これで完璧!写真撮影における露出の全て

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露出

写真において「露出」とは、写真の明るさを決めることですね。

普通、明るさを決めるだけなら、「明るい⇔暗い」のひとつのパラメーターだけを操作すればいいはずですが、写真においては、明るさを決めるために3つのパラメーターを操作します。

  • 絞り
  • シャッタースピード
  • ISO感度

そして、この3つのパラメーターを変化させると、写真の明るさが変化するだけでなく、別な要素も変化します。

  • 絞り=ピントの合う範囲
  • シャッタースピード=写真のブレ具合
  • ISO感度=画質(ノイズ量)

つまり、写真の「明るさ」を決める作業は、明るさと共に、上記の3つも合わせて決めることなのです。

写真の「明るさ」を決めながら、同時に写真の「ピントの合う範囲(=背景のボケ具合)」「動く被写体のブレ具合」「画質(ノイズ量)」も決めなくてはいけないのです。

これらは、分離不可能で、明るさだけを決めるということはできません。

すべて同時に決めなくてはいけないのです

そこが、写真の「露出」をややこしくしている要因ですが、逆に言えば、それらさえ覚えてしまえば、とりあえず露出についてはマスターしたと言えるでしょう。

今回はそんな、写真の露出をややこしくしている要素を解きほぐしながら、露出の根本的なところを解説してみたいと思います。

photo:Meno Istorija

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そもそも露出とは

「露出」とは、その言葉の意味どおり、「レンズを通過してきた光に、センサーをさらすこと」ですね。

そして、その光は、日中屋外の強烈な直射光の場合もありますし、屋内のぼんやりとした室内灯の場合もあります。

つまり、シチュエーションや時間帯によって、センサーに取り込むことができる、その場の光の量はマチマチなのです。

どれくらいマチマチかというと、快晴時の日中屋外と、夜間の室内で、だいたい1024倍の差です。

富士フイルムのISO400のフィルム(X-TRA 400)のデータシートを見ると、快晴時の屋外と、夜間の室内の差が10段あり、その差はつまり、2の10乗ということなので、そういうことになります。

(「段」については後ほど説明します)

お金で言うと、1万円と1000万円の差ですね。結構大きいです。

それだけシチュエーションによって差が激しい光の量ですから、毎度毎度の撮影では、適量を取り込むように調整する必要があります。

露出とは

「露出」とは、いま現にある光の中から、適量を取り込む行為、と言えます。

写真は、日中のまぶしすぎる状況からも、夜間の室内の薄暗い状況からも、同じように「適量」を取り込む必要があります。

そのためには、明るすぎる状況ならば、取り込む光を切り詰めて適量にしますし、暗い状況ならば、露光時間を長くしたり、センサーの感度を上げたりして、光をかき集めて適量までもっていきます。

そうやって、最終的にはどんな状況からも同じくらいの量、すなわち「適量」を取り込むのが、すなわち露出です。

適正露出とは

では、「適量」とはどれくらいの量を言うのか?

それは文字どおり「適量」です。

明るすぎず暗すぎず、違和感なく画像が見れるちょうどよい明るさです。

ヒストグラムの山がちゃんとカメラの記録可能な範囲内に収まっているかどうかでも確認することができますが、実際は山の大部分が記録可能範囲を外れていても、「適」な場合もあります。

