先日、愛用していたキヤノンのコンデジ、IXY220Fが逝ってしまいました。
子どもに持たせていたら、レンズの繰り出し部分に無理な力を加えたのか、ゆがんで引っ込まなくなってしまったのです。
「ん~、スマホがあるからコンデジはもういいかな」
そんな考えも頭をよぎりましたが、結局修理代8,100円を払って修理しました。
(ちなみにキヤノンの場合、コンデジの修理費は一律料金で8,100円のようです)
1万円ちょいのデジカメに、8,100円の修理費を払ってまで修理って「なぜにそこまで!?」と思われるかもしれませんね。
実際のところ、スマホに押されて、低価格帯のコンデジは全く売れなくなりました。
コンデジ市場は今は、プレミアム路線か独自機能路線に活路を見出しているようです。
今回カメラが壊れた際に、家電量販店にも市場調査に行きましたが、「1万円台のデジカメはスマホと変わらないのであんまり買う意味ありませんよ」的なことも数店舗で言われました。
果たしてそうでしょうか?
今回は、1万円ちょいのデジカメに8,100円の修理代を払ってまで結局修理した経緯を見ながら、低価格コンデジの知られざる実力に迫ってみたいと思います。
目次
コンデジのポジショニング
さてそれでは、「そもそも君(=筆者)は一体コンデジでどんな写真を撮っているのかね?」というところから入りましょう。
まず、同じ「写真を撮る」という行為であっても、その「意味」は実にさまざまですよね。
写真コンテストに応募するような気合の入った一枚から、掲示板の張り紙をメモ代わりにパチリまで。
同じ「写真を撮る」という行為でありながら、その意味は全く違います。
それは、同じ「外食」であっても、マクドナルドのランチと高級フレンチのディナーでは自ずと意味が異なるのと一緒です。
そして、同じ個人がマックで食べたりフレンチで食べたりするように、写真も同じ個人が作品のような気合の入った写真を撮ったり、メモ代わりにパチリと撮ったりします。
そして、カメラというものは、そんなそれぞれの「意味」に合わせて最適化されています。
あるいは逆に、「カメラの意味に見合った写真を撮る」という順序でもいいでしょう。
「作品」なら一眼レフ、「メモ」ならスマホのように。
そんな、それぞれのカメラに合った「ジャンル」のようなものがなんとなく形成されていますが、コンデジの場合それは何でしょう?
一口に言ってそれは、一眼レフとスマホの中間、つまり、「作品」と「メモ」の中間、と言えるのではないでしょうか。
コンデジが特に向く撮影ジャンルとは
さて、日々いろんな写真を撮る私たちですが、どんなジャンルの写真が最も多いでしょうか?
「メモ」という人もいるでしょうし、「作品」という人もいるでしょう。
筆者の場合はそれは、「日常の記録」です。
特に子どもが小さいということもあり、日々のちょっとしたことを記録にとどめておきたいのです。
子どもの作ったレゴのブロックやら、出かけた先の風景、アイスでべたべたの口の周り。まあ実に他愛も無いものです。
「作品」というほどではないけど、「メモ」というほどドライでもない。
気合を入れて撮るわけじゃないけど、雑に撮るわけでもない。
「作品」と「メモ」の中間、つまり、「おーいコンデジ君、出番だよ~!」というわけです。
コンデジとスマホの違い
「そんなのスマホでも済みそうじゃん」と思われるかもしれませんので、ここでコンデジとスマホの違いを明らかにしておきましょう。
スマホに比べてコンデジの良さは、
- 撮りやすい
- 画質がいい
- 静か
です。
撮りやすい
まず、コンデジのほうが圧倒的に撮りやすいです。まずは物理的な形状という意味で。
スマホはどうにもホールドしづらいです。
持ち方に気をとられているうちにシャッターチャンスを逃すこともありますし、知らず知らずレンズに指がかかっていることもあります。
これはそもそも「カメラ」であるか「ケータイ」であるかの根本的な違いでしょう。
まあ、筆者の年代的に「カメラ」という形状に慣れているせいもあるかもしれません。(写ルンです世代です)
スマホでしか写真を撮ったことがない人にとっては、スマホのほうが撮りやすいのかもしれませんね。
