【クリップオンストロボの使い方】光を「足す」と「補う」の違いとは!?

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クリップオンストロボ

さて前回に引き続き、撮影アクセサリーの使い方シリーズ。

今回はクリップオンストロボいってみましょう。

前回の三脚に比べたら、ずいぶんコンパクトなので、カメラバッグにひとつ放り込んでおくと、何かと便利なアイテムです。

暗い場面を明るくする、というフツーの使い方だけでなく、十分写真が撮れる明るさであっても、「キツい影」を薄くしたり、シャッタースピードや絞りを稼いで「ブレ」や「ボケ」の少ない写真にしたりと、クリップオンストロボひとつで、何かと撮影の幅が広がります。

今回は、光を「足す」と「補う」の違いに着目して、その使い方を解説していきます。

撮影の面白さはやっぱり、撮る絵を「コントロール」することです。

クリップオンストロボを1コ追加することによって、「光」をコントロールできる幅はグッと広まります。

そしてクリップオンストロボを自由に使いこなせれば、写真の面白さもグッと広まることでしょう。♪

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クリップオンストロボが使いたくなる状況

さて、「クリップオンストロボが使いたくなる」とはどういう状況でしょうか。

主には次の2点です。

  • 光量が足りない
  • 光を補いたい

光量が足りない

「光量が足りない」とは、そもそも暗すぎて写真が撮れない、といった状況ですね。

光の入らない屋内や、夕方や夜など。そもそも写真を撮るには「暗すぎる」場合です。

ストロボ光

写真ってのはご存知の通り、被写体からはね返ってくる光をカメラに記録するものですから、そもそも光が無いと撮れません。

そういう場合にストロボによって写真に必要な明るさを確保することが出来ます。

もうひとつの「光量が足りない」

それから「光量が足りない」にはもうひとつ意味があって、「自分が撮りたい写真を撮るための光量が足りない」という意味もあります。

たとえば、動き回る子どもを撮りたい場合には、シャッタースピードが遅いと「ブレ」てしまいます。

ブレ

「ブレ」を止めたいのに「ブレ」を止めるほどのシャッタースピードが選択できない明るさならば、それもやっぱり「光量が足りない」わけです。

またたとえば、集合写真なんかで前後に2列3列になるときは、絞りを絞って被写界深度(ピントの合う範囲)を稼ぎたいわけです。

しかし、十分に絞れない明るさならば、それもやっぱり「光量が足りない」わけです。

そういう場合にも、クリップオンストロボを使って、光量を足すことができます。

光を補いたい

「光を補う」とは、写真を撮れる明るさではあるけど、影がキツかったりして思ったような明暗のバランスじゃない時に、「明るい部分」と「暗い部分」の光量比を変更するために使うということです。