極端な逆光の場合などですね。

主要な被写体を「適」にすることによって、背景が真っ白にぶっ飛んだとしても、それはそれで「適」です。

また、意図的に明るくしたい、あるいは暗くしたい場合もあるかと思いますが、その場合もその狙った露出が「適」です。

そうです、露出の「適正」にルールはありません

撮る人が、「適」だと思えば、それが「適」なのです。

「肉眼で見た感じ」の明るさを基準に

それではなんの取っ掛かりもなくて困るという人は、とりあえず「肉眼で見た感じ」の明るさを基準にするといいでしょう。

肉眼は日中屋外でも夜間の室内でも、ほぼ同じような感覚で見せてくれる、素晴らしい調整機能を持っています。

全く1024倍の差を感じさせることなく、どんな場面でも「最適」に見せてくれます。

その「最適に見えた」肉眼の感じを写真上に再現すれば、すなわち「最適な明るさ」を写真上に表現できるわけです。

「現実のシーン」を見るのも、そのシーンを撮った「写真」を見るのも同じ肉眼なわけですから、その肉眼の感覚で同じように調整しようというわけです。

もちろん、肉眼の見た目と、写真に写った画像は、輝度の範囲も違うし、コントラストのつき方や色の感じも違うので、「全く同じに」というわけにはいきません。

あくまで「感覚」として、それを取っ掛かりにし、あとは好みや表現によって、より「明るく」や「暗く」を調整すると、露出のコントロールもしやすいのではないでしょうか。

カメラが露出をコントロールするしくみ

では実際、カメラではどのように露出をコントロールするのでしょうか。

レンズから入ってきた光をセンサーにさらすことによって、画像を記録するのがカメラの仕組みですが、レンズから入った光は、3カ所のチェックポイントによって、「明るさ」をコントロールすることができます。

まずレンズを通過する際、そのレンズに付属する「絞り」によって、通過する光の量そのものを増減できます。

そして、レンズを通過してきた光は、「シャッター」によってセンサーに当てている時間を増減できます。

最後に、センサーの「ISO感度(光に感じる度合い)」を変えることによって、画像を形成するのに必要な光の量を増減することができます。

この「三段階選抜」こそが、写真におけるの露出の実態です。

まるで就職活動のように「書類選考」「筆記試験」「面接」を通過した光だけが、晴れて新入写員として入射できるわけです。

我々は人事部長として、光の入射を統括する責任ある立場であることを自覚しなくてはいけませんね。(笑)

豊かに光が溢れる状況からも、暗いどんよりとした状況からも、毎回毎回、一定のクオリティを持った人材を一定量集めなければいけないのです。

そういう意味で、露出とは光の「リクルート活動」ですね。

「人事の人は写真が上手い」というジンクスが、ひょっとしたらあるのかもしれません。(笑)

露出における3つのパラメーター

では、そんな露出をコントロールするための3つのパラメーターを、それぞれ個別にチェックしていきましょう。

  • 絞り
  • シャッタースピード
  • ISO感度

写真においてはこの3つのパラメーターで明るさをコントロールしますが、これらを変化させることは、明るさの変化と同時に、それぞれ別な要素も変化させることになります。

そして、その変化は常にワンセットです。

明るさの要素だけを取り出して変化させることは出来ないので、注意が必要です。

絞り

「絞り」というのは、カメラのレンズについている機構です。

絞り

これは、全く文字どおり、レンズを通過する光の量を「絞る」ものです。

絞りを開くと、たくさんの光の量が通過し、絞りを絞ると、通過する光の量が少なくなります。

通過する光の量が多いと「明るく」なり、通過する光の量が少ないと「暗く」なるわけですから、まずこれによって写真の明るさをコントロールするすることができます。

絞りにおける明るさ以外の変化要素

そして、絞りを開けることは、光の量が増えるので明るくなると同時に、ピント位置から外れた画像のボケが大きくなります。

その原理をざっくり説明すると、以下の通りです。

絞りとボケの関係

一点から出た光はレンズを通過することによって、また一点に収束するわけですが、その収束点前後の光の広がり方を見てみましょう。

レンズの口径目いっぱいの幅を通過する上の図は、収束点(ピント位置)からすぐに広がりが大きくなっています。

そして、絞りによって光の通過する道が細くなっている下の図は、収束点前後の広がりは比較的小さいままです。

この、ピント面前後の光の広がり具合がすなわちボケの大きさです。

絞りを開けるほどボケやすく、絞るほどボケにくくなるのは、ざっくり言うとこういう仕組みです。

そして、ボケにくいということはすなわち、ピントが「合って見える」範囲が広い、ということでもあります。

絞りのコントロールは、ポートレートなど、背景をボカして人物を浮き立たせたい時には「開け」、集合写真など前後に人が並ぶ場合は、ピントが合って見える範囲を広げるために「絞る」、といった使い方ができます。

