オールドレンズをミラーレス一眼で使うということが流行っているみたいですね。
最新のデジカメと、AF以前の古いレンズの組み合わせが、意外な効果を生んで面白いようです。
オールドレンズってのは、当時のレンズ製造技術が、まだ未熟であったがゆえに、その未熟な部分がレンズのクセとして表れていて、その部分を「味」と称しているようです。
今回は、その「味」と呼ばれるレンズ独特のクセについて探ってみたいと思います。
photo:Simson_Petrol
目次
オールドレンズとは
オールドレンズとは、読んで字のごとく「古いレンズ」ですね。
どのくらい古いのかと言うと、ざっくり言ってオートフォーカス対応以前のマニュアルフォーカス専用のレンズ、と言えるでしょう。
オールドレンズの特徴
それくらい昔のレンズというのは、現在と比べるとまだコンピューターも未発達で、レンズの設計が未熟です。
それから、ガラス材料の質、加工技術、反射を抑えるコーティング技術なども、現在の技術から比べると当然劣ります。レンズの世界も日進月歩なわけです。
それらが発達する以前のレンズということで、現代の、シャープでクリアな「よく写るレンズ」に比べると、
- 低コントラスト
- フレア、エッジのにじみ
- 歪曲
- 周辺の光量ロス、像の流れ
など、まあいろいろなクセがあるわけです。
レンズの設計というものは、あちらを立てればこちらが立たずと、全ての要素をまんべんなく成立させることが難しいので、設計者の考え方によって、バランスの取り方に個性が出ます。
とくにオールドレンズだと、取りきれない収差が今に比べて多かったので、その「クセ」「特徴」がレンズによって差が大きいのです。
そのあたりが「面白さ」となっているわけでしょう。
「味」の正体
さて、レンズのクセ、すなわち「味」ですが、これは元をただせば「未熟さ」「至らなさ」です。
レンズ設計者の思いとしては、「もっとこうしたかった」とか「もっとこうであるべきだった」ということが、あるかもしれません。
しかし、その未熟な点を「味」と称して、好意的に解釈してくれるのは、ありがたいことです。
ただ、当時の技術者が、現在の技術を持っていたとしたら、当時のようには作らなかったことは確かでしょう。
「味」=「解釈」
さて、レンズの味の正体ですが、それは、レンズのクセに対する「解釈」です。
いま、猫も杓子も「オールドレンズの味は素晴らしい!」と持ち上げていますが、それは、現代の高性能レンズに対する反動にすぎません。
現代の高性能レンズという、ゆるぎない軸が存在するからこそ成立可能な解釈です。
果たして世の中オールドレンズだけであったら、「味」云々するでしょうか?
それよりも、もっと高性能なレンズがあったらなぁと、もっと高性能を待ち焦がれるのではないでしょうか。
おそらく、レンズの未熟さは、「未熟さのまま」解釈されているはずです。
そんなわけで、全く同じ要素を指して、「味」とも言えるし、「未熟さ」とも言えるわけです。
自分の目で確かめて!
そこで大事なのは、人の解釈ではなく、自分の解釈です。
ネットや検索で、「オールドレンズはいい!」「個性があって楽しい!」などと書かれていると、そう思わされてしまっていませんか?
「なるほど確かにふわふわした感じがキレイだ」とか、「像が滲んでいるところがソフトフォーカスっぽくて良い」など。本当にそう思っていますか??
本当はちゃんと写ったほうが、被写体の良さがストレートに伝わってきませんか?
オールドレンズを使うことで、写真の内容が歪められてしまっていませんか?
「写真を撮る」という、本来のことから考えると、ちゃんと写ったほうがいいのは当たり前です。
プロでオールドレンズで仕事をする人は、ごく特殊なケースを除いてありません。
「ちゃんと撮る」のが当たり前だからです。
だから、本当はそう思ってない人まで、オールドレンズに手を伸ばす必要はありません。
まわりの声に踊らされずに、ちゃんと自分の目で確認してみてください。
(そのためには実際に使ってみる必要がありますが。。)
まとめ
さて、オールドレンズの「味」ですが、実に様々な解釈が成立します。
「あのレンズはいいけど、このレンズは良くない」
「いやいや、そのレンズよりもこっちのほうが全然いい!」
全く収拾がつきません。
ここで大切なのは、自分の目です。
人の意見やネットの意見ではなく、自分の目で確かめないと、真相はわからないのです。
ただ、ひとつ言っておきますと、レンズの「味」は元をただせば「未熟さ」です。
本当は達成したかった高い目標が、当時の技術では再現できなかった部分です。
オールドレンズを使えば、何かステキな感じに写ってくれるのではないかと期待している人に水を差すようでナンですが、
普通に見たら、ただのプアな写りです。
どう解釈するかはその人次第ですが、非常に恣意的な部分であることは確かです。
そこをよく理解したうえで、オールドレンズとお付き合いください。