【プロカメラマンになりたい方へ】必ず成功する方法

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プロカメラマン

以前書いたこちらの記事が、たいへんな反響を呼びました。

参考:プロカメラマンと、写真がうまいアマチュアの写真は一体どう違うのか?

一時サーバーがパンクするくらいのアクセスが集中して、読めなかった皆さまにはご迷惑をおかけしました。m(_ _)m 申し訳ございません。

また、フェイスブックやツイッター等でシェアしてくださった皆さまには、改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。

さて、この記事がここまで読まれた背景には、いったい何があるのか、そんなことを考えましての、今回のポストです。

前回の記事の反響から、いつの時代にも、「好きなことを職業にしたい」という思いと(現アマチュア側)、実際に職業にした人たち(現プロ側)という2極が存在し、その相互間の橋渡しという需要が大きいのだなと感じました。

前回の記事は、アマチュアの方にプロの実態をお知らせする目的があり、わかりやすさを優先して、やや大げさな物言いになってしまった感はありますが、大体において当初の目的は達せられたと感じています。

そして今回は、アマチュアの皆さんがプロを目指す際に知っておいて欲しいことをまとめました。

前回がイントロダクションだとすると、今回は本編です。

相変わらず書いているうちに思いもよらない結論に至りましたが、まあ参考程度に読んでください。

photo:sheshakes

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写真に限らず自由に書いています。思ったこと、考えたこと、感じたこと。写真はほとんどフィルムとライカと50mmです。ブログのほうではもちょっと専門的なことを書いています。→

目次

写真界隈の現状

前回の記事は、一般的に「写真の上手さ」=「プロカメラマン」という認識が多いように感じたので、実際のところを明らかにしようと思って書いたものです。

「写真を仕事にしたい」と思っている趣味の人は多いですし、どんなものか知りたいと思っていた需要に、ある程度応えられたかと思います。

そして実際に写真を仕事として片足以上突っ込んでる人も、実は多いように感じます。

ストックフォトなどネット時代ならではの収益化の方法もありますし、経歴を作るためにノーギャラで仕事を引き受ける人もいます。

それはつまり、「経歴」として意味をなす程度の名の知れた雑誌でも、経費削減のために名前の知れていない若者にノーギャラで仕事を発注するというウソみたいな事態を意味していますが、それくらい雑誌不況は深刻なのでしょう。

そして、毎年受けていたカタログ撮影が、「来期から紙でなはくwebで出すから」と、100万(円)単位の案件がふいに無くなる、という事態も、もはやピークは過ぎた感があります。

そもそも、「デジタル化」と「不況」の影響で、「写真の仕事」自体が減ってきています。

編集者はカメラマン同行ではなく、自分がカメラを持ち、紙からネットへの移行にともない、写真は外注ではなく自社スタッフで済ませることも多くなっています。

そんなこんなで、「プロカメラマン」というボーダーラインは、もはや溶解して無くなりつつあるのが現状です。

しかし、ウソか本当か、カメラマンの数はコンビニの数より多いと聞いた事があります。

そう、崩壊しつつあるのは、「これまでの写真のお仕事」であって、「新しい写真のお仕事」は着々と生み出されていて、カメラマン人口は逆に増えている印象すらあります。

それはやはり、デジタル技術の発達によって、誰でも簡単にキレイな写真が撮れるようになったことが大きいでしょう。

それプラス、「ネット活用」「データ納品」という形態が、新しい形のビジネスを生み出すきっかけにもなっています。

そして、日本はもともと写真好きの多い国でもありますし、「好きなことを仕事にしたい」という思いは、“写真においては”、意外と簡単にかなえられる(かなえられそう)という舞台が整ってきつつあるわけであります。

写真がうますぎる現代のアマチュアたち

さて、前回の記事は、「こんなに写真がうまいのに、なんでプロじゃないんだ!?」という問いに対する回答でもありました。

その裏には、「写真が上手いアマチュアが実に多い」という前提が潜んでいます。

それは皆さんもとっくにお気づきのことと思います。

フリッカーやインスタグラムでは、ヤバいくらいにうまい写真のオンパレードです。もはやプロもアマもへったくれもありません。

もはや、「写真のうまさ」だけを見て、プロかアマチュアかを判断できない時代です。(まあそれは昔からそうだとも言えますが…)

プロの目から見ても、「とてもかなわない」と思うアマチュアの方だってごろごろいるはずです。

つまり、ハッキリ言って「写真がうまい」ということは、もはや特殊な能力でもなんでもなく、当たり前のことになりつつあります。

「写真のうまさ」と言う価値は現在、明らかに供給過剰なのです。

単純にうまい写真が欲しいだけなら、パッとネットを開いて、くるくるっとページをめくればいくらでもでてきます。

その理由は、写真のデジタル化とともに、写真をいかようにも細かくいじることができ、なおかつそのレシピも、ネット時代の到来とともに、誰でも簡単に手に入れられるようになったからです。