ボケの大きい写真

ボケ大

パンフォーカス

ボケ小(パンフォーカス)

photo:skitter photo

シャッタースピード

写真は、レンズを通過してきた光を、センサーに当てることによって画像にするわけですが、その光を「どのくらいの時間」当てるのかを決めるのが、シャッタースピードです。

当然ながら、長い時間当てれば写真は明るくなり、少ない時間であれば暗くなります。

シャッタースピードにおける明るさ以外の変化要素

シャッタースピードというのは、センサーに光を当てている時間なので、その時間が長ければ、当てている間に被写体が動いたり、センサー自体が動いたり(いわゆる手ブレ)することがあります。

つまり、その動き(ブレ)がセンサーに記録されてしまうのです。

逆に言うと、あえてシャッタースピードを遅くして、被写体の「動き」を記録することも可能です。

流し撮り

ブレ写真

photo:dennis

そしてまたその逆に、シャッタースピードを思いっきり速くして、本来目にもとまらぬ速さのものを止めて見ることも可能です。

F1マシン

水しぶき

ISO感度

ISO感度については、こちらの記事にも詳しく書いてありますので、ご参照ください。

参考:「ISO感度」に関する必要十分な情報をここにまとめました

ISO感度とは、センサーの「感度」、つまり、センサーが光に「じる合い」を設定するものです。

少しの光で感じるのが「敏感」、たくさん光をあてて、やっと感じるのが「鈍感」ですね。

そして、「敏感」は敏捷の敏ですから、「速い」という意味、「鈍感」は鈍いの鈍ですから、「遅い」という意味です。

つまり、ISO感度とは「画像形成スピードの速さ」です。

ISO感度が高いと、少しの光が当たっただけで、素早く画像を形成することができ、ISO感度が低いと、同じ画像を形成するのにもたくさんの光が必要で、時間がかかるということです。

これによって相対的に写真の明るさをコントロールできます。

例えば取り込む光の量を「10」と一定とした場合、「高ISO感度」と「低ISO感度」では明るさはどう変わるでしょうか。

まず、「高ISO感度」の場合、光の量は「5」でも十分だったりします。

そこに「10」当てるわけですから、かなり明るく写ります。

逆に、「低ISO感度」の場合、同じ画像を形成するのにも「20」くらいの光量が必要だったりします。

同じ「10」でも「全然足りない」となり、かなり暗く写ります。

ISO感度における明るさ以外の変化要素

ISO感度とは言ってみれば、画像を形成するのに「どれだけの光の量から作りますか?」という選択肢です。

  • 低ISO感度は、たくさんの光の量が必要だけど、高画質。
  • 高ISO感度は、光の量が少なくて済むけど、低画質。

というわけです。

画像はたくさんの情報量から形成したほうが、画質はよくなります。

つまり、低ISO感度のほうが、同じ画像を形成するのにも、たくさん光の量を使うので、画質がよくなります。

そのかわり、たくさんの光の量を集めるために、絞りを開けたりシャッタースピードを遅くしたりする必要があります。

逆に高ISO感度は、同じ画像を少ない光の量から形成するので、画質は落ちます。

しかし、光の量は少なくて済むので、絞りを絞ることもシャッタースピードを速くすることもできます。

また高ISO感度は、そもそも絞りを限界まで開けて、シャッタースピードを限界まで遅くしても、それでも光が足りないような暗い状況でも写真が撮れる可能性が高まる、というメリットもあります。

ISO感度は、「画質」と「光の量」がトレードオフの関係の中で、どのようにバランスを取るかという作業です。

露出の共通のプラットフォーム「段」

さて、このように「レンズの機構」「シャッターの機構」「センサーの機構」という、マチマチな機構のマチマチな仕組みによって光の量をコントロールする場合、そこには何か共通のフォーマットがないと、統一性をもってコントロールすることができません。

その露出における共通のフォーマットが「段(EV)」という単位です。

(EVは「Exposure Value」の略)