スタジオ用語で言うところの、「フィルインライト」のような役割です。

たとえば、天井からの照明が強くて、顔の下半分が真っ黒な影になってしまう場合などに、ストロボの光をプラスして、影を薄めたりします。

また、窓辺にいる被写体を撮る場合、光が当たる窓側は明るすぎ、反対の室内側は暗すぎてバランスが悪い場合に、ストロボを焚いてバランスを整えたりします。

窓辺

光を「足す」と「補う」の違い

と、いうわけで、同じ「ストロボを焚く」でも、「足す」と「補う」では意味が違うのです。

「光量が足りない」場合に発光するのは、その場の「光そのものを増やす」という考え方です。

そして「光を補う」は、その場の「光の状況を調整する」という考え方です。

スタジオライティングの言い方で言うと、前者は「メインライト」、後者は「フィルインライト」で、役割が違います。

メインライトは、そもそもの写真を撮るための光であり、フィルインライトは補助光ですので、

  • 「光を足す」=そもそも写真を撮るために発光する
  • 「光を補う」=写真の完成度を高めるために発光する

という違いが、そこにはあります。

「光をコントロールする」とは、やっていることの意味を理解することがスタートなので、まずは「この発光は何のためか」を把握するところから始めるのがいいでしょう。

クリエイティブな効果としてのストロボ

もうひとつ、クリップオンストロボを使いたくなる状況としては、「クリエイティブな効果」のため、ということが挙げられます。

たとえば、ストロボに色フィルターをかまして、写真に色をつけてみたり、リモート発光で被写体の後ろから逆光を当ててみたり。

また、2灯3灯を同時に発光させるような使い方もあります。

今回は基礎編なので、これらについては扱いませんが、クリップオンストロボの様々な可能性については、今後いろいろ追求してみるのも面白いでしょう。

クリップオンストロボを使用する際の注意点

では、具体的な使い方の前にまず、クリップオンストロボを使用する際の注意点を確認しておきましょう。

主には以下の3つです。

  • 色温度
  • 光が届く範囲
  • 光の向き

色温度

これは、そもそもの現場の光(「地明かり」と言ったりします)と、ストロボの光の「色味」の違いのことです。

(「色温度」については、こちらで詳しく解説しています↓)

参考:RAW現像は「写真の基礎」とともにマスターしよう!

「地明かり」と「ストロボの光」の色味が違うと、当然の結果として画面内に「色ムラ」ができます。

ストロボ光の影響力が強いところでは、ストロボの色味に照らされ、地明かりの影響力が強いところでは地明かりの色味に照らされ、混ざるところでは混ざった色味に照らされます。

こういう光質の違う光が混ざっている状況を「ミックス光」と言ったりしますが、ミックス光を後から補正するのは非常に困難です。

画面内でそれぞれの光の影響が複雑に入り組んでいるからです。

そのため、補正するなら撮影時にやっておく必要があります。

補正は、地明かりの色味を変更するわけにはいかないので、ストロボのほうの色味を地明かりに合わせる必要があります。

具体的には、発光面に、地明かりの色温度に合わせてフィルターをかませる、ということです。

写真用のフィルター類はなにげに高いですが、プロ機材ドットコムには安くて便利なこんな商品もあります。

また、そういう色補正用のフィルターが最初から付属しているストロボ商品もありますね。

スピードライト 430EX III-RT

キヤノン スピードライト「430EX III-RT」 付属カラーフィルター使用例

ストロボにかませるフィルターの色ですが、タングステンなどの人口光はストロボ光に比べてずいぶん色温度が低いので、「アンバー」(オレンジ)が基本でしょう。

蛍光灯や水銀灯の場合はそれに加えてグリーンかぶりを補正するために「マゼンタ」を足すのも結構です。

「なんか色が汚い」と感じたら、フィルターによって色味を揃えてみるといいでしょう。

ちなみにフィルターをかます場合は、ストロボの光量もそれなりに落ちるので、光量の大きいストロボ(ガイドナンバーの大きいストロボ)を使うのは有効です。(まあ値段は高いですが)

光が届く範囲

次に、ストロボ光の「光が届く範囲」について。

そもそもの光の性質として、「明るさは光源からの距離の2乗に反比例する」ということがあります。

いわゆる「逆2乗の法則」です。

ストロボからの距離が2倍になれば、明るさは1/4。距離が3倍になれば、明るさは1/9です。

1m先でF8なら、2m先でF4、3m先でF2.8弱です。

結構手前と奥の差が激しいです

ストロボを直で当てると、奥の背景が真っ暗に落ちる、いわゆる野生動物の「生態写真」のようになることが多いのは、光が強い手前に露出を合わせると、極端に光量が落ちる奥は、ほとんど真っ暗になってしまうためですね。

ストロボ撮影

ストロボ撮影の際は、手前と奥の「意外と激しい光量の差」をよく考慮する必要があります。

特に被写体が近距離であればあるほど、手前と奥の差は激しくなります。

光の向き

クリップオンストロボは、カメラ内蔵のものと違って、発光面の向きを自由に変えられることが多いです。

それによって、ストロボの光を「直で」被写体に当てるだけでなく、壁や天井に「反射」させて使うことも可能です。

むしろ、壁や天井がある場合は、「反射」させるほうが普通です。

この、壁や天井にストロボ光を反射させることを「バウンス」といいます。

特に、天井にバウンスさせることを「天バン」と言ったりしますね。

(「壁バン」はあまり聞きませんが、まあ壁の場合は「壁バン」でしょうね)