そして、どう見てもプロの写真に比べて遜色ない、と思えるアマチュアたちが、写真によるいろんな仕事の可能性が広がっている現代において、「いっちょやってみるか」と写真で稼ぐ道に入ってくるのは、必然の流れであります。

プロがプロらしかった時代

ここで「昔」の、プロがプロらしかった時代をおさらいしておきましょう。

昔はプロカメラマンのテクニックは秘伝中の秘伝であり、一般人がうかがい知ることなどできませんでした。

そのためプロカメラマンを目指す若者たちは、技術を吸収するため、プロのアシスタントについたり、レンタルスタジオのスタッフになったりして「完全にその道に入り」、そのハードワークに耐えたわけです。

最近ではレンタルスタジオの、「午前3時終業、当日午前6時出勤」という、かつてのような勤務についていけない若者も多く、その勤務形態は大幅に緩和されたようですが、「写真の技術」とは、そんなハードワークと引き換えに手に入れるものでした。

そんな時代のカメラマンには当然ながら、臨機応変の強力なテクニックと不屈の精神力、そして体力。また、そこから生まれる強烈な自負がありました。

そうです、昔はカメラマンと言えば、間違いなく「体育会系」に属する職業でした。

それは一見オシャレでカッコよさそうに見えるファッション系の現場でもそうです。

誰でもなれるわけではなかったその時代、アマチュアカメラマンとプロカメラマンの間には厳然たるラインが引かれていました。

現代のカメラマン

しかし、世の中の流れは、いつの時代も「簡単・便利」に流れていくものです。カメラマンの世界もその流れとは無縁ではいられません。

シノゴやブローニーといったゴツいカメラは35mmデジタルカメラに取って代わられ、その結果大光量は不必要となり、ジェネレーターはどんどん小型化し、露出計もポラも不要になり、挙句の果てには「とりあえず撮って細かいことは後で調整」な時代です。

かつて門外不出であった「写りこみを防ぐアオリのテクニック」や、「シズル感を生むハイライトの入れ方」などは、フォトショップでより簡単に、よりリアルに、より低予算で達成可能となり、「今までの蓄積はなんだったの!?」という時代です。

「だれでも」「簡単に」「キレイな」写真が作れる時代です。

もはや写真の技術の習得には血のにじむ努力も、不屈の精神力も必要ありません。

土門拳がカメラをホールドする訓練としてレンガを使っていた話は有名ですが、そんな星飛雄馬の大リーグボール養成ギプスみたいな時代は終わったのです

いい写真のためには「根性」よりも「フォトショップのプラグイン」の時代です。

そんな「簡単・便利・キレイ」という、ある意味必然的な時代の流れが、プロカメラマンと一般のカメラマンのボーダーラインをあいまいにした、と言えるでしょう。

アマチュアカメラマンの進む道

さて、「仕事としての写真」に進むアマチュアカメラマンも、現代の多様性の中で、その居場所を見つけるのは、昔に比べると比較的簡単であるかもしれません。

デジカメとコンパクトな機材とネットを駆使して、細々と、しかし確実にカメラマンとしての業務を成り立たせている方も意外とたくさんいらっしゃいます。

しかし、レベルの高いアマチュアほど、プロであることは苦痛であると想像できます。

商業カメラマンになる場合

なぜならレベルの高いアマチュアほど写真に対する美意識・こだわりが高く、逆にプロの世界では「別に君の美意識なんてどうでもいいよ」という場合が多いからです。

プロの世界では、そんなことより「売れるか売れないか」や「目的に合致しているかいないか」が問われます。前回も言いましたが。

カメラマンの個人的な趣味嗜好などは、基本的に相手にされません。

何かを判断する場合、「なんでそうするんですか?」と聞かれたら、必ず合理的に説明できなければいけません。

「なんとなくそっちのほうが好きなんです」とか「俺の美意識がそう告げている」は、現場ではたちの悪い冗談でしかありません。

そしてレベルの高いアマチュアほど、自分のこだわりを捨てるのが難しいものです。

なぜなら、現在の自分のレベルの高さを維持しているのは、ひとえにその「こだわりゆえ」だからです。

「写真そのもの」に対する高いこだわりが、その人の写真をそのレベルにまで押し上げていますが、仕事となると、こだわるべきところが全然違います

「写真そのもの」に対してではなく、写真の目的に対してです。

趣味の写真であれば「写真そのもの」は唯一絶対の王様でありますが、仕事の写真では、唯一絶対の王様は「写真の目的(クライアントの意向)」であり、「写真そのもの」は、その唯一絶対の王様(クライアントの意向)に仕える忠実なる「僕(しもべ)」です

さっきまで唯一絶対の王様として取り扱っていた写真を、一転して忠実なる僕とすることに、我慢ができますか?