段(EV)とは

「段」とは、写真における光の量の単位です。

ある光の量から「1段」となった場合、それは最初の光の量の「」ということを意味します。

それはつまり、「1段」の場合は、最初の光の量の「半分」ということです。

「2段上」なら、最初の光の量の「倍の倍」、つまり4倍です。

「3段上」なら、最初の光の量の「倍の倍の倍」、つまり8倍です。

このように写真における光の量の扱いは、倍々ゲームになっています。

そして、その「段」に相当する単位は、レンズの絞り、シャッタースピード、ISO感度でそれぞれまた呼び名が違います。

レンズの絞りの単位は「F値」、シャッタースピードは「」、ISO感度はそのまんま「ISO」です。

呼び名は違うけれど、各々の単位における1目盛り分の差はどれも同じ1段、つまり「上なら倍・下なら半分」で統一されています。

これがまた露出の実にうまい仕組みになっているところです。

  • レンズを通過する「光の量」
  • レンズを通過した光をセンサーに当てている「時間」
  • センサーの光に感じる「度合い」

という、「量の寡多」「時間の長短」「感度の強弱」という、まるっきり次元の違う分量を「段」という1つの土俵で取り扱ってしまえるのが、露出の実にうまくできた仕組みです

「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」と「段」の関係

それでは、「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」のそれぞれにおける、「段」の単位との関係を見ていきましょう。

