きちんとした証明写真を撮りたいならば、証明写真ボックス(スピード写真)はオススメしません。
どんなにテクニックを駆使しても解決されない3つの根本的なデメリットがあるからです。
しかし、どんな道具も使い分け。ボックス証明写真の低コストは非常に魅力的でもあります。
「コスト」と「写り」の関係をしっかりと把握して、専用のスタジオと使い分けていきましょう。
目次
ボックスの証明写真はレンズが広角過ぎる
ボックスで証明写真を撮ったことのある人の、違和感ナンバー1はコレでしょう。
レンズが広角すぎて顔がゆがむのです。
一昔前に流行った、鼻デカ犬写真みたいになるのです。
もちろんここまでデフォルメはされませんが、微妙なゆがみが微妙な違和感につながります。
スペースの関係上、ボックスではどうしてもレンズと被写体の距離が近くなります。そのため広角レンズじゃないと、顔が写真の枠に収まりません。
そして広角レンズは距離の遠近を強調します。近いものはより大きく、遠いものはより小さく。
なので、鼻がいちばん大きく、耳側にいくほど小さく写ります。
「なんか普段鏡で見る自分と違う」という印象は、ここからきます。
これはカメラと被写体の距離の問題です。
なのでカメラ屋さんの片隅でブースを作ってやっている場合も、距離が近ければ当然この現象は起こります。
その点、専用のスタジオではきちんとスペースが取られているので、そういう問題は起こりません。
写真スタジオで撮ることの意義は、まずこんなところにあります。
ボックスの証明写真では照明にメリハリがでない
ボックスでは照明が前からです。設置スペース上の問題でもありますし、機械的に撮って問題の起こらない写真にするためでもあります。
(左右からのライトは被写体によって結果にムラがでる。前からなら機械が撮ってもとりあえず問題は起こらない)
また、狭いため、光の反射の影響が大きく、光が全面に回りやすい。
結果的に陰影の少ない、平板なのっぺりとした写真になります。
のっぺりとして立体感がないと、写真が非常に安っぽくなります。つまり自分自身を安く見せてしまうのです。
高級ブランドのイメージ写真が高そうに見えるのは、実はしっかりと陰影をつけているからなのです。
もちろん写真スタジオでは、しっかりとスペースを取って、専用のライティングを組んでいます。
(ただし比較的新しくできた写真スタジオでは、全面に光を回している場合もあるので、注意が必要)
「しっかりとした写真」を撮りたい場合は、老舗で評判のよい写真館のほうが無難でしょう。
人の手による修整がつかない
当然ながら、ボックスはその場ですべて機械が処理するので、修整がつきません。
「美肌補正」付きの機種もありますが、すべて機械による自動処理なので、基本的にただのっぺり度が増すだけです。
また、本人の特徴であるホクロを消されてしまう場合もあります。
そもそも修整というものは、目の下のクマやニキビなど、本来無いものを消したり、ライティングで強く出すぎた影をうすくしたりするものです。
微妙で丁寧な修整を施すことによって、本来のその人らしさを保ちながら、なおかつキレイな写真に仕上がるのです。
そのような修整は今のところ機械には無理で、人の手で施す必要がありあます。
専門の写真スタジオなら、たいていこの修整が付きます。(安いメニューではつかないこともある)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ボックスの証明写真では「きれいに撮る小技裏技」をどんなに駆使しても、超えられない限界があることがご理解いただけたかと思います。
本当にクオリティが必要な撮影で、ボックスでがんばって撮るのは時間とお金のムダになります。
ボックス写真、スタジオ写真、おのおのの特徴をよく理解して、カシコク使い分けていきましょう。