この、「どっち方面に光を当てるか」というのは、クリップオンストロボの使い方の、最もキモとなる部分と言っていいでしょう。

バウンス光の3つのメリット

バウンス光のメリットは、主に3つです。

  1. ストロボの光をバウンスさせることによって、「点光源」を「面光源」に変換することができ、光を「柔らかく」することができる。
  2. とくに「天バン」において、光を「地明かり」の方向と一致させることができ、より自然な写りが期待できる。
  3. バウンス光は、光が「行って」「帰ってくる」分、距離を稼ぐことができ、それによって、その場をより広範囲により均等に照らすことができる。

3.については、少し補足しておきましょう。

点光源から発した光は、広がりながら進んでいきますが、距離を稼ぐことによって、より広がりが大きくなります。つまり、より広い範囲に光が届きます。

そして先ほど見たように、ストロボの光量は、距離が2倍で明るさが1/4です。

たとえば同じ「1mの差」でも、ストロボからの距離が「1m〜2m」の場合、その距離差は「2倍」ですが、「10m〜11m」の場合は「1.1倍」です。

同じ「1mの光量差」でも、近距離よりも遠距離のほうが、差が少ないのです。つまり、より均等です。

バウンスによって光を「より広範囲」に「より均等」に当てることができる、というのはそういうことです。

バウンス時の注意点

では、バウンス時の注意点をいくつか。

まず、バウンス光はその光の移動距離の長さと、反射時にある程度光が吸収されることによって、実際被写体に光が届く時点では光量が相当落ちます

使うストロボはなるべく、光量の大きいもの(ガイドナンバーの大きいもの)が望ましいでしょう。(高いけど)

あと、バウンス時には、反射する天井や壁の色や質感が光に影響する、ということがあります。

色が付いていればその色がカブりますし、黒いとあんまり反射しませんし、鏡張りならほとんど直射光のままです。

まあ、壁の色を塗り替えるわけにもいきませんので、場合によっては直当てのほうが良好な結果になることもあるでしょう。

バウンスに慣れると、つい無造作に天井や壁に発光面を向けてしまいますが、「直当て」という選択肢があることを、常に忘れないようにしたいものです

「シンクロ速度」と「ハイスピードシンクロ」について

もうひとつ、ストロボを使う際の注意点として、「シンクロ速度」と「ハイスピードシンクロ」について説明しておきます。

シンクロ速度について

カメラのシャッタースピードには「シンクロ速度」というものがあり、ストロボが使えるシャッタースピードには「上限」があります

これはカメラの機種によってまちまちですが、だいたい1/125~1/250くらいです。

自分のカメラのシンクロ速度がわからない場合は、この機会に調べておくと良いでしょう。

さて、ストロボ光は一瞬の光であるため、センサー面の全面に光を行き渡らせるためには、その一瞬だけでもセンサーの全面が露出している必要があります。

シャッター幕が「全開」して、センサーの「全面」が露出している時間帯が、一瞬でも必要なのです。

しかし、高速シャッターでは、露光時間を絞るため、シャッターの先幕と後幕の間隔が極端に短くなります。

その結果、先幕がゴールする前に後幕がもうスタートするので、どちらかの幕が必ずセンサー面にかぶっている状態になります。

その状態でストロボを焚いても、かぶってる部分にストロボの光が当たりません。

(イメージとしてはこんな感じです↓)

シンクロ同調速度

ですから、どちらの幕もセンサー面にかぶっていない時間帯が必ず必要で、その時間帯が発生するシャッタースピード(の上限)がすなわち、「シンクロ速度」です。

(理屈的にはストロボが同調すれば1/30だろうが1/250だろうが「シンクロ速度」ですが、特にその中の一番速いシャッタースピードを指して「シンクロ速度」という場合が多いですね)