別々な機構を「段」という共通単位で利用するために、それぞれの機構において、どのような調整がされているのでしょうか。

絞りにおける「段」の単位

レンズの絞りにおける「段」単位は「F値」です。

これは「有効口径/焦点距離」(口径比)の逆数です。

焦点距離に対して口径がどれくらいあるのかを示すのが「口径比」で、その逆数かF値です。

焦点距離100mm、口径50mmのレンズなら、

口径比=「有効口径/焦点距離」=50/100=1/2

つまり、口径の長さは焦点距離の1/2ということですね。

そしてその逆数の「2」がF値となります。

なんでわざわざ逆数にしているかというと、単純にそのほうがシンプルで分かりやすいからです。

レンズの明るさを決める要素

焦点距離は、レンズから焦点を結ぶまでの光の移動距離なので、長ければ長いほど明るさは暗くなります。

窓辺の光の明るさは、窓から近い方が明るく、窓から遠い方が暗いですね。あれと一緒です。

窓辺

そして、口径は大きければ大きいほど、たくさんの光を取り込めます。

窓が大きければ大きいほど明るいのと一緒です。

焦点距離は長ければ長いほど暗くなる、そしてレンズの口径は大きければ大きいほど明るくなる。

その「暗くなる要素」と「明るくなる要素」のせめぎ合いはどうなっていますか?というのを数値で表したのが口径比であり、F値です。

よくレンズの鏡筒に「50mm 1:1.4」などと書かれているのは、レンズの口径を1とした場合、焦点距離の長さがいくつか、ということを示しています。

オールドレンズ

photo:Simson_Petrol

それはつまり口径比の「有効口径/焦点距離」=「焦点距離を1とした場合に口径がいくつか」の逆(逆数)なので、右側の数字はそのまま「F値」ということです。

「口径比」と「F値」の違い

口径比」とは、焦点距離に対して口径がいくらか、という数値です。

つまり、「暗くなる要素」に対して、「明るくなる要素」がどれくらいか?という数字なので、数字が大きくなるほど明るくなります

対して、「F値」は、口径に対して焦点距離がいくらか、という数値です。

つまり、「明るくなる要素」に対して、「暗くなる要素」がどれくらいか?という数字なので、数字が大きくなるほど暗くなります

言ってみれば口径比とF値は、同じコインの表と裏です。

同じことを別な言い方で言っているにすぎないのです。

「比率」と「明るさ」の比例関係

焦点距離が50mmで、レンズの口径が25mmなら、レンズ口径と焦点距離の比率が1:2なので、F2です。

そして、焦点距離が100mmで、レンズの口径が50mmでも、同じく比率が1:2なので、F2です。

そうです、レンズ口径と焦点距離の「比率」が同じなら、明るさも同じなのです。

これによって、あらゆる焦点距離のあらゆる口径のレンズの明るさを、全く同じ土俵で取り扱うことができます。

ちなみにこの口径は「有効口径」、つまり「実際の」口径なので、要するにそれは、レンズの「絞りの口径」ということになります。

「1.4」とか「2.8」とかいうハンパな数字の理由

さて、レンズのF値は、「1.4」とか「2.8」とかいう、微妙な数字で表される時がありますが、これは、どういうことでしょうか。

「段」は、倍とか半分、の単位なので、F値に関しても、いっこ上、いっこ下が、「倍・半分」にならなければいけません。

F値に関して光の量が倍になるのは、光を取り込む面の面積が倍になる時です

単純に、取り込む「窓」が倍になると、光の量も倍になるという計算です。

同じ面積の窓から入ってくる光の量は同じ、というわけですね。

そして、その「面」とは、有効口径を直径とする円です。

そして、円の面積は「半径の2乗×円周率」です。

この計算でいくと、単純に口径を倍にすると(半径も倍になるので)、倍の2乗で面積は4倍になります。つまり光量が4倍になり、段で言うと「2段上」ということになります。

面積を倍にするためには、口径を倍にするのではなく、2乗して2になる数字、つまりルート2(=1.4)倍する必要があります。

つまり、直径(口径)を1.4倍(ルート2倍)すると、円の面積が倍になるのです。

ですから、F値の並びの1段ごとの単位である「1・1.4 ・2・2.8・4・5.6…」というのは、前の数字にルート2をかけていったものです。

これによって、左右の並びが光量的に「倍・半分」になります。

そしてF値というのは、数字が大きくなるほど暗くなるものでしたね。

F値は大きくなるほど口径は小さくなり、光量は減少していきます。

F値のややこしさ

F値に関しては、「円の面積」という要素が入ってくるので、ちょっとややこしいですね。

しかしそれも、光をコントロールする要素を全て「段」という共通の土台にのせるためなので、仕方ありません。

あらゆる要素を「段」という土台にのせて、統一したコントロールができることは、多少のややこしさを上回る大幅なメリットがあるからこそ、そうしているわけです。

シャッターにおける「段」の単位

次にシャッターです。

シャッターにおける「段」の単位は「」です。

これは、我々が普段生活で使っている「何時何分何秒」の「秒」です。まるっきり同じです。

シャッターというものは、光をセンサーに当てている時間をコントロールするものなので、そのまま時間の単位が使われています。分かりやすいですね。

シャッターにおける光の明るさを決める要素

シャッターは、レンズを通過してきた光をセンサーに当てている時間をコントロールします。

「時間」を「段」に変換する場合は、絞りの時のようなややこしさはありません。

単純に時間を倍にしたら、光量も倍になります

これは蛇口の水に例えると分かりやすいですね。

10秒間出した水の量と、その倍の20秒間出した水の量は、単純に倍ですね。全く同じことです。

シャッタースピードの段における数字の並びは、

「1・1/2・1/4・1/8・1/15・1/30・1/60・1/125・1/250・1/500…」(秒)

となっています。

単純にこれは、最初の数字に1/2をかけていったものです。それがそのまま「段」の単位である「倍・半分」に対応しています。

右に行く方向に光量が半分になっていき、左に行く方向に、光量が倍になります。

実際の数字と正確に対応しているので、これは分かりやすいです。

露出における「表記」の意味

ちなみに、1/8→1/15が、本来は1/16となるはずなのに?と思われるかもしれませんが、これは、分かりやすさを優先して、「表記上」キリがいい数字にしているだけです。

本来はもちろん1/16だし、1/60は1/64だし、1/125は1/128です。

これらの数字は、単なる「記号」なので、正確性よりも、見た目上直感的に把握しやすい数値にしてあるのです。

これは、絞りのF値についても、同じことが言えます。

F1.4だって正確には、F1.41421356237…です。

だいたい、そもそもF値は、本来の明るさを示す「口径比」をわざわざ逆数にしています。

焦点距離100mmで口径25mmのレンズは、口径比で言うと1/4ですが、F値は4です。

それは、口径比だと「1/4」とか「0.25」というような「0以下」の直感的にわかりにくい数字になってしまうので、単純に「分かりやすく」するためです。

そもそも「1/4」だとシャッタースピードとかぶりますし。

かといってシャッタースピードのほうを、例えば「1/500」を「500」にすると、こんどはISO感度とかぶります。

実際、露出における「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」のそれぞれの数値は、なんとなく「範囲」が決まっており、それぞれかぶらないように設定されています

