」=「下手な写真はマズい」という、暗黙の了解があるかのようです。日本が「恥の文化」だからでしょうか。
もし、そんな呪縛に囚われているとしたら、まずそこから抜け出さなくてはなりません。
写真が「義務」になっちゃったらつまらない。
抜け出すのは簡単です。単純に自分が今その状況に陥ってると「気付けば」いいのです。
「気付く」とはつまり、客観的にその状況を見れているということなので、客観的に見ればその状況が「イケてる」か「イケてない」かがわかります。
「イケてる」か「イケてない」かがわかれば、自然と方向転換も始まります。
1回力を抜いて、本来のワクワク感を取り戻しましょう。
カメラ選びは、まずは「楽しむこと」「ワクワク感」がスタートです。
カメラ選びの難しいところ
さて、カメラ選びの難しさ、それは、自分にとって必要なスペック、使い心地、フィーリングといった、「目に見えない要素」が多いことです。
カメラはファッショングッズと同じように「嗜好品」的な要素がありますが、それらと決定的に違うのは、見た目や持った感じ、試着(試写)という、「ワンタッチ」なことだけでは、肝心な部分がわからないことです。
カメラというのは、画質だけでなく、機能性、使い心地、フィーリングといった、「実際に使っていく中で初めてわかるもの」がキモであり、それらは文字どおり、「実際に使ってみなければわからない」ものです。
でありますから、実際に使ってみる前は、他人のレポートや評価、カタログスペックという「間接的なもの」から、その「肝心な部分」を想像するしかありません。
もちろんそれは「想像」ですから、「実際」とは似ても似つかないこともあります。というか大抵そうです。
「想像」が猫だとすると、「実際」は犬な場合だってあるでしょう。
そして、特に自分が「良さげ」って思ったものに関しては、他人の評価がどうであろうとも好意的に解釈してしまっている自分がいます。妄想が暴走するのです。みなさんにも経験ありませんか?(笑)
私の場合で言うと、ライカのオールドレンズが「良さげ」って思ってしまい、実際に買ってみてガッカリした経験があります。
(あ、ちなみにこれは「好み」の話であって、「良し悪し」ではありませんよ!念のため)
その経験が私に「オールドレンズの「味」ってなんだ!?」を書かせたわけですが、いかに「想像」がアテにならないかの良い例です。
さてそんな致命的とも言える難しさのあるカメラ選びを攻略するには、根本的に発想を転換する必要があります。
ムダな経験など一個もない
さてどうにかこうにか、ひとつの港にたどり着いたとしましょう。
つまり新しいカメラの購入です。おめでとうございます。
吟味に吟味を重ねたけど、当たりかどうかはまだわかりません。
しかしです。
実際のところ、必ずしも「当てる」必要はないのです。
なぜなら、たとえ「ハズレ」だったとしても、それはそれで貴重な経験になるからです。私のライカレンズのように。
ハッキリ言って私のライカレンズの経験は、当たりハズレで言うと「ハズレ」でしたが、その経験自体は非常に貴重なものであり、自分のカメラ観を構築する上で、非常に重要な役割を演じているのは間違いありません。
それは、「想像」の中だけでは決してわからないことでした。
実際に購入し、実際に自分の使い方の中で使ってみないと決してわからないものでした。
ですから、「ハズレ」は必ずしも「悪」ではありません。
というか、逆にそれも「楽しみ」のひとつです。
私のライカオールドレンズ購入顛末を今振り返ってみると、なんだかんだいってその経験は「面白かった」であり、「いい思い出」です。
「経験」は「想像」にまさるもの
いくら想像をめぐらせていても分からなかったことが、「経験」は一発で分からせてくれ、なおかつ想像だにしなかった世界も見せてくれます。
それはいわゆる「ハズレ」であったとしてもです。
「ハズレ」君は決して「買って損した」君ではなく、「知らなかった世界を見せてくれた」感謝すべき野郎です。ガッデーム!
そう考えると、男女のお付き合いよろしくカメラやレンズも出会いと別れを繰り返しますが、ムダな経験など一個もない、と言えます。
あなたの人生もそうじゃありませんでしたか?
あなたの人生をすれ違ったあの人この人あんなことこんなこと。酸いも甘いもありましたが、今となっては全て、あなたの糧となっていますね。その経験の上に今のあなたがいますね。
ですから「ハズレ」を恐れる必要などないのです。
全てのモノゴトには価値がある
そのカメラ機材購入にいくらコストがかかったかは知りませんが、そう考えると、どう転んだとしても価格分の価値は必ず取れるわけです。
その、「元を取る」ために必要なことは、その経験に対する「解釈」だけです。
その経験を「あーすげームダだった、損した」と思うか、「自分にはマッチしなかったけどこういう世界もあるんだ~」と素直に感謝するか。それだけです。
そこで価格分の価値を得たと解釈できれば、失敗などありえないのです。簡単ですね。
ですからそれが出来るならば、安心して、今買おうとしている「それ」を購入してください。(笑)
絶対に失敗しないカメラ選び
そうです、カメラ選びにあれやこれや迷い、あーでもないこーでもないと堂々巡りの旅に出るのは、「失敗を恐れる」からです。
その恐れていた「失敗」とやらが、実は「無い」とわかれば、そこでカメラ選びを巡る堂々巡りの旅は終わりを告げます。
まさに「大逆転の発想」ですね。(笑)
そして、カメラ機材に関しては、買った後の処分も、ヤフオクやら中古ショップやらが充実しています。アフターフォローも万全です。
買って経験を積んだ後は、売ってまた次の経験を買えばいいのです。その差額が、あなたがその経験に支払った金額です。
まとめ
真面目なんだか不真面目なんだか、この記事に若干不安になった方もいるかもしれませんが、そもそもなんでこんなことを書こうと思ったかというと、趣味のカメラにも関わらす、カメラの楽しみを忘れているように見受けられる場面が多いからです。
ほとんど「仕事」でもやってるかのような意気込み、生真面目さ、生硬さ。
まあもちろんそれも悪くありませんが、オフの時間まで仕事に取り組まなくていいでしょー。
日本人にはまじめな方が多いようで、クソまじめに受験勉強か何かのように趣味に取り組む方も多いですが、そこには日本人の「まじめさ」と「恥を極端に嫌う文化」が作用しているように感じます。
それは「オン」の時に作用するなら立派な性向ですが、「オフ」の時に作用するとちょっとやっかいです。
そんな趣味を楽しむのを「うっかり」忘れていた人たちへ、今回の記事を捧げます。
今回の記事が若干不真面目に見えたとしたら、それはそんな生真面目な方に肩の力を抜いてもらいたかったからに他なりません。(ほんとか!?笑)
さて、実際記事に書いた通り、「どう転んでも楽しめる」のがカメラの世界です。
この週末はまわりのことは忘れて、「自分のためだけ」に写真を撮ってみてはいかがでしょうか。
むしろそれが「本当に素敵な写真」への近道かもしれません。