普通のストロボでは、この「シンクロ速度」より速いシャッタースピードは使えないので、注意が必要です。

(「使えない」というか、撮っても上の写真のような結果になる、ということです)

特に純正製品など、カメラとリンクしているストロボの場合、カメラにセットして電源を入れた時点ですでに、シンクロ速度より速いシャッタースピードが選択できなくなります

それは故障ではありませんので、「なんで1/200以上にいかないんだ!?」と、あわててカスタマーセンターに電話しないようにしましょう。(笑)

先幕シンクロ、後幕シンクロ

ちなみに、ストロボの「発光タイミング」として、「先幕シンクロ」か「後幕シンクロ」かを選べる場合もあります。

これについても、ちょっと説明しておきましょう。

まず、ストロボが発光できるタイミングは、センサー面が全面露出している時間帯でしたね。

その時間帯とは「先幕がゴールした直後」から「後幕がスタートする直前」の間です。

そして、「先幕シンクロ」「後幕シンクロ」は、ストロボの発光タイミングを「先幕がゴールした直後」か「後幕がスタートする直前」かを選べるものです。

しかし、何のためにそんなことが選べるようになっているのでしょうか?

ストロボ光は「被写体の動きを止める」

まず、ストロボ光は「一瞬の光」であるために、被写体の動きを止める効果があります。

定常光の影響がない中で、動いている被写体をストロボ光で撮影すると、その光が当たった「一瞬」だけが、センサー面に露光されます。

写った写真の結果は、あたかも被写体が全く動いていないかのようです。というか、その一瞬でピタリと止められています。

「写真」は現実と違って、「露光の結果」です。

「多重露光」のように、同一のコマに違う絵を露光させることもできますし、昔はブツ撮りなどでストロボの光量が足りない時に、シャッターをバルブにして2回3回と発光させることもありました。

その結果は単純に、露光量が2倍3倍です。2倍3倍の出力をもつストロボを1回発光させるのと同じ結果です。

写真とは、センサー面に(フィルム面に)どのように露光されたかという「結果」であるから、そんなことも可能なわけです。

「先幕シンクロ」「後幕シンクロ」を選択する理由

さて、「先幕シンクロ」「後幕シンクロ」ですが、これは、同一コマ上に「動きの絵」と「ストップの絵」の両方を同居させる場合の「ストップの絵」をどのタイミングで記録しますか?という選択肢なのです。

動きの絵を記録するということは、露光中に被写体が動かなければいけないので、ある程度スローシャッターなわけですが、ストロボの光はシャッタースピードは関係ない「一瞬の光」です。

ですから、スローシャッター中にストロボを発光させることによって、「動きの絵」(定常光による露光)と「ストップの絵」(ストロボ光による露光)を同居させることができます。

そしてその「ストップの絵」を、被写体の動きの「」に記録するのか、動きの「」に記録するのかを選択するのが、「先幕シンクロ」と「後幕シンクロ」です。

「先幕シンクロ」の場合は、ストロボ光による露光がで、そのあとに動きの軌跡が露光されていきます。つまり、「ストップの絵」の後に「動きの絵」が記録されます。

先幕シンクロ

先幕シンクロ

「後幕シンクロ」の場合は逆に、ストロボ光による露光はで、先に動きの軌跡が露光されます。つまり、「動きの絵」の後に「ストップの絵」が記録されます。

後幕シンクロ

後幕シンクロ(キヤノン Flash Work より)

デフォルトではシャッターチャンス優先で、シャッターが開いたらすぐ発光させる「先幕シンクロ」になってる場合がほとんどですが、それだと動きの軌跡が「止まっている被写体」の「前方」について不自然なので、軌跡を後方につける「後幕シンクロ」も選択できるようになっているわけです。