露出の数値の「範囲」による住み分け

その範囲は、ごく一般的に、

  • F値は「2ケタ前半までの正数」(F1.0~F64くらい)
  • シャッタースピードは「分数」(1/8~1/4000くらい)※カメラ手持ちで普通に使う範囲
  • ISO感度は「2ケタ後半以上の正数」(50~6400くらい)

です。

これによって、パッと見て何の数値なのかが、把握しやすくなっています。

この、「直感的な把握のしやすさ」は自動露出など無い、マニュアルで撮るのが基本だった時代では、とても重要なことでした。

露出の表記とその言語性

露出をマニュアルで操作していた頃は、シャッターダイヤルや絞りリングに刻印されているそれらの数値は本当の意味で「記号」であり、光を露出に翻訳するための「言語」でした。

そこで大事なのは、数値上の正確性ではなく、言語としての機能性です。

「トンネルを抜けると雪国であった」と、作家が情景を言語で言い表すように、カメラマンは情景を数値で言い表します

「ISO400でF2.8、1/125。シャドーの描写が大事なので半段開けるか。ブラしたくないのでシャッターじゃなく絞りで」などと、露出の数値をリアルに「言語」として使っていたのです。

そこでは単語の意味と同じように、「1/125の意味」や「F2.8の意味」といったものが、ちゃんとあったのです。

そして、おそらく1/125が1/128であったなら、1/125の時ほどその意味をスムーズには取り扱えないはずです。

さらに言えば、もし1/125が1/128だったら、1/125の時と同じようには愛せないのではないでしょうか?(笑)

露出の表記とそのキャラクター性

そうです、露出において「1/125」や「F2.8」は、ただの数字ではなく、キャラクターであり、個性です

芝居で言えば「登場人物」です。

カメラマンは演出家として、「1/125君」や「F2.8ちゃん」などの各キャラクターをうまく配役して、一本の写真を撮り上げます。

「露出」とは「演出」なのです。

そして、演出においては、各キャラクターの個性はハッキリとさせたほうがいいのです。

「ドラえもん」においても、ジャイアンはジャイアン、スネ夫はスネ夫と、ハッキリとした把握しやすいキャラクターだからこそ、世界中で受け入れられているのです。

登場人物が、「1/128」とか「F2.82842712…」とかいう微妙すぎる数字だと、すんなり感情移入できません。

各キャラクターを自由自在に操るためには、シンプルにして把握しやすい特徴を備える必要があります。

そういう意味でも「1/128」は「1/125」だし、「F2.82842712…」は「F2.8」なのです。

ISO感度における「段」の単位

少し話がそれましたが、最後にISO感度における「段」の単位です。

昔は「DIN」や「ASA」といった単位もありましたが、現在では「ISO」という単位に統一されています。

参考:「ISO感度」に関する必要十分な情報をここにまとめました

ISO感度の「段」における数値の並びは、これもシャッタースピードと同じで、単純に両隣が「倍・半分」です。

「100・200・400・800・1600…」

数値は右方向に「倍」になっていき、左方向に「半分」になっていきます。

ISO感度における光の明るさを決める要素

ISO感度は、絞りやシャッタースピードのように、光の「絶対量」を調整するわけではありません。

ISO感度で調整するのは、「画像形成に必要とする光の量」です。

少ない光の量から画像を作るか、たくさんの光の量から画像を作るかの選択です。

それによって「相対的に」明るさをコントロールすることができます。

「100→200」などと、ISO感度を1段上げることによって、使う光の量を1段分減らすことができます。

しかし、その分画質が落ちます。

反対に「800→400」などと1段下げると、使う光の量を1段分増やすことになります。

しかし、その分画質は向上します。

ISO感度の数字の意味

ISO感度には、絞りにおける「面積」や、シャッタースピードにおける「時間」のような、物理的な制約がありません。

そのため、その単位も人為的に決めることができました。

ですから、もっともキリがよい、「100」という数字をスタート地点として、そこから1段の幅である「倍・半分」をそのままの形で適用し、

「…25←50←100→200→400…」

となっています。

「100」をスタート地点としたのは、それがもっともキリがよい数字であるとともに、「上方向」への対応を基本にしながら、「下方向」にもある程度対応できる数字だからです。