あと、物理的な形状以外にも、インターフェースや操作性など、やっぱり「カメラ」に慣れた身からすれば、圧倒的にコンデジのほうが撮りやすいのです。
スマホは何やらデジタルデバイスを「操作する」という感覚ですが、コンデジは普通に「撮る」という感覚です。
画質がいい(ズームにおける)
画質の良さは、アップルなどもしきりにiPhoneで撮った写真を大きく伸ばしたポスターでアピールしていますが、まあたしかにスマホの画質もいいでしょう。
しかし、ここで言っている画質は、ズームしたときの画質です。
コンデジであれば機種にもよりますが、だいたい「光学ズーム」という、レンズ自体のズームが利きます。
しかしスマホの場合は「デジタルズーム」といって、擬似的なズームになります。
同じ「画像を拡大する方法」でも、光学ズームは「レンズの焦点距離を変える方法」であり、デジタルズームは「画像の一部を切り取る方法」なのです。
そして、「レンズの焦点距離を変える方法」であれば、画質の劣化はありません。
しかし、「画像の一部を切り取る方法」は、本来1000万画素の100万画素の部分だけを切り取る、というようなことなので、必然的に画質の劣化を伴います。
日常のあらゆる状況を撮る場合、大きく撮りたかったり広く撮りたかったり、そのシチュエーションは様々なので、ズームで画質の劣化なく撮れるというアドバンテージはやはり大きいです。
静か
あと、細かいことかもしれませんが、スマホはシャッター音が気になります。
特に公共の場所などでは、あの「カシャーン!」という大きな音は、かなり気が引けます。
(最近はシャッター音がしない、あるいはとても小さなカメラアプリもあるそうですが、広告が出たり画質が落ちたりといったマイナス面もあるようです。)
その点コンデジのシャッター音は極めて小さいので、人ごみでもあまり気にすることなく使えます。
コンデジと一眼レフの違い
コンデジと一眼レフの違いも見ておきましょう。
一眼レフに比べるとコンデジの良さは、
- コンパクト
- 簡単
- 気軽
といったところです。
コンパクト
言うまでもなく、最も大きな違いは、その「大きさ・重さ」でしょう。
特に外出時に持ち歩くとなったら、一眼レフの場合は必要最低限であるボディ1コ、レンズ1コであったとしても、相当な大きさと重さです。
しかしコンデジであれば、カバンの隙間やポケットに入るので、全然気楽に持ち出すことができます。
また、家で使う場合にしても、日常を記録するなら、カメラはサッと手が届く範囲になければいけません。
そんな場合、一眼レフであれば置き場所にも気を使います。
棚なんかに置いていて落っことしたら大変ですし、普通に大きいので場所も取ります。
その点コンデジなら気軽にそのへんに置いておけるし、場所も取りません。
逆に小さすぎて「どこにいった!?」と紛失の可能性を心配しなければいけません。(苦笑)
簡単
コンデジはそもそも、万人向けに作られているので、操作が簡単です。誰にでも撮れます。
家族で使う場合、普段はカメラ担当じゃないパパやママ、あるいは子どもでも簡単に使うことができます。
これはコンデジの大きなメリットです。
これが一眼レフだと、そうはいきません。
ふだん使い慣れてない人だと、それを使うのはかなりハードルが高くなります。
また、旅先で見知らぬ人にシャッターをお願いする場合も、一眼レフだとお互いにやりにくいでしょう。
コンデジは、カメラ慣れしてないどんな人でも簡単に撮れるというところも、大きな魅力であります。
気軽
この「コンパクトさ」そして「簡単さ」、さらに「価格の安さ」も手伝って、コンデジは「気軽に」使うことができます。
一眼レフはその重さ、大きさ、価格の高さに比例するように、撮影の際も自然と気合が入ってしまいます。
また、それは「撮るほう」だけでなく、「撮られるほう」にも言えることです。
一眼レフで構えられると、撮られるほうも自然と緊張してしまいますが、コンデジであればより気楽に、より自然なシーンになりやすいでしょう。
コンデジの中でも「低価格コンデジ」の理由