ハイスピードシンクロ

さて、ストロボ使用時にはシンクロ速度より速いシャッタースピードは使えないということでしたが、ストロボ側に、「ハイスピードシンクロ」という機能があれば、それは可能になります。

普通ストロボ光は「一瞬の光」なので、その一瞬だけでもセンサー面が全面露出されてる時間帯が必要、ということでした。

しかし、「ハイスピードシンクロ」は「一瞬の光」ではなく、「連続発光」なので、センサー面が全面露出していなくていいのです

シャッター作動中、「ずっと光ってる」ということなので、ほとんど「定常光」と同じような扱いです。

この「ハイスピードシンクロ」は、シンクロ速度よりも速いシャッターでストロボを使いたい場合には必須の機能になるので、購入時にはよくチェックする必要があります。(まあやっぱり高くなりますが)

いわゆる「日中シンクロ」といって、日中晴天下でストロボを焚く場合、すでに高輝度な状況なので、絞りを開けるとシャッタースピードは1/4000とか1/8000になります。

一般的なシンクロ速度の1/125とか1/250を大幅に超えるシャッタースピードですが、それでもストロボが使えてしまうのです。

それによって、絞りを開ける効果である「ボケ」を生かしつつ、逆光を起こすことができます。

(「起こす」とは写真用語で「暗い部分を明るくする」という意味です)

ハイスピードシンクロ

ハイスピードシンクロ(キヤノン Flash Work より)

これはほんとにテクノロジーの進歩によって撮れる写真ですね。

【光の役割別】クリップオンストロボの使い方

さて、ずいぶん前置きが長くなりましたが、それではクリップオンストロボを発光させる際の、「光の役割別」の使い方を見ていきましょう。

まず、クリップオンストロボを使いたくなる状況は、

  • 光量が足りない
  • 光を補いたい

の2点だと確認しました。

それぞれの場合で、実際どのように使うのでしょうか。

「露出」の設定と「光量」の設定は別物

と、その前に確認しておかなければならないのは、「露出」の設定と「光量」の設定は別物だということです。

露出」というのは、ストロボを焚く焚かないに関わらず、いつも決めてる、絞りとシャッタースピード(とISO感度)で決める、いわゆる「露出」です。

光量」はストロボの発光量です。フル発光から「1/何」というふうに数えられることが多いです。

そして、ストロボを使う場合の、最終的な「写真の露出」は、

写真の露出=定常光の露出+ストロボの露出

です。

いろんな露出があって、非常にまぎらわしいです

しかしその実態は単純な足し算なので、例えば「ストロボの露出を上げたから定常光の露出を下げれば写真は適正になる」とか、「適正な定常光露出に軽くストロボを追加することによって、やや明るめの写真にしよう」といった、実際は簡単な話です。

しかしカメラの表示パネル上では、それぞれの数値を同じメーターで操作することもあり、特に初心者の方だと混乱するかもしれません。

「いま設定してるのは、どの数値か」は、落ち着いてよく確認しましょう。

特に「露出補正」と「調光補正」はまぎらわしいので、ご注意ください。

「光量が足りない場合」の使い方

さてそれではまず、光量が足りない場合に発光する際の使い方から見ていきましょう。

まず、ストロボの発光モードは「ETTL」などのオートでいいでしょう。

欲しい絞りとシャッタースピードを設定すれば、それに合わせた光量を自動で発光してくれます。

そして、「もうちょっと明るく」あるいは「もうちょっと暗く」したい場合は、調光補正によって調節します。

そして、絞り、シャッタースピード、ISO感度の「露出」の設定は「マニュアル」がいいでしょう。

そもそも光が足りない状況だから、ストロボの光を追加しようとしているわけなので、足りない「その場の」露出に合わせても意味がないわけです。発光することによって露出も変わってくるわけですし。

ですから基本的には、欲しい絞りとシャッタースピードをこっちが決めて、それに合わせて発光してもらう、という感覚です。

しかし、ストロボの光量が足りないとフル発光しても欲しい露出に届かない場合もあります。

そういう意味で、大光量のストロボ(ガイドナンバーの大きいストロボ)は、やはり意味があるわけです。(高いけど)