どういうことかと言いますと、基本、感度の進化の方向は、低感度よりも高感度のはずです。

画質は「向上」していくのが、進化の方向です。

例えばISO1600がとてもノイズがひどくて使えなかった時代から、実用レベルの時代になり、そして常用レベルの時代になる。

ISO感度は「高感度方向」に拡張していくのが、明らかな時代の流れです。

ですから、最初の設定値「100」は、下方向にもある程度「整数値」というわかりやすい数字で対応できつつ、基本的には「上方向に」広がりを持たせた、まあ考えうる最適な設定値だったわけです。

写真の本質と露出の本質

しかるに現今、ISO感度はもはや10万の時代に突入しました。

シャッターの項で言及した、「露出単位記号論」の話からすると、もはや記号としては扱いにくいくらいのブッ飛んだ数値になってきています。

感覚的には、記号として把握しやすい範囲は1000代までではないでしょうか?すなわち6400くらい。

個人的にはISO感度が1万を超えたあたりから、写真とカメラの新時代に突入した感があります。

もはやそれは、人間が話をするための「言語」の役割を終え、コンピューターが会話するための「データ」へと変貌を遂げたようです。

その流れと軌を一にするように、「写真」は工芸的側面からデータ処理的側面へシフトしました。

粒子はピクセルに変換され、ケミカルはデジタルに、フィジカルはロジカルに。

それは、写真だけの話にとどまらず、もちろん世の中全体の流れとも一致しています。

つまりそれは、なるべくしてなっている流れです。

しかし、写真の要素には、そういったクルクルと変わっていく「表面上」のものだけでなく、その奥にある「変わらないもの」もあります。

アンリ・カルティエ=ブレッソンも言っています。

写真はその誕生以来、技術面を除いてはなにも変わっていない。そして私には技術的なことは重要ではない。

そうです。

写真は高感度化、デジタル化、ミラーレス化、さまざまに変貌を遂げますが、実は、誕生以来何も変わっていないのです。というか、変わらない部分もあるのです。

それが写真の「本質」です。

露出について言えば、絞り、シャッタースピード、感材の感度によって、「明るさ」「ボケ」「ブレ」「画質」を決めるのは、ほぼ写真が出来た頃から変わっていません。

露出の本質を把握するとは、新しいカメラの新しい機能を覚えることではなく、絞りとシャッタースピードと感度の関係を理解し、実際の撮影においてそれらをコントロールすることです。

そしてその理解するまでの段階は、この記事で説明しました。

あとは、実際に実地にて露出をコントロールするだけです。

さあ、「書を捨てよ、町へ出よう」です。

露出はお勉強のための教材ではなく、「実際に」コントロールされるために作られたシステムです。

まとめ

では、今回の内容、「露出」についてまとめておきましょう。

まず露出とは、その場の状況から、写真に必要なだけの光を取り込む行為です。

写真とは、レンズから入射した光をセンサーにさらす(露出する)行為ですが、その間に3か所のチェックポイントにて光の量をコントロールすることができます。

  • 絞り
  • シャッタースピード
  • ISO感度

これらはマチマチの機構によるマチマチの次元での光の量のコントロールですが、その量は「段(EV)」という統一単位によって、一貫性が保たれています。

この「段」よって、別次元の単位の量を、一つの次元で取り扱うことができます。

そして、これら3つの要素を変化させることは、明るさの変化とともに、それぞれ別の要素も変化させることになります。

  • 絞り=ピントの合う範囲(背景のボケ具合)
  • シャッタースピード=写真のブレ具合
  • ISO感度=画質(ノイズ量)

写真の露出とは、写真の明るさを決める行為であるとともに、これら3つの要素も同時に決める行為です。

「それぞれ個別に」ではなく「まとめていっぺんに」です。

そして、1枚の画像の中に

  • 明るさ
  • ピント範囲
  • ブレ具合
  • 画質

を、まとめて盛り込みます。

「露出」とは、上記4項目を同時に決定する行為です