であるからこそ、レベルの高い、美意識の高いアマチュアカメラマンには、商業カメラマンは(基本的に)向かないのです。

そうなると、むしろ目指すべきは「アーティスト」だ、と、なるかもしれません。

アーティストになる場合

しかし、アーティストで食べていくことは並大抵のことではありません。

実際、アートで成功するためには、商業カメラマンよりもビジネスセンスが必要なのです。

現代のアート界でもっとも成功しているアーティストのひとり、村上隆氏は、「アートはビジネス」と言い切っています。

そもそも彼はアートを「有限会社カイカイキキ」という会社で運営しています

「芸術起業論」という、そのまんまのタイトルの本も出しています。

つまり、アーティストとして成功するためには、結局「ビジネス的な視点」が欠かせないのです。

それはむしろ、商業カメラマンとしてやっていくことよりもハードルが高いことです。

商業カメラマンの場合は「課題」は向こうから与えられますが、アートとなると、こちらから探しに行かなければなりません。

商業写真における「クライアント」の役割まで、こちらが担わなければならないのです。

なぜなら、村上氏の例からもわかるように、「アートで食べていく」ということは、会社を経営するということとほとんど一緒だからです。

さて、その村上氏は、

「アートの世界で戦うには、アートの世界のルールを知り、それに則って勝負しなくてはいけない。」

と言っています。

「アート=自由に作る=自分が基準」、という一般的な発想とは真逆です。

「日本の美術の授業は、ただ「自由に作りなさい」と教えますが、この方針にしても、欧米の現代美術の世界で勝ち抜くためには、害になりかねません。」

とも言っています。

結局直面するのは、「アート界のルール」や「顧客がどういうものを欲しているか」という自分以外の基準です。

写真界でも、アート分野で成功している諸氏は、言わないだけ、あるいは自覚していないだけで、実際誰よりもマーケティングに敏感だったりします。

ただ単に好き放題撮って、それがたまたまウケているわけではないのです。(そういう人もいるかもしれませんが…)

「お金をいただく」ということ

つまり、どんなジャンルに行くにしろ、「お金をもらう」ということは、結局自分優先では出来ないことなのです。

それでも写真を仕事にしたいですか?ということなのです。

あなたの好きな写真において、自分のセンスや美意識以外のものを優先して、それでも写真を好きでいることができますか?

上記の事は写真を仕事にしたいと考えているアマチュアカメラマン、特に腕に自信のあるカメラマンに、知っておいてもらいたいことです。

すべてがうまくいく方法

「自分のセンスを遺憾なく発揮して、なおかつお金ももらいたい」という向きには、身もフタもない、夢も希望もない話だったかもしれませんが、ちょっとお待ちください。

全てがうまくいく方法が実はあります!

「利己」から「利他」へ

それは、自分の美意識やこだわりを、「自分」のためでなく、「他人」のために使うことです

今まで「自分の満足」のために使ってきた美意識やこだわり、そのテクニックを、「他人の満足」のために使うのです。

おっとよく分からなくなってきましたか?

それはつまり、あなたがその他人になりきることによって、その他人を自分自身と捉えることによって可能になります。

この人だったらどうしたいか、何が欲しいかを、あたかも自分がそう考えているかのように、その人が自分自身であるかのように考えるのです。

「成功」とはつまり「利他」

なんだか非常に深い話になってしまいましたが、これだけは言えます。

どんなチャレンジであれ、最終的に成功をもたらすのは、「利他」の精神です

なぜなら成功とはすなわち、「他人からの支持」だからです。

世の中は「他」を利することによって、「他」からの支持が得られるという、ごく簡単な構造です。

つまり、「成功」とは、ほぼイコール「利他」です。

自分も満足したい、そしてお金も稼ぎたい、その両方を達成する道は、自分がその他人になりきって、「その他人を満足させること」=「自分を満足させること」にしてしまうことです。

そして、その「他人の満足の部分」の対価として、報酬をいただく。

…そうです、言い換えるならば、結局大事なのはおもいやりです。

まるでACの公共広告のようですが、結論はそんなところです。

まとめ

さて、前回の続編とも言える「プロとしてやっていくための成功法則」いかがでしたでしょうか。

ハッキリ言って自分でも思ってもみないような結論が飛び出してきました。

なかなか興味深い結論です。

なにか、もっとワンタッチな方法を期待されていた方、すみません。

本当に効果のある方法はいつの時代でもシンプルで、そして深いのです。

「良薬は口に苦し」でもあります。

そんなわけでこれを実践するとなると、ハッキリ言ってむずかしいでしょう

簡単なことなら誰にでもできる。簡単でないから達成することに意義がある、としておきましょうか。

今回の記事は前回と重なる部分もありますが、アマチュアカメラマンとプロカメラマンの間の云々について、需要が多そうなので書いてみました

ビジネスにおける「お客さんのニーズを満たす」、つまり「利他の精神」とはこういうことです

あれ、意外と簡単ですね。(笑)

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