「大は小を兼ねる」はストロボにおいては寸分の狂い無く当てはまります

光の方向について

さて、クリップオンストロボを使う場合、壁や天井などに「バウンス」させるか、「直」で当てるかのどちらかになります。

「直」で当てる場合

屋外などで、「バウンス」させるものが何も無い場合は、直で当てるしかありません。

何も考えずに「直」で当てましょう。

その際、光を柔らかくしようと思って、発光面にちっこいディフューザーをかぶせる人もいるかと思いますが、それはただ単に光量が落ちるだけで、あんまり効果を実感できないと思います。

なぜなら光の柔らかさは、発光面の「面積の大きさ」に比例するのであって、ただ単にかぶせるタイプだと、面積自体はほとんど変わらないからです。

柔らかくしたいのであれば、そういうアタッチメントの中でも、より面積の大きいものを使う必要があるでしょう。

しかし、いくら面積を大きくするといっても、手持ちのカメラ上に取り付けるものには限度があります。

そして、その程度の大きさではハッキリ言って差がほとんどわからない上に、機動性が大きく損なわれるので、結局何も付けない、というところに落ち着く方も多いかと思います。

というか自分が実際そうでした。(笑)

「バウンス」させる場合

最初に確認したように、クリップオンストロボを使う場合は、バウンスさせるほうが普通です。

そのメリットも最初に確認した通りです。

そして、「天バン」であれば、地明かりと光の方向を一致させることができ、自然な仕上がりが期待できるということでしたが、「壁バン」の場合はどうでしょうか。

壁、つまり「横」にバウンスする場合は、光が「横からくる」つまり「サイド光」になります。

この場合、サイド光が「メインライト」になり、地明かりが「フィルインライト」になるのです

光に方向性を与えるライトが「メインライト」で、その場の「ベース」となる明りが「フィルインライト」です。

この場合、光量比を適切に調整することによって、天井からの一方向だけのライティングよりもクリエイティブな表現が可能になります。

ちなみに横からの光量ですが、そっちから光が来ていることがはっきりと認識できるくらいの強さがほしいところですね。

バウンスの方向によって、よりよい表現を見つけるのも、クリップオンストロボを使う面白さのひとつです。

「光を補いたい場合」の使い方

では次に、光を「補う」場合の使い方を見てみましょう。

これは、「光量が足りない場合」と違って、写真を撮るための明るさは確保されている状態です。

しかし、ここでもやはり露出の設定は「マニュアル」がおすすめです。

露出オートの場合、ストロボのスイッチを入れたとたんに露出の設定値がコロッと変わってしまうのが見て取れるかと思いますが、最近のカメラは賢すぎて、ストロボの発光を考慮に入れた露出値を、勝手に計算してしまうのです。

自分で露出をコントロールするなら、謎が多い機械の設定値に振り回されるよりは、マニュアルにして、コロコロ動かないように固定しながら使ったほうが結局は早いと思います。

そして、ストロボの発光は「ETTL+調光補正」でもいいですし、最初から「マニュアル」でも構いません。

慣れればカンでいけるかもしれませんが、はじめは撮った画面を見ながら発光量を調整、という作業は必要になってきます。

なぜなら、「光を補う」場合の使い方は、ストロボの光がベースになるわけではなく、あくまで「補助光」なので、非常に弱く焚く場合が多いからです。

オートだと、ストロボの光をベースに調整されてしまいますので、意図した発光量にはならない場合が多いのです。

少なくとも最初のうちは、とりあえず発光させてみて、それをベースに発光量を増減する、という使い方になるかと思います。

光の方向について

光を当てる方向について、「直」で当てる場合は「光量を足す場合」と一緒です。ただ単に当てるだけです。あとは発光量の調整です。

そして、「補助光として」バウンスさせる場合は、天バンだけでなく、自分の後ろの壁にバウンスさせるのもよい方法です。

壁バンを「後ろ」に当てる

これはすなわち、被写体の正面から面光源が当たるような形です。

スタジオライティングで言うところの「フロントライト」です。

天バンの場合は上から光が来るので、画面上の上のほうが明るく、下の方が暗いという特徴があります。

しかしフロントライトは正面から光が来るので、レンズから見て画面上に均等に光を当てることができます。

そして正面からの光は、どちらにも影が出ない、言ってみれば「方向性の無い光」ですので、メインライトの方向性を邪魔することなくベースの明るさを調整することができます。