さてそんなわけで、「作品」でも「メモ」でもない中間の「日常の記録」にはもってこいのコンデジ君ではありますが、そしたら今流行の「高級コンデジ」ならもっといいのでは?という考えも頭をよぎります。
私も実際そう思って、量販店に市場調査に行ったわけですが、結局は今の安いコンデジに落ち着きました。
その理由をお話しましょう。
「高い」からくるデメリット
高級コンデジは、まずそもそも「高い」です。何しろ「高級コンデジ」ですから。単純にお財布的にもイタイですね。
そして、高いと何がいけないかというと、「気軽に使えなくなる」ことです。
コンデジの大きなメリットのひとつである「気軽さ」が無くなってしまうのです。
サイズも、微妙に大きく、微妙に重くなり、そして微妙に高画質。
つまりその立ち位置が、微妙に一眼レフに寄ってしまうのです。
しかしながら、モノはその利用価値にハッキリと差をつけたほうが使いやすいです。
気軽に使えない、かといって一眼レフほど画質も使い勝手もよくない、では立ち位置が中途半端です。
画質を重視するなら一眼レフを使うし、気軽さでいきたいならコンデジを使う、では、出番がありません。
操作性の問題
そしてもうひとつ、高級コンデジであるがゆえに、その操作が微妙に複雑です。
ウチは妻が機械が苦手なほうなので、ただのコンデジくらい簡単かつ気楽じゃないと撮れません。
また、今使っているような低価格コンデジであれば、子どもに渡してその独創性あふれる写真を楽しむこともできますが、高級コンデジだと、ちょっと子どもには渡そうという気にはなれません。
(ちなみに「子ども自身が撮った写真」ってのも、日常の1ページとしてなかなかいい記念になります)
この、家族をはじめとして、だれもが使いこなせるという点も、低価格コンデジに軍配が上がる部分です。
コンデジの撮りやすさ
というわけで、日常使いにうってつけのコンデジ君ですが、そのメリットを改めてまとめてみましょう。
- 撮りたいときにスグ撮れる
- 簡単・気軽に撮れる
- それなりに良い画質
この中で、「撮りたいときにスグ撮れる」というのは、実は非常に大きな要素だったりします。
なぜなら、「あ、イイ!」と思う場面があっても、カメラをカバンから取り出すとか、カメラの設定をいじらなきゃいけないというハードルが事前にあると、「まいっか。」とあきらめてしまうからです。
実際経験ありませんか?
しかし、コンデジであればストラップを手に巻き付けて、ほとんど手の一部のように扱えるので、「あ、」と思った次の瞬間にはもうシャッターを切ることができます。
実際コンデジで、細かい設定をいじろうという気はありませんので、撮影は全オートで、やることといえば、電源を入れてシャッターを切るだけです。あとはズームしたり、たまにフラッシュを発光させたり、動画にしたり。
撮影のためのハードルが極限まで低いので、何だかんだとりあえず撮ることができるのです。
画質どうこう以前に、ちゃんとその場面が「撮れている」か「撮れてない」かでは大違いです。
どんなに立派な一眼レフであっても、撮らなければ意味がありません。
コンデジは、その撮りやすさ、気軽さ、それなりの画質で、どんな場面であっても「とりあえず残すことができる」カメラ、という、非常に優れた実力を持っているのです。
まとめ
さて、意外と捨てたもんじゃない低価格コンデジの実力、いかがでしたか?
もう一度コンデジの良いところをまとめておきましょう。
- 扱いやすい
- 簡単・気軽
- それなりの画質
まさに「日常の記録」という用途にはうってつけのカメラです。
スマホだと
- 簡単△
- 気軽○
- それなりの画質△
一眼レフだと
- 簡単×
- 気軽×
- それなりの画質◎
といったところでしょうか。
まあぶっちゃけ、スマホの操作が問題なく、デジタルズームの画質も気にならないというならスマホでも問題ないかもしれません。いつも持っていますし。
しかし、スマホがなんかカメラとしては使いづらいと、うすうす気づいている人も少なくないはず。音もうるさいし。
(ついでに言わせてもらえば、iPhoneだとデータの移動もやりにくい!)
もし、スマホがあるからといって、物置の奥でほこりをかぶっているコンデジがあるなら、ちょっと試しに使ってみては。
意外といいカモよ。