そして、天井がある場合、「上から下への光」はすでに室内灯によって照らされています。

天バンによって、そこにさらに光を追加するのは重複になりますので、「前から」追加することによって、より豊かなベースライトを形成することができるでしょう。

まあ実際のところ、「真後ろ」に向けるのは、自分の頭が邪魔になって難しいので、少し角度をつけるような形になるかとは思いますが、後ろの壁が使える時は「フロントライト」も、選択肢のひとつとして検討してみるといいでしょう。

壁バンを「横」に当てる場合の注意点

そして、注意が必要なのが、同じ壁バウンスでも、「横」にバウンスさせる場合です。

真後ろにバウンスさせる場合は、その光は「フロントライト」となって、光に方向性はつきませんが、「横」にバウンスさせると今度は「サイドライト」となって方向性が生じ、いま現にあるメインライトとバッティングします。

すなわち「ダブルライト」となってしまいます。

ライティングの基本は「太陽はひとつ」であり、ひとつのメイン光源をもとに組み立てていくものですが、ストロボを横にバウンスさせることにより、もうひとつのメイン光源を発生させることになります。

それが「意図したもの」であるならいいですが、そうでない場合は「ただの混乱」になってしまいますので、注意が必要です。

ただ、いま現にあるメイン光と方向性をそろえて、その光量を強める意味で使うのはアリですね。

ハイライト・シャドーの光量比は「ならす」方向だけでなく「差をつける」方向に動かすのも、またひとつの表現です。

まとめ

さて、今回はクリップオンストロボの使い方ということで、

  • 光を足す場合
  • 光を補う場合

の2点に分解して、解説しました。

途中、補足的な解説も多くなってしまいましたが、クリップオンストロボを使う場合にも大事なのはやはり「ライティングの組み立て」です。

いま追加しようとしているその光はどういう意味を持っているのか、それを理解しながら使うのが、結局「撮影をコントロールする」ということです。

クリップオンストロボを使う場合、それが「メインの光」なのか「補助的な光」なのか、そして「方向性をつけるのか」「方向性をつけないのか」、そんなところに着目してみるといいと思います。

しかし今回の記事を書いてみて、やはりクリップオンといえども、ライティングの基本に対する理解が不可欠だなと思いました。

「メイン」だの「フィルイン」だの言われても、馴染みのない方にはピンとこないと思います。

なので、機会があればライティングの基本講座もやりたいと思います。

(2016/10/13追記)記事を公開しました↓

参考:写真撮影におけるライティングの基本

しかし今回は補足に次ぐ補足で、ずいぶん長い記事になりました。(汗)

まあそれだけストロボは、奥の深い世界であるということなのでしょう。

最後までお付き合いいただいた方、どうもおつかれさまでした。m(_ _)m

ここまで書いておきながらナンですが、個人的にはストロボを使うよりも、アベイラブルライトのリアルな雰囲気が好きだったりします。

手の込んだフランス料理よりも、あっさりと素材を生かす精進料理に好みが移ってくるんですねー、年のせいか。

機材は増え、パラメーターは増え、進歩と複雑化はほとんどイコールのような様相も垣間見える昨今の現状です。

しかし機材は減り、やることも減り、どんどんシンプル化していく方向の進歩もあっていいと思います。

最終的には「レンズもない、カメラも持たない、だけど写真は撮る。」みたいな境地があると面白いですね